【指導参考事項】
完了試験研究成績(作成:63年1月)
1.課題の分類  畜産 豚 飼養 
          北海道 畜産 滝川畜試
2.研究課題名  妊娠豚の群管理におけるコンピュータ
          自動袷飼携の導入に関する試験
3.予算区分  共同研究(民間)
4.研究期間  昭62年
5.担当  滝川畜試 研究部 養豚科
6.協力分担関係  土谷特殊農機具製作所

7.目的
コンピュータ自動給飼機を用いた群管理方式について、豚の採食行動に適応した飼料給与プログラムの検討、豚群の自動給飼機利用性の検討、および妊娠豚の群管理において給飼機での採食に対する影響や、闘争による損傷がよリ少ない群編成方法の検討を行い、省力的かつ個体管理が精密な飼養管理技術を確立する。

8.試験研究方法
(1)飼料給与プログラムの検討
 1)採食速度の検討
 2)フィードステーション利用状況の調査
(2)適正飼養頭数規模の検討
(3)豚群の編成方法の検討
 1)全頭新規導入時の検討
 2)群入れ替え時の馴致飼育の検討
 3)馴致飼育期問の検討
(4)農家事例調査

9.結果の概要・要約
(1)一産以降の妊娠豚は、一日の配合飼料給与量2.6sを一回の給与でほぼ全量を採食した。また、給飼機のオーガー一回転で投与される飼料80gの採食時間は、飼料投与の際水を加えることによリ採食時間が短縮され、(表1)また水を添加量を一倍以上とすることにより、採食時間は10分程度に短縮された。(表2)
採食時間、給飼機利用状況より、飼料給与プログラムは、一日一回給与、および飼料投与間隔は30秒を基準として適宜調整するのが良いと考えられた。
(2)8頭一群の行動調査において、24時間で給飼機が豚の採食により有効に利用されている割合は70%と推定された。これらの結果を用いることにより給飼機一台の飼養可能頭数は57頭と試算された。(表3)
(3)給餌機で飼養している群へ新たに豚を導入する場合、隣接施設での馴致飼育は敵対行動を減少させ、新規導入豚の給飼機での採食を容易にするものと考えられた。
また、馴致日数は敵対行動状況および採食状況から7日程度が必要と考えられた。(表4)

10.主要成果の具体的数字
表1 妊娠豚の採食時間

処理 実施時期 調査
頭数
平均
体重(s)
採食量
(g)
80g当り
採食時間(分)
無給水 導入5週目 7 210 2498 76.8
30t/80g給水 導入5周目 7 210 2596 53.2

表2 採食時間と給水量の関係

処理 無水 0.5倍 1.0倍 1.5倍 2.0倍 2.5倍
所要時間(分) 47.1 19.7 10.6 9.9 11.1 12.2
※採食量:2.6kg  ※加水は飼料(kg)に対するわりあい。

表3 給飼機1台当り飼養頭数(試算)

給飼機利用率 0.7
1日当り利用時間 16.8時間(24時間×0.7)
1頭当り採食時間 0.3時間
1日1台当り最大飼養頭数 56頭(16.8÷0.3)

表4 新規導入豚の採食状況

導入
条件
豚NO. 1日目 2目目 3目目 4目目 5日目 6目目 7目目
馴致
7日
1
2
馴致
5日
3
4
馴致
3日
5 (0.08) (○) (○) 2.6 2.6 (○)
6 (○) 2.6 2.6 (○)
※2.6kg/日・頭給与、○:全量採食、数字は残飼量(kg)を示す、( ):誘導を実施

11.成果の活用面と留意点
@繁殖雌豚の個体管理と作業の省力化が同時に得られることから、少人数で管理作業を行う農場での利用が想定される。
A豚群編成時の問題を少なくするため、新たに豚を導入する前に馴致処理を行う必要があり、給飼機設置設置豚房に隣接した馴致豚房を用意する必要がある。

12.残された問題点とその対応
@フィードステーション本体の改良
A一般管理作業を考慮した自動給飼システム施設の検討