1.課題の分類 草地 家畜飼養 調製加工−D-2 北海道 合同 2.研究課題名 牧草サイレージ品質判定基準(改訂版) 3.予算区分 4.試験期間 (昭和63年) 5.担当 北農試、中央・新得・滝川 根釧・天北各農畜試 道農業改良課 6.協力・分担関係 |
7.目的
現行の牧草サイレージ品質判定基準は作成後20数年経過しているが、その間に評価の対象外である低水分サイレージが普及しており、また牧草サイレージに関する試験成果が多数発表されている。そこで、これまでに得られた試験成果を基にして家畜の生産性に結び付いた評価をするとともに、現地における草地の管理利用技術およびサイレージの調製利用技術の改善点を指摘できるようにするために高水分・中水分および低水分の牧草サイレージを評価の対象にする品質判定基準(改訂版)を作成する。
8.試験研究方法
現行の品質判定基準および道内で実施された牧草サイレージについての試験成果を参考にして作成する。
9.結果の概要・要約
(1)品質判定基準(改訂版)は高・中水分用と低水分用の2種類とし、利用上の留意事項を付記した。
(2)サイレージの栄養価に重点をおき、原料草に係わる判定項目の配点をを60点、発酵品質に係わる判定項目の配点を40点とした。
(3)品質の判定項目は継続性を考慮して現行の品質判定基準に準じた。
(4)原科草に係わる判定項目および判定項目ごとの配点は高・中水分および低水分サイレージの品質判定基準とも同一とし、発酵品質に係わる判定項目および判定項目ごとの配点は高・中水分および低水分サイレージの特性を考慮して設定した。
(5)飼料と認め難いほど品質の低下したサイレージは評価の対象から除外した。
10.成果の具体的数字
判定項目 | 配点 | 段階 | |||||
A | B | C | D | E | |||
原料草 | 刈取 時期 |
40 | (1番草) イネ科草出穂始以前 マメ科草開花始以前 (40) |
出穂期 開花期 (30) |
出穂揃期 開花盛期 (20) |
開花期 開花後期 (20) |
結実期 結実期 (0) |
(2番草以降、 生育日数) オーチャードグラス 30日以内 チモシー・マメ科草 40日以内 (40) |
31-45日 41-55日 (30) |
46-60日 56-70日 (20) |
61-75日 71-85日 (10) |
76日以上 86日以上 (0) |
|||
マメ 科 割合 |
10 | 50-30% (10) |
29-20% (8) |
19-10% (6) |
9-1% (3) |
なし (0) |
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葉部 割合 |
5 | 葉部割合高く、 茎太い (5) |
(中間) (4) |
葉部割合、 茎の太さ 中程度 (3) |
(中間) (2) |
葉部割合 低く、茎細い (0) |
|
雑・枯 草割合 |
5 | なし (5) |
1-3% (4) |
4-6% (3) |
7-9% (2) |
10%以上 (0) |
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発酵品 質 (高・ 中水分 用、水 分65% 以上) |
水分 | 10 | 65-70% (10) |
71-75% (8) |
76-80% (6) |
81-85% (3) |
86%以上 (0) |
pH | 15 | 4.1以下 (15) |
4.2(14) 4.3(12) 4.4(10) |
4.5(8) 4.6(6) 4.7(4) |
4.8(3) 4.9(2) 5.0(1) |
5.1以上 (0) |
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色沢 | 5 | 明黄緑色 (5) |
黄緑色 (4) |
黄緑色なるも若干 褐色を帯びる (3) |
黄褐色 (2) |
褐色 (0) |
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香味 | 5 | 快甘酸臭・芳香 (5) |
甘酸臭 (4) |
甘酸なるも若干 刺激臭・不快酸臭 (2) |
僅かにアンモニア臭 ・かび臭を伴う (2) |
アンモニア臭 ・かび臭を伴う (0) |
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感触 | 5 | さらっとして清潔 (5) |
(中間) (4) |
軽い粘性 (3) |
(中間) (2) |
粘性・発熱・ 発かびあり (0) |
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発酵品 質 (低水 分用・ 水分 65% 未満) |
水分 | 10 | 64-60% (10) |
59-55% (8) |
54-50% (6) |
49-45% (3) |
44%以下 (0) |
色沢 | 10 | 明黄緑色 (10) |
黄緑色 (8) |
黄緑色なるも若干 褐色を帯びる (6) |
黄褐色 (3) |
褐色 (0) |
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香味 | 15 | 快甘酸臭・芳香 (15) |
甘酸臭 (11) |
甘酸なるも若干 刺激臭・不快酸臭 (7) |
僅かにアンモニア臭 ・かび臭を伴う (3) |
アンモニア臭 ・かび臭を伴う (0) |
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感触 | 5 | さらっとして清潔 (5) |
(中間) (4) |
軽い粘性 (3) |
(中間) (2) |
粘性・発熱・ 発かびあり (0) |
11.成果の活用面と留意点
(1)採取したサンプルはビニール袋などに入れて密封し冷所に置き、なるべく速やかに品質の評価をする。
12.残された問題とその対応
(1)ロールベールサイレージについての検討
(2)道内における評価データの収集とその活用