【普及奨励事項】
1.課題の分類  草地 育種 長大型作物 A-5
          北海道 草地 畑作
2.研究課題名  とうもろこし(サイレージ用)「LG2080」に関する試験
3.予算区分  受託
4.研究期間  昭和61年〜63年
5.担当  道立十勝農試、天北農試、根釧農試、農林水産省北海道農試
6.協力・分担関係

7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
品種名:LG2080
組合せ:三系交配(構成系統名は不明)
育成者:リマグラン社(フランス)
導入者:タキイ種苗株式会社
登録:OECD(1985年)

9.結果の概要・要約
1)絹糸抽出期および収穫時熟度
 絹糸抽出期は「ヒノデワセ」に比ぺ1日程度遅く、「ワセミノリ」と同程度。収穫時熟度は「ヒノデワセ」並〜やや進み、「ワセミノリ」よりやや進む。総体の乾物率は両品種より高い。
2)耐倒伏性
 ほぼ「ヒノデワセ」並で、「ワセミノリ」より強い。
3)発芽および初期生育
 発芽はほぼ「ヒノデワセ」並で「ワセミノリ」より早い。初期生育は「ワセミノリ」よりやや勝るが、「ヒノデワセ」に比べやや劣る。
4)収量性および乾物特性
 TDN収量は「ヒノデワセ」より高く、「ワセミノリ」に比べると同程度〜やや高い。乾物中TDNは両品種とほぼ同程度。
5)形態特性
 稈長は「ヒノデワセ」「ワセミノリ」よりやや高く、着雌穂高は両品衝ともほぼ同程度。
6)耐病性
 すす紋病抵抗性はほぼ「ヒノデワセ」並、ごま葉枯病抵抗性は「ヒノデワセ」「ワセミノリ」よりやや強い。

10.成果の具体的数字

試験
場所
年次
(昭和)
形質
品種・
系統名



(月.日)
初期
生育
(1:良

5:否)
絹糸
抽出期
(月.日)
倒伏
(含折損)
(%)
収穫時
熟度
10a当り収量(kg) 総体
の乾
物率
(%)
乾雌
穂重
割合
(%)
乾物

TDN
(%)


T
D
N

(%)



61

63
LG2080 6.8 2.8 8.24 12.3 糊後〜黄初 944 657 105 24.2 42.3 69.5
ヒノデワセ 8 2.5 23 7.7 糊後 899 626 100 21.8 42.9 69.7
ワセミノリ 9 3.6 24 55.3 糊後 881 618 99 22.4 44.8 70.2



61

63
LG2080 6.5 2.4 8.21 4.2 糊後〜黄初 928 660 105 25.0 47.3 70.9
ヒノデワセ 6 2.2 20 7.0 糊後 882 630 100 22.3 49.1 71.4
ワセミノリ 6 2.9 21 5.2 糊中 900 641 102 22.1 48.2 71.1



61

63
LG2080 5.25 2.2 8.3 31.2 黄中 1,102 790 114 29.2 50.3 71.7
ヒノデワセ 24 1.1 2 28.0 黄中 969 696 100 27.0 50.7 71.8
ワセミノリ 25 2.2 3 32.8 黄初〜中 1,040 744 107 25.7 49.2 71.4


62

63
LG2080 6.7 3.3 8.22 0.5 黄初〜中 1,119 772 105 26.2 37.8 68.4
ヒノデワセ 8 2.5 19 0.5 黄初 1,086 733 100 24.6 33.9 67.3
ワセミノリ 9 4.0 22 12.5 糊後〜黄初 1,183 797 109 26.0 34.8 67.6


62

63
LG2080 6.9 1.5 8.9 0 黄初〜中 1,322 934 111 25.9 46.4 70.7
ヒノデワセ 10 1.5 11 0 黄初 1,186 839 100 23.5 47.0 70.8
ワセミノリ 10 1.5 10 0 糊後〜黄初 1,307 922 110 23.1 46.0 70.6


62

63
LG2080 6.2 1.8 8.10 33.9 黄初〜中 1,139 813 113 27.4 49.0 71.3
ヒノデワセ 3 1.1 9 34.1 黄初〜中 1,008 717 100 24.3 48.7 71.3
ワセミノリ 3 2.2 10 50.5 黄初〜中 1,083 776 108 25.0 50.1 71.7

特性検定試験成績

    項目
   場所名
  調査時期

品種・
系統名
すす紋病 ごま葉枯病
北農試 十勝農試 北農試
昭63.9.1 昭62.8.14 昭63.9.17 昭62.9.1 昭63.9.1
LG2080 3.3 2.3 2.5 2.8 1.8
ヒノデワセ 3.3 3.0 2.2 - 3.0
ワセミノリ 3.5 3.5 2.8 3.3 2.5
ダイヘイゲン 3.5 3.2 2.8 4.3 3.3
注)Elliott&Jenkinsの指数(0無〜5甚)による。

11.成果の活用面と留意点
1)普及対象地域:根釧、道北、および十勝山麓・沿海
2)栽培利用上の注意:初期生育がやや劣るので、初期雑草の対策に留意する。
また、すす紋病の発生軽減のため適正な肥培管理を行い、健全な生育を計る。
3)種子供給が可能となる時期:平成元年
4)普及見込面積:2,000ha
5)配布し得る種子量:30t

12.残された問題とその対応