【指導参考事項】
成績概要書(統一様式)                   (作成平成2年1月)
1.課題の分類  果樹 リンゴ 遺伝・育種
          北海道 果樹 リンゴ 遺伝・育種
2.研究課題名  リンゴ台木品種の特性調査
         (リンゴわい性台木適応性検定試験:新台木の特性検定)
3.予算区分  道単
4.研究期間  (昭和57年〜平成1年)
5.担当  中央農試 園芸部果樹科
6.協力・分担関係  なし

7.目的
リンゴ台木導入品種の本道における栽培特性を明らかにする。

8.試験研究方法
ア 供試台木品種及び栽植距離
イ 供試穂品種 「つがる」
ウ 試験区の規模 1区6〜17樹 1区制
エ 接木年次 昭和55年 夏 芽接
オ 栽植年次 昭和57年 春
カ 調査項目 樹体生育、着花性、収量、果実品質、根張りの良否、樹体障害発生の多少

9.結果の概要
樹体生育幹周は、M27<(M9=CG10=CG80)≪(M26=CG57=CG47)≒(CG
55=CG62)<M7の1順であった。
樹高及び樹幅は、幹周と同様の傾向を示した。
収量1樹当たり積算収量は、CG62で多く、CG10,CG80,M27で少なかった。
10a当たり積算収量は、M26と比較すると、M27,CG47,CG62でやや多く、
CG55,CG57で同等であり、CG80でやや少なく、CG10では明らかに少なかった。
果実形質一果重は、M26と比較してM27,CG62で優り、CG55,CG57,CG47で劣った。
着色程度は、M26と比較してCG10,CG80でやや優り、CG55,CG62でやや劣った。
糖度は、M26と比較しCG80でやや優り、CG57でやや劣り、CG55,62,47で劣った。
樹体の安定度樹体の安定度は、CG55,CG62でM26より優り、CG57,CG47でM26程度、
CG80,CG10ではM26より劣り(M9なみ)、M27は著しく劣った(M9より劣った)。

10.成果の具体的数字
第1表 樹体生育・収量・果実品質
台木 栽植距離
(㎝)
10a当たり
栽植樹数
M27 4.0×1.5 166
CG10.CG47.CG80.M9(参考) 4.0×2.0 125
CG57.M26(対照) 4.5×2.5 88
CG55.CG62,M7(参考) 5.0×3.0 66

第2表 総合評価
項目/
台木
生育 収量 果実品質
幹周
(㎝)
樹高
(㎝)
樹幅
(㎝)
1樹当たり
積算(㎏)
10a当たり
積算(㎏)
1果重
(g)
平均
着色
硬度
(ポンド)
糖度
(%)
酸度
(g/100mL)
M27 13.9 297 188 21.3 3,539 252 8.2 12.3 14.6 0.36
CG10 15.2 366 234 19.6 2,444 235 8.8 12.2 14.4 0.35
CG47 22.5 431 300 30.3 3,785 218 8.2 12.4 13.3 0.33
CG80 16.1 351 225 22.7 2,842 233 8.8 12.8 14.9 0.37
CG57 22.1 398 300 34.3 3,017 226 8.1 12.6 13.9 0.35
CG55 24.2 417 332 46.1 3,041 228 7.7 11.8 13.6 0.34
CG62 23.5 410 318 59.1 3,901 250 8.0 11.3 13.7 0.33
M9 14.5 325 205 21.7 2,714 238 8.2 12.2 14.4 0.37
M26 21.1 390 268 36.7 3,228 237 8.3 12.8 14.5 0.37
M7 29.5 460 386 89.5 5,907 248 7.9 11.4 13.5 0.31
注1)わい化度(樹の大きさ)
  1:M9より小さい
  2:M26より小さく、M9なみ
  3:M26なみ
  4:M26より大きく、M7なみ

2)他の項目
項目 M27 CG10 CG47 CG80 CG57 CG55 CG62 M9 M26 M7
樹体生育 わい化度 1 2 3 2 3 3 3 2 3 4
収量 10a当たり収量 × ×
果実形質 一果重 ×
果面着色
糖度 × × × ×
果実形質総合 × × ×
樹体形質 樹体安定度 × × ×
総合 × ×
 ◎:M26より優る、多い、高い
 ○:M26よりやや優る、やや多い、やや高い
 口:M26と同程度
 △:M26よりやや劣る、やや少ない、やや低い
 ×:M26より劣る、少ない、低い

11.成果の活用面と留意点
リンゴ台木選定の資料とする。

12.残された問題とその対応
①現在普及されている台木より優れた特性をもつ台木の検索
②国の内外より新しい台木を導入し、本道での適応性を明らかにする。