【指導参考事項】
                      (作成元年12月)
1.課題の分類  果樹 なし 遺伝・育種
          北海道 果樹 なし 遺伝・育種
2.研究課題名  日本なし及び西洋なしの品種特性調査
3.予算区分  経常
4.研究期間  (昭和42〜平成元年)
5.担当  北海道農業試験場
      作物開発部・果樹研究室
6.協力・分担関係

7.目的
日本なし及び西洋なし導入品種の特性を明らかにし、北海道に適応する品種選定の資料とする。

8.試験研究方法
日本なし26品種、西洋なし18品種を5×6m間隔に定植し、1品種2樹を供試した。台木はなし実生台を用い、昭和40年からつぎ木苗の育成を開始した。整枝・せん定は幼木時(7年生まで)を主幹形とし、成木に達するにつれて変則主幹形(半円形)に切りかえた。施肥は、成分量で窒素9.6kg、燐酸6.4kg、加里9.6kg/10aと堆肥2t/10aを樹冠下散布した。土壌管理は精耕法とし、炭酸カルシウムを1年おきに50kg/10aを全面散布した。病害虫の防除は、北海道農作物病害虫防除基準によった。特性調査は約71項目について実施した。果実分析は1品種10果、2樹反復(※は1樹)を用い、果汁は果実の1/8〜1/10の大きさの縦断果肉片の果皮、果心を除いて、日本なしはジューサー、西洋なしは二重のガーゼで搾汁した。

9.結果の概要・要約
1)「清玉」「八幸」は凍害枯死し、「ギョクスル」は未結実であり、「オールド・ホーム」「オービッド」「ディゼィー」は追熟不能であった。
2)幹周肥大の良好なもの:「北豊」「北甘」「相内」「北都」「北洋」「スタークリムソン
・ペアー」「フレミッシュ・ビューティー」「ラ・フランス」
「ブーレ・ダンジウ」
3)頂花芽の少ないもの:西洋なしの各品種
4)耐寒性の弱いもの:「早玉」「豊水」「新高」
やや強いもの:「長十郎」
5)外観のやや劣るもの:「北豊」「北都」「余市身不知」「身不知」「ブーレ・ボスク」
「フレミッシュ・ビューティー」「ラ・フランス」
6)成熟期の早いもの:「浜瀬1号」「プレコース」「チャピン」「バートレット」「ス
タークリムソン・ペアー」「クラップス・フェボリット」
7)収量の多いもの:「浜瀬1号」「北豊」「相内」「北星」「北都」「余市身不知」
「身不知」「新星」「フレミッシュ・ビューティー」
やや多いもの:「北甘」「新世紀」「北洋」
8)1果重の重いもの:「北星」「余市身不知」「身不知」「マルゲリット・マリーラ」
「フレミッシュ・ビューティー」
やや重いもの:「浜瀬1号」「北豊」「相内」「新世紀」「北洋」「豊水」
「新高」
9)糖度の高いもの:「新水」「グランド・チャンピォン」
10)酸度の高いもの:「プレコース」「チャピン」「スタークリムソン・ペアー」「ブ
ーレ・ダンジウ」「グランド・チャンピォン」
11)肉質の劣るもの:「余市身不知」「身不知」
やや劣るもの:「浜瀬1号」「北豊」
12)食味の良いもの:「北豊」「多摩」「北甘」「幸水」「北都」「北洋」「長十郎」
「ブランディーワイン」「グランド・チャンピォン」「ゴーハム」

10.主要成果の具体的数字
品種 樹勢 樹姿 幹周
肥大
頂花
耐寒

外観 成熟
収量 1果
糖度 肉質 食味
浜瀬1号 やや
開張
やや
やや
やや
やや
早玉 やや
開張
やや
やや
やや
八雲※ 直立 やや
やや
やや
長寿 やや
やや
やや
新水 直立 やや
やや
やや
やや
北豊 開張 やや
やや
やや
やや
祇園 やや
開張 やや
やや
やや
やや
多摩 やや
やや
やや
やや
北甘 やや
開張
やや
やや
やや
やや
やや
相内※ 開張 やや
やや
やや
幸水 やや
やや
やや
北星 開張 やや
北都 やや
開張
やや
やや
二十世紀 やや
やや
やや
やや
新世紀 やや
開張
やや
やや
やや
やや
やや
やや
 
雲井※ 直立 やや
やや
やや
やや
やや
余市身不知 開張 やや
やや
やや
北洋 やや
直立
やや
やや
やや
やや
菊水※ やや
やや
開張
やや
やや
やや
やや
身不知 開張 やや
豊水 やや
やや
やや
新星 開張 やや
やや
やや
長十郎 直立 やや
やや
新高 直立 やや
やや
プレコース
チャピン やや
やや
やや
やや
バートレット やや
開張
やや
やや
やや
スタークリムソン・
ペアー
やや
開張
やや
やや
やや
クラップス・
フェボリット
やや
開張
やや
やや
やや
マックス・レッド・
バートレット
やや
やや
やや
やや
やや
やや
ブランディー
ワイン
やや
開張
やや
やや
やや
やや
ブーレ・ボスク やや
やや
開張
やや
やや
やや
やや
やや
マルゲリット・
マリーラ
直立 やや
やや
やや
やや
フレミッシュ・
ビューティー
開張 やや
やや
やや
やや
ラ・フランス やや
やや
やや
やや
やや
ブーレ・ダンジウ やや
やや
やや
やや
グランド・
チャンピォン
直立 やや
ゴーハム 直立 やや
やや

11.成果の活用面と留意点
活用面:北海道向きの日本なし及び西洋なしの品種選定資料とする。
留意点;耐寒性に特に留意する。

12.残された問題とその対応