(平成2年1月)
1.課題の分類  総合農業 作物生産 夏作物−ひまわり-Ⅱ-3
           北海道 畑作 特作
2.研究課題名  ヒマワリの大規模機械化栽培体系  Ⅱ 大規模栽培特性と多収栽培法
           (ヒマワリの高位生産技術における地域システム化試験
                    北海道におけるヒマワリの総合生産システムの確立に関する試験)
3.予算区分  大型別枠 (バイオマス)
4.研究期間  (昭62年〜平1年)
5.担当  北海道立北見農業試験場 作物科
6.協力・分担関係  北海道立中央農業試験場 機械科/畑作第二科
             北海道立北見農業試験場 病虫予察科
             北海道農業試験場 水田土壌管理研究室

7.目的
 大規摸栽培に適応した栽培特性を解明する

8.試験研究方法
 供試品種:IS7000(早生)、IS897(中生)  ・・・ただし昭和62年のみは早生品種としてIS907Eを供試した
 播種期:5月上旬 5月中旬 5月下旬  ・・・昭和62年は5月上旬と下旬のみ
 栽植密度:疎植(5000本/10a) 密植(7000本/10a)
 試験区設計:454〜907㎡ 1区制

9.結果の概要・要約
品種
早生の「IS907E」および「IS7000」は、中生の「IS897」に比較して菌核病の発生はやや多かったが、開花期、成熟期はそれぞれ7日前後早く、子実重および油収量が多かった。また茎長はやや短く、薬剤散布等の管理作業や倒伏防止等の観点から有利であると判断された。
播種期
播種期が遅いほど開花期、成熟期は遅くなり、極端な晩播である5月下旬播きでは子実重が減少した。また、早生品種は5月上旬に播種すれば9月上旬には成熟期に達し秋播小麦の前作物になりうる可能性が見いだされた。さらに、「IS7000」では5月上旬に播種することによって、菌核病の発生が抑制され、油分が向上する傾向がしめされた。
栽植密度
疎植(5000本/10a)に比較して密植(7000本/1Oa)すると、茎長はやや長くなるが油分は向上した。また、早生品種では密植することによって子実重および油収量の年次間変動が減少し、5月上旬播きと組み合わせることによって、10a当りの子実重は270kg以上、油収量は140kg以上を安定的に確保することができた。

10.成果の具体的数字

表1  生育および収穫調査
品種名 播種期
(5月)
栽植
密度
 年  開花期
(月日)
成熟期
(月日)
収穫期 10a当たり 油分
(%)
茎長
(cm)
菌核病発
病株率(%)
総重
(kg)
子実重
(kg)
油収量
(kg)
IS7000
(62年のみは
IS907E)
上旬 疎植 62 7.29 9.5 177 15.7 818 281 133 47.3
63 7.28 9.1 147 23.3 877 279 140 50.2
1 7.28 9.4 135 1.6 719 234 117 49.8
密植 62 7.29 9.5 179 19.1 868 312 149 47.8
63 7.28 9.1 136 37.6 849 276 146 53.0
1 7.28 9.5 145 5.4 836 285 146 51.4
中旬 疎植 62 - - - - - - - -
63 7.31 9.7 145 61.9 844 277 127 46.0
1 8.2 9.11 137 4.7 692 251 124 49.6
密植 62 - - - - - - - -
63 7.31 9.7 149 54.8 809 266 126 47.2
1 8.2 9.11 137 6.3 702 261 132 50.6
下旬 疎植 62 8.18 9.18 190 1.9 925 243 120 49.3
63 8.5 9.13 149 40.3 871 263 127 48.2
1 8.6 9.18 118 7.0 733 248 122 49.0
密植 62 8.18 9.18 200 3.5 950 255 127 49.7
63 8.5 9.12 160 63.5 863 258 123 47.8
1 8.6 9.18 127 5.8 716 264 137 51.8
IS897 上旬 疎植 62 8.5 9.13 176 4.6 742 245 116 47.5
63 8.2 9.9 153 43.5 804 248 117 47.0
1 8.4 9.10 144 4.5 774 271 138 50.8
密植 62 8.5 9.13 201 7.5 858 283 135 47.8
63 8.2 9.9 159 34.2 890 238 113 47.6
1 8.4 9.10 173 3.8 763 233 119 51.2
中旬 疎植 62 - - - - - - - -
63 8.7 9.15 167 48.6 809 256 122 47.6
1 8.9 9.18 161 5.3 745 231 116 50.0
密植 62 - - - - - - - -
63 8.7 9.15 182 37.1 920 264 129 48.8
1 8.9 9.18 166 6.1 800 249 127 51.2
下旬 疎植 62 8.17 9.28 188 2.8 712 203 100 49.1
63 8.11 9.22 157 42.4 822 246 119 48.4
1 8.11 9.19 147 4.2 832 259 132 51.0
密植 62 8.17 9.28 206 4.7 707 212 105 49.4
63 8.11 9.22 171 34.0 866 255 131 51.2
1 8.11 9.19 154 5.5 823 222 112 50.4


11.指導上の態度
 品種は当面早生の「IS7000」を選定し、播種は5月上旬に行い、栽植密度は10a当たり7000本を確保する。

12.指導上の留意事項
 発芽時のカワラヒワ等の鳥害防止を徹底する。