7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
品種名:LIVIA
組合せ:三系交配(デント×フリント)
育成者:PIONEER(フランス)
導入者:ホクレン農業協同組合連合会
登　録:OECD(1983年)

9.結果の概要・要約
1)絹糸抽出期および収穫時熟度
絹糸抽出期は「C535」より1日程度早く、ほぼ「ダイヘイゲン」並。
収穫時熟度は「C535」に比べやや進み、「ダイヘイゲン」と同程度。
総体の乾物率は「C535」並〜やや高く、「ダイヘイゲン」に比べやや低い。
2)耐倒状性
「C535」、「ダイヘイゲン」に比べ同程度か、やや強い。
3)発芽および初期生育
発芽は「C535」並で、「ダイヘイゲン」に比べやや遅い。
初期生育は「C535」並で、「ダイヘイゲン」に比べ劣る。
4)収量性および乾物特性
TDN収量は「C535」並〜やや多く、「ダイヘイゲン」に比べ多い。
乾物中TDNは「C535」に比べやや低く、「ダイヘイゲン」より低い。
5)形態特性
稈長は「C535」と同程度で、着雌穂高はやや高い。
6)耐病性
すす紋病抵抗性は「C535」並〜やや弱く、「ダイヘイゲン」よりやや強い。
ごま葉枯病抵抗性は「C535」より弱く、「ダイヘイゲン」並。

1O.成果の具体的数字
表1　各試験地における生育及び収量調査

試験 場所	年 次	形質 品種・ 系統名	発 芽 期 (月日)	初 期 生 育	絹糸 抽出期 (月日)	倒 伏 (%)	収穫時 熟度	10a当り収量(kg)			総体 の乾 物率 (%)	乾雌 穂重 割合 (%)	乾物中 TDN (%)
								乾 物 重	T D N	同左 比 (%)
十勝 農試	62 〜 元	LIVIA	5.24	2.5	8.3	21.7	黄初〜中	1215	851	113	25.5	43.9	69.9
		C535	23	1.9	4	32.3	黄初	1068	756	100	25.3	46.5	70.7
		ダイヘイゲン	23	1.0	3	30.0	黄初〜中	1072	764	101	27.9	48.8	71.3
北見 農試	62 〜 元	LIVIA	5.31	3.0	8.10	1.4	黄中	1286	891	102	25.0	41.8	69.4
		C535	31	2.9	12	3.6	黄初〜中	1270	876	100	23.9	40.1	68.9
		ダイヘイゲン	30	1.3	10	5.1	黄中	1151	807	92	24.9	43.2	69.7
天北 農試	62 〜 元	LIVIA	6.2	2.5	8.18	15.1	糊後	1171	819	105	24.2	43.5	69.9
		C535	3	2.6	19	18.4	糊中	1109	778	100	22.5	44.3	70.1
		ダイヘイゲン	2	1.5	18	20.0	糊後	1065	760	98	23.6	49.0	71.3
根釧 農試	62 〜 元	LIVIA	6.7	3.6	8.24	49	糊中	970	656	101	20.9	34.5	67.4
		C535	7	3.6	25	42	糊中	956	651	100	20.0	37.3	68.2
		ダイヘイゲン	6	2.5	24	27	糊中	915	621	95	20.7	35.8	67.8
上川 農試	63 〜 元	LIVIA	5.29	2.8	7.30	0	黄後〜成	1581	1132	103	31.1	50.3	71.7
		C535	29	2.8	29	0	黄後〜成	1507	1100	100	30.7	55.1	73.0
		ダイヘイゲン	27	1.2	30	0	黄後〜成	1345	995	90	33.3	59.0	74.1
忠 類 村	63 〜 元	LIVIA	6.1	2.0	8.11	23.7	黄初	1237	899	103	24.8	46.8	70.8
		C535	1	2.1	11	25.4	黄初	1233	875	100	24.4	47.8	71.0
		ダイヘイゲン	1	1.0	11	26.6	黄初〜中	1169	850	97	27.1	54.2	72.7
遠 軽 町	63 〜 元	LIVIA	6.5	1.5	8.8	0	黄中〜後	1220	860	113	24.8	45.3	70.4
		C535	5	1.3	9	0	黄中	1089	759	100	24.5	42.5	69.6
		ダイヘイゲン	5	1.0	9	0	黄中	998	694	91	25.8	42.2	69.5
豊 富 町	63 〜 元	LIVIA	6.10	1.5	8.12	0	黄初	1347	943	104	23.5	44.2	70.0
		C535	9	1.5	11	10.0	糊後〜黄初	1281	904	100	22.2	46.1	70.6
		ダイヘイゲン	9	1.0	11	2.5	糊後〜黄初	1283	924	102	23.7	51.6	72.1
別 海 町	63 〜 元	LIVIA	6.7	4.0	8.22	48	黄初	1032	706	99	23.9	37.9	68.4
		C535	7	4.0	21	44	糊後	1030	710	100	23.5	40.5	69.1
		ダイヘイゲン	6	3.0	20	40	糊後〜黄初	985	670	94	25.4	37.2	68.2
美 深 町	63 〜 元	LIVIA	6.1	1.0	8.4	0	黄初	1482	1058	102	25.5	49.6	71.5
		C535	1	1.0	4	0	黄初	1444	1042	100	26.3	52.1	72.2
		ダイヘイゲン	1	1.0	4	0	黄初〜中	1415	1036	99	28.0	56.4	73.4

注:初期生育は指数(1:良〜5:否)で示す。

表2　特性検定試験成績

項目 調査時期 品種系統名	すす紋病			ごま葉枯病
	北農試	十勝農試		北農試
	S63.9.1	S63.9.17	元.9.16	S62.9.1	S63.9.1
LIVIA	3.3	2.7	2.5	4.3	3.3
C535	3.3	2.5	2.2	3.3	2.5
ダイヘイゲン	3.5	2.8	2.8	4.3	3.3

注:Elliott&Jenkinsの指数(0:無〜5:甚)による。

11.成果の活用面と留意点
1)普及対象地域:道北の気象条件の良いところおよび十勝中部、網走内陸部
2)栽培利用上の注意:一般栽培基準に準ずる。
3)種子供給が可能となる時期:平成2年
4)普及見込面積:3000ha
5)配布し得る種子量:10t
普及見込面積:300ha

12.残された問題とその対応