【指導参考事項】
成績概要書                  (作成平成3年1月)
1.課題の分類  北海道 花き 栽培−グラジオラス 栽培一般
2.研究課題名  グラジオラスの栽培法に関する試験
3.予算区分  補助(地域水田農業)
4.研究期間  (昭和63年〜平成2年)
5.担当  中央農試園芸部野菜花き第二科
6.協カ・分担関係

7.目的
グラジオラスの露地栽培における基本作型を設定するとともに、転換畑での栽培法についても検討し、生産安定技術確立の資料とする。

8.試験研究方法
試験Ⅰ:植付期の検討(1988〜90)
①試験実施場所:中央農試圃場
②試験区別:'88年9品種3時期[5.15,5.30,6.15]
 '89年10品種2時期[6.16,7.3]
 '90年8品種4時期[5.18,6.2,6.15,7.2]
試験Ⅱ:栽植密度の検討(1989〜90)
①試験実施場所:中央農試圃場
②試験区別:'89年10品種3水準[17株/㎡(2条植),33株/㎡(4条植),50株/㎡(6条植)]
 '90年8品種3水準[  同        上  ]
③植付期:'89年 6月16日、'90年 5月18日
試験Ⅲ:転換畑における栽培の検討(1988〜90)
①試験実施場所:長沼町,南幌町
②試験区別:'89年2品種4水準[高畦マルチ,白黒マルチ,高畦無マルチ,平畦無マルチ]
 '89年2品種3水準[高畦白黒マルチ,高畦防虫マルチ,平畦無マルチ]
 '90年2品種3水準[  同        上  ]
③植付期:88年5月30日、'89年 6月15日 '90年 5月29日

9.結果の概要・要約
(1)植付期の設定:露地栽培における植付期は5〜7月が適当で、その時期は早いほど到花 日数が長く、採花率、切花品質が高くなった。植付けから採花までの積算気温は品種ごとにほぼ一定であり、到花日教は生育期間の気温によって変動した。また、供試品種は積算気温の多少で早晩性を区別することができた。
(2)栽植密度:栽植密度は採花期、採花率には影響を与えなかった。密度を高めると、切花長は変わらないが切花重、小花数が減り、細い切花になった。しかし、絶対値の品種間差は大きく、単純に品質低下と判新することはできないと考える。
(3)転換畑における栽培:転換畑においては、高畦マルチ栽培により、排水性および保水性が改善され、収量、切花品質が向上した。

10.成果の具体的数字
表1 植付期と採花期および切花長(1990)
項目 到花日数(日) 積算気温(℃) 切花長(cm)
植付期 5.18 6.2 6.15 7.2 5.18 6.2 6.15 7.2 5.18 6.2 6.15 7.2
ベシーアレン 102 94 93 105 1919 1872 1879 1978 134 126 122 123
トパーズ 88 85 81 78 1615 1670 1637 1607 121 127 120 117
富士の雪 101 86 87 84 1909 1694 1762 1690 141 138 126 130
ディープパープル 97 88 85 90 1821 1725 1722 1776 121 125 118 115
テムズ 84 75 71 69 1529 1453 1425 1446 105 102 99 98
コロラド 75 68 65 65 1333 1296 1291 1355 115 112 109 96
れいめい 91 81 81 85 1690 1584 1641 1712 118 123 119 110
セナガル 69 62 57 55 1216 1152 1130 1140 134 133 123 118

表2 栽植密度と切花品質(1990)
項目
株/㎡
切花長(cm) 切花重(g) 小花数(個) 茎径(mm)
17 33 50 17 33 50 17 33 50 17 33 50
ベシーアレン 134 130 126 237 209 170 23 21 19 16 15 14
トパーズ 121 121 118 305 240 205 18 17 15 18 17 16
富士の雪 141 135 130 296 240 192 23 21 19 21 19 17
ディープパープル 121 125 120 217 178 142 20 18 16 18 16 14
テムズ 105 101 96 86 75 64 13 12 11 11 11 10
コロラド 115 118 115 160 149 122 18 17 16 17 17 16
れいめい 118 123 118 173 158 110 17 16 14 15 14 12
セネガル 134 132 128 164 143 121 16 16 15 16 16 15

表3 高畦マルチの効果(1990)
品種 処理区 長沼町 南幌町
採花率
(%)
切花長
(cm)
小花数
(個)
採花率
(%)
切花長
(cm)
小花数
(個)
トパーズ 高畦白黒マルチ 95 115 17 100 114 17
高畦防虫マルチ 96 116 16 100 118 17
平畦無マルチ 94 110 16 76 108 16
ベシー
アレン
高畦白黒マルチ 75 113 19 93 117 20
高畦防虫マルチ 94 116 19 94 121 21
平畦無マルチ 74 112 19 68 110 20

11.成果の活用面と留意点

(1)植付期と採花期

*植付け期は品種の早晩性を考慮し、
 9月下旬までに採花が終了するように設定する。

(2)栽植密度と切花のボリューム
タイプ 品種 17株/㎡ 33株/㎡ 50株/㎡
大型種

切花重200g以上
小花数18個以上
茎径17mm以上
ベシーアレン
富士の雪
トラベラー
アムステルダム
中型種

切花重100-200g
小花数13〜18個
茎径13〜17mm
ファイヤーブランド
ラプラタ
カプリース
れいめい
小型種
切花重100g以下
小花数13個以下
茎径13mm以下
コンフェティ
テムズ
*品種特性、種球の質、市場動向などに応じて、栽植密度を設定する。

12.残された問題とその対応
転換畑における土壌条件に対応した栽培法