【指導参考事項】
試験研究成績                       (作成平成3年1月)
1.課題の分類  総合農業 生産環境 病害虫 害虫
          北海道 病理昆虫 虫害 花き
2.研究課題名  カーネーションに対する近紫外線カットフィルムと殺虫剤施用の組合せによる
          アザミウマの被害防止効果
3.予算区分  受託
4.研究実施年度  平成元年〜2年
5.担当  中央農試病虫部発生予察科
6.協力・分担

7.目的
カーネーションの雨よけ被覆資材として近紫外線カット特殊ポリオレフィン系フィルムと殺虫剤の土壌表面施用を組合せて、アザミウマの省力的かつ有効な被害防止効果を検討する。

8.試験研究方法
1.フィルムの種類
 近紫外線カット特殊ポリオレフィン系フィルム:商品名「グローマスター」
 近紫外線部透過性特殊ポリオレフィン系フィルム(対照):商品名「クリンテート」
2.ペンフラカルブ粒剤の施用時期
 A.(2/Ⅶ/・16Ⅶ・30/Ⅶ・15Ⅷ) B.(2/Ⅶ・16/Ⅶ) C.(16/Ⅶ・30/Ⅶ)
 D.(30/Ⅶ・15/Ⅷ) E.(15/Ⅷ) F.無施用
3.供試品種「伊豆ピンク」「タンガ」「ダークピンクパーパラ」「バーバラ」

9.結果の概要・要約
1.カーネーションに寄生するアザミウマはヒラズハナアザミウマが優占種である。
2.アザミウマは花蕾の先端部が開き始めた頃から中へ侵入する。加害を受けた花弁は退色して白色の斑点〜小斑紋の被害症状となるので品質の低下を招き、商品価値を著しく損ねる。
3.近紫外線カットフィルムは、アザミウマの発生を低密度に抑え、密度抑制効果が顕者であった。
4.また、アザミウマによる被害も明らかに減少することから、被害の軽減効果も高い。
5.近紫外線カットフィルムは花色の変化におよぼす影響ま殆どなく、実用上問題はないものと考えられる。
6.ペンフラカルブ粒剤をカーネーションの生育期(7月上・中旬)に株元施用すると被害の軽減効果が高く有効である。
 以上のことから、カーネーションに対するアザミウマの被害を軽減し、品質を高めるには雨よけ被覆資材として近紫外線カットフィルムを利用するなかで、省力的な防除法としてのペンフラカルブ粒剤施用を併用することが有効と考えられる。

10.成果の具体的数字


図-1 フィルムの違いと開花時期別アザミウマの寄生推移


図-2 フィルムの違いと開花時期別アザミウマの被害推移

11.成果の活用面と留意点
1.近紫外線カットフィルムはカーネーションのアザミウマの発生を抑制し、被害の防止効果もみられ、雨よけ被覆資材として実用性が高い。
   商品名:「グローマスター」
2.ベンフラカルブ粒剤の株元施用(株当り1g)はアザミウマの被害を軽減させ有効である。
   商品名:「オンコル粒剤5」.登録:有..劇物.魚毒:B-9類
3.粒剤の施用にあたっては、葉剤が茎葉に付言しないよう注意する。
4.アザミウマの被害防止策として近紫外線カットフィルムを利用するなかで、ペンフラカルブ粒剤の施用を併用すると、より効果が高まる。

12.残された問題とその対応
1.発生密度抑制機作の解明
2.その他花き類の害虫に対する発生抑制効果