【普及奨励事項】               (作成平成2年12月)
1.課題の分類  草地 育種 長大型作物−A-5
          北海道 草地 畑作
2.研究課題名  とうもろこし(サイレージ用)「AW611」に関する試験
3.予算区分  受託
4.研究期間  昭和63年〜平成2年
5.担当  道立十勝農試、北見農試、天北農試、
      根釧農試、農林水産省北海道農試
6.協力・分担関係

7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
品種名:AW611
組合せ:単交配(デント×フリント,構成系統名は不明)
育成者:アズグロシ一ド社(フランス)
登録:なし

9.結果の概要・要約
1)絹糸抽出期および収穫時熟度
絹糸抽出期はほぼ「ダイヘイゲン」並で、収穫時熟度は「ダイヘイゲン」並かやや進む。総体の乾物率は「ダイヘイゲン」並〜やや低い。早生の晩に属する(HRM=136)。
2)耐倒状性
「ダイヘイゲン」並〜やや強い。
3.発芽および初期生育
発芽は「ダイヘイゲン」より遅く、初期生育は「ダイヘイゲン」に比べ劣る。
4)収量性および乾物特性
TDN収量は「ダイヘイゲン」に比べ多く、乾物中TDNはほぼ「ダイヘイゲン」並である。
5)形態特性
稈長は「ダイヘイゲン」並〜やや低く、着雌穂高は「ダイヘイゲン」よりやや低い。
6)耐病性
すす紋病抵抗性は「ダイヘイゲン」並〜やや強い。
ごま葉枯病抵抗性は「ダイヘイゲン」よりやや強い。

10.成果の具体的数字
 特性検定試験成績(北農試)
項目
調査時期
/品種系統
すす紋病 ごま葉枯病
63.9.1 元.9.1 63.9.1 元.9.1
AW611 3.5 3.3 3.0 3.5
ダイヘイゲン 3.5 3.5 3.3 4.0
ワセホマレ 2.5 3.3 2.5 3.5
注:Elliott&Jenkinsの指数
(0:無〜5:甚)による。

試験
場所

形質
品種・系統名



(月日)



絹糸
抽出期
(月日)


(%)
収穫時熟度 10a当り収量(kg) 総体の
乾物率
(%)
乾雌穂
重割合
(%)
乾物中
TDN
(%)


T
D
N
同左
比(%)
十勝
農試
63

2
AW611 5.24 1.4 8.1 0.2 黄初〜中 1286 925 114 27.6 50.9 71.8
ダイヘイゲン 23 1.0 1 1.2 黄初〜中 1125 809 100 29.2 50.7 71.8
ワセホマレ 23 1.0 1 6.0 黄中〜後 1059 762 94 30.5 50.6 71.8
北見
農試
63

2
AW611 5.30 1.8 8.6 1.2 黄中〜後 1257 905 111 26.6 51.4 72.0
ダイヘイゲン 29 1.3 7 2.2 黄中〜後 1146 815 100 25.6 46.5 70.6
ワセホマレ 29 1.2 6 6.1 黄中〜後 1023 732 90 26.9 47.3 70.9
天北
農試
63

2
AW611 6.1 1.6 8.13 9.2 黄初 1155 833 116 26.3 52.0 72.1
ダイヘイゲン 1 1.2 15 26.0 糊後〜黄初 993 718 100 25.7 52.6 72.3
ワセホマレ 5.31 1.1 14 29.3 黄初 937 680 95 27.2 54.1 72.7
根釧
農試
63

2
AW611 6.7 3.0 8.19 21.3 糊後 1068 744 105 23.3 42.1 69.5
ダイヘイゲン 6 2.1 19 25.7 糊中〜後 1007 706 100 22.9 43.3 69.8
ワセホマレ 6 2.3 17 44.3 糊後〜黄初 948 654 93 23.8 39.0 68.6




2
AW611 5.31 1.5 8.5 10.2 黄初〜中 1329 967 106 27.8 54.2 72.8
ダイヘイゲン 30 1.0 5 27.3 黄初〜中 1234 911 100 30.5 58.4 73.9
ワセホマレ 29 1.0 4 49.9 黄中 1168 864 95 32.8 58.9 74.0




2
AW611 6.5 1.8 8.7 0 黄後 1230 876 113 25.2 48.6 71.2
ダイヘイゲン 5 1.3 8 0 黄中〜後 1084 778 100 28.1 50.6 71.8
ワセホマレ 5 1.3 8 0 黄中〜後 1079 762 98 25.2 46.2 70.6




2
AW611 6.6 2.0 8.5 2.5 黄初〜中 1488 1044 113 25.3 44.7 70.2
ダイヘイゲン 6 1.2 5 30.0 黄中 1255 921 100 30.5 56.5 73.4
ワセホマレ 5 1.8 3 30.0 黄中〜後 1092 794 86 30.2 54.4 72.8




2
AW611 6.4 2.9 8.11 42.0 黄中〜後 1139 814 104 26.5 48.9 71.4
ダイヘイゲン 2 2.0 10 38.0 黄中 1078 786 100 27.8 54.7 72.9
ワセホマレ 2 2.0 7 43.3 黄中〜後 1073 785 100 31.5 55.7 73.2
注:初期生育は指数(1:良〜5:否)で示す。

11.成果の活用面と留意点
1)普及対象地域:十勝中部、網走内陸、および道北、根釧の気象条件の良好な地帯。
2)栽培利用上の注意:一般栽培基準に準ずる。ただし、「ダイヘイゲン」に比べ発芽が遅く、初期生育が劣るので、肥料やけに留意し、初期雑草の対策を十分に行う。
3)種子供給が可能となる時期:平成3年
4)普及見込面硯:1500ha
5)配布し得る種子量:2t

12.残された問題とその対応