【普及奨励事項】
1.課題の分類  草地 育種 長大型作物−A-5
          北海道 草地−畑作
2.研究課題名  とうもろこし(サイレージ用)「EXP-646」に関する試験
3.予算区分  受託
4.研究期間  昭和63年〜平成2年
5.担当  農林水産省北海道農試、北海道立中央農試、道南農試、上川農試
6.協力・分担関係

7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
品種名:EXP-646(DK-464)
組合せ:単交配(デント×デント、構成系統は不明)
育成者:デカルブ プラント ジェネティックス(アメリカ)
導入者:カネコ種苗(株)
登録:

9.結果の概要・要約
(1)絹糸抽出期は「キタユタカ」より3日程遅く、「P3732」より2日程早い。収穫時熟度は「キタユタカ」よりやや遅く、「P3732」よりやや早い。中生の晩に属する。
(2)耐倒伏性は「P3732」よりやや弱く、「キタユタカ」並かやや強い。
(3)発芽は「P3732」よりやや早く、「キタユタカ」並である。初期生育は「P3732」並で「キタユタカ」よりやや劣る。
(4)稈長は「P3732」より低く、「キタユタカ」よりやや高い。着雌穂高は「P3732」より低く、「キタユタカ」より高い。
(5)TDN収量は「P3732」並で「キタユタカ」より高い。乾物中TDNは「P3732」「キタユタカ」並かやや高い。総体の乾物率は「P3732」「キタユタカ」並かやや高い。
(6)すす紋病抵抗性は「P3732」よりやや弱く、「キタユタカ」よりやや強い。ごま葉枯病は「P3732」「キタユタカ」より強い。

10.成果の具体的数字




形質
品種
系統名



(月日)



絹糸
抽出期
(月日)
収穫時
熱度
倒伏
含折損
(%)
10a当り収量(kg) 総体乾
物率
(%)
乾雌穂
重割合
(%)
乾物中
TDN
(%)
乾総重 TDN (%)


63

平2
EXP-646 5.25 1.9 8.7 黄中後 0.0 1459 1068 93 28.8 55.9 73.2
P3732 5.26 1.8 8.9 黄中後 0.2 1578 1153 100 29.4 55.6 73.1
キタユタカ 5.26 1.5 8.5 黄後 0.5 1424 1042 90 28.0 55.7 73.1
中央
農試
63

平2
EXP-646 5.24 1.7 8.4 黄中 0.0 1858 1352 101 31.1 54.5 72.8
P3732 5.24 1.8 8.6 黄中 0.0 1852 1341 100 30.1 53.0 72.4
キタユタカ 5.24 1.7 8.1 黄中 0.0 1676 1210 90 30.2 52.2 71.9
道南
農試
63

平2
EXP-646 5.30 2.3 8.5 黄中後 4.4 1876 1353 99 28.4 51.9 72.1
P3732 6.1 2.4 8.7 黄中 2.8 1913 1371 100 28.4 50.0 71.6
キタユタカ 5.30 2.1 8.2 黄中 4.4 1638 1174 86 26.9 50.2 71.6
上川
農試
63 EXP-646 5.30 3.0 8.6 黄初 0.0 1908 1369 96 30.4 50.5 71.8
P3732 5.31 3.0 8.8 黄初 0.0 2044 1429 100 28.3 43.6 69.9
キタユタカ 5.30 2.7 8.3 黄中 0.0 1659 1195 84 27.5 51.7 72.0


平1

2
EXP-646 5.25 2.2 8.6 黄中 0.0 1765 1289 106 29.4 55.5 73.1
P3732 5.26 2.2 8.10 黄初中 0.0 1686 1218 100 27.2 52.4 72.2
キタユタカ 5.25 2.4 8.7 黄初中 0.0 1481 1072 88 29.1 52.8 72.4


平1

2
EXP-646 5.28 1.5 8.7 黄初中 1.7 1582 1149 102 27.3 53.7 72.6
P3732 5.28 1.5 8.9 黄初 0.8 1571 1125 100 26.1 50.0 71.6
キタユタカ 5.28 1.5 8.5 黄中 4.3 1459 1025 91 27.5 45.1 70.3

  すす紋病 ごま葉枯病
昭63 平1 昭63 平1
EXP-646 1.5 2.8 1.0 2.3
P3732 1.5 2.3 1.5 2.5
キタユタカ 2.0 2.8 2.0 3.3
両年とも9月1日調査
Elliott&Jenkinsの指数(0:無〜5:甚)による。

11.成果の活用面と留意点
(1)普及対象地域:道央(北部を除く)、道南
(2)栽培利用上の注意:耐倒伏性が強いとはいえないので、適正な栽植密度と施肥量を守る。
(3)種子供給が可能となる時期:平成3年
(4)普及見込み面積:2000ha
(5)配布しうる種子量:10t

12.残された問題とその対応