【普及奨励事項】
1.課題の分類  草地 育種 長大型作物−A-5
        北海道 草地−畑作
2.研究課題名  とうもろこし(サイレージ用)「EXP-654」に関する試験
3.予算区分  受託
4.研究期間  昭和63年〜平成2年
5.担当  農林水産省北海道農試、北海道立中央農試、道南農試、上川農試
6.協力・分担関係

7.目的
サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を検討し、優良品種選定に資する。

8.試験研究方法
品種名:EXP-654(DK-535)
組合せ:単交配(デント×デント、構成系統は不明)
育成者:デカルブ プラント ジェネティックス」(アメリカ)
導入者:カネコ種苗(株)
登録:

9.結果の概要・要約
(1)絹糸抽出期は「P3732」よりやや遅く、「3540」よりやや早い。晩生の中である。
収穫時熟度は「P3732」、「3540」並かやや遅い。
(2)耐倒伏性は「P3732」、「3540」並である。
(3)発芽は「P3732」並で「3540」並かやや遅く、初期生育は「P3732」並かやや劣り、「3540」より劣る。
(4)稈長、着雌穂高は「P3732」、「3540」より低い。
(5)乾物収量、TDN収量は「P3732」よりやや高く、「3540」より低い。乾雌穂重割合は「P3732」並かやや低く、「3540」より高い。乾物率は「P3732」より低く、「3540」より高い。
(6)すす紋病抵抗性は「P3732」よりやや強く、ごま葉枯病は「P3732」より強い。

10.主要成果の具体的数字




形質
品種
系統名



(月日)



絹糸
抽出期
(月日)
収穫時
熱度
倒伏
含折損
(%)
10a当り収量(kg) 総体乾
物率
(%)
乾雌穂
重割合
(%)
乾物中
TDN
(%)
乾総重 TDN (%)


63

平2
EXP-654 5.27 2.2 8.12 黄中後 1.6 1610 1165 101 28.6 51.6 72.4
P3732 5.26 1.8 8.9 黄中後 0.2 1578 1153 100 29.4 55.6 73.1
3540 5.26 1.6 8.13 黄後 0.0 1734 1243 108 27.8 50.3 71.2
中央
農試
63

平2
EXP-654 5.24 1.7 8.7 黄初 0.0 2024 1468 109 28.9 53.6 72.6
P3732 5.24 1.8 8.6 黄中 0.0 1852 1341 100 30.1 53.0 72.4
3540 5.24 1.6 8.9 黄中 0.0 2072 1482 111 28.5 49.6 71.5
道南
農試
63

平2
EXP-654 5.31 2.3 8.8 黄中後 0.0 1881 1353 99 26.4 51.2 71.9
P3732 6.1 2.4 8.7 黄中 2.8 1913 1371 100 28.4 50.0 71.6
3540 5.30 2.0 8.10 黄中後 0.0 2111 1484 108 25.7 46.8 70.0
上川
農試
63 EXP-654 5.31 4.0 8.10 黄初 0.0 1999 1384 97 27.2 41.2 69.2
P3732 5.31 3.0 8.8 黄初 0.0 2044 1429 100 28.3 43.6 69.9
3540 5.30 3.0 8.9 黄初 0.0 2122 1490 104 26.7 45.0 70.2


平1

2
EXP-654 5.25 2.5 8.13 黄初 0.0 1703 1219 100 27.1 49.7 71.5
P3732 5.26 2.2 8.10 黄初中 0.0 1686 1218 100 27.1 52.4 72.2
3540 5.25 2.2 8.14 黄中 0.0 1855 1299 107 24.0 44.3 70.1


平1

2
EXP-654 5.28 2.0 8.11 糊後黄初 0.0 1715 1232 110 26.2 51.0 71.9
P3732 5.28 1.5 8.9 黄初 0.8 1571 1125 100 26.1 50.0 71.6
3540 5.28 1.5 8.14 黄初中 1.0 1804 1260 112 25.5 43.2 70.0

  すす紋病 ごま葉枯病
昭63 平1 昭63 平1
EXP-654 1.3 1.8 0.5 1.3
P3732 1.5 2.3 1.5 2.5
両年とも9月1日調査
Elliott&Jenkinsの指数(0:無〜5:甚)による。

11.成果の活用面と留意点
(1)普及対象地域:道央(北部を除く)、道南の気象条件の良好な地帯。
(2)栽培利用上の注意:一般栽培基準に準ずる。
(3)種子供給が可能となる時期:平成3年
(4)普及見込み面積:1000ha
(5)配布しうる種子量:10t

12.残された問題とその対応