新品種候補【普及奨励事項】    作成(平成6年1月) 
総合農業 作物生産 夏作物 ばれいしょ−Ⅰ−
北海道  畑作         ばれいしょ−育種
ばれいしょ新品種候補系統     「北海73号」の概要
北農試・畑研セ・ばれいしょ育研

1.特性一覧表
系統名     北海73号
交配組合せ  北海61号×R392-50

特性 (長所) (短所)
1.いもは赤皮白肉、高でん粉で変色が
少なく、業務用に適する。
1.煮くずれしやすく、煮物には適
さない。
2.ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
である。

採用予定県及び普及見込み面積     北海道:1,000ha

主要特性
品種・系統名 萌芽時
葉色
茎色 花色 小葉の
大きさ
自然
結果
いも
の形
目の
深さ
皮色 肉色 粒揃 休眠
北海73号 帯紫 赤紫 楕円形 やや浅 淡赤 やや整
男しゃくいも 帯紫 帯紫 淡赤紫 偏球 白黄 やや長
農林1号 帯紫 帯紫 偏球 白黄 やや整 やや短

品種・系統名 枯凋期
(月日)
茎長
(㎝)
茎数
(本)
20g以上
収量
(Kg/1Oa)

(%)
60g以上
収量
(Kg/1Oa)

(%)
でん粉価
(%)
てん粉
収量
(Kg/1Oa)

(%)
平均
1個重
(g)
北海73号 9.26 56 4.1 4613 125 4238 146 20 876 166 109
男しゃくいも 9.7 39 4.6 3694 100 2909 100 15.3 528 100 80
農林1号 62 4.8 4814 130 4569 157 16.5 746 141 134

品種・系統名 剥皮
褐変
調理後
黒変
水煮 蒸し
食味
チップス
適性
フライ
適性
用途
煮くずれ 肉質 肉色
北海73号 食用(蒸し,コロッケ)
男しゃくいも やや粉 食用(一般)
農林1号 やや少 やや粘 灰白 やや適 不適 兼用

2.ばれいしょ「北海73号」の特記のすべき特徴
熟期は「農林1号」より約10日早い中生である。L規格(120〜180g)いもの割合が高く、L規格以上いも収量は「男しゃくいも」の2倍である。いもは赤皮白肉で特徴がある。てん粉価が高く、粉質で調理(加工)品の歩留りが優れ、特にコロッケに通する。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、栽培することにより土壌中のシスト密度を低下させる。

3.奨励品種に推せんしょうとする理由
(1)高でん粉で剥皮褐変・請理後黒変が少なく、コロッケ等の業務用に適する系統である。
ぱれいしよの需要は外食や調理済食品、一次加工品等の業務用が急増しているが、適品種がなく「男しゃくいも」や「農林1号」が便用されている。しかし前者は剥皮褐変が、後者は請理後黒変が多く、適性の優れた新品種の要求が強い。「北海73号」は煮物以外の調理特性に優れ、特に需要の多いコロッケに適する。

(2)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の中生、多収系統である。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の食用品種は早生の「キタアカリ」、「エゾアカリ」および「とうや」があるが、これに中生の「北海73号」を加えることによって長期安定出荷が可能となり、採算性を向上できる。

(3)いもは赤皮白肉で他の食用品種と外観上の区別性がある。
これまでの奨励品種にない赤皮の食用系統なので、地域特産品としての個性的品種の二一ズに応えることができる。

4.普及見込み地帯
   北海道一円

5.栽培上の湖
(1)疫病の初発生が遅れ、生育後半の茎葉罹病により塊茎腐敗が増加することがあるので疫病防除は後半まで行う。
(2)茎が軟らかく、倒伏と軟腐病、菌核病の発生の危険があるので多肥栽培はしない。
(3)赤皮のため緑化いもの識別が難しいので曝光を避ける。