成績概要書【指導参考事項】   (作成平成6年1月)
1.課題の分類 北海道 花き 栽培−アルストロメリア 栽培一般 
2.研究課題名 アルストロメリアの地温抑制および摘蕾による夏秋期生産技術
           (アルストロメリアの生産安定技術確立試験)
3.予算区分 道単
4.研究期間 (平成3年〜5年)
5.担当 中央農試園芸部野菜花き第二科
6.協力・分担関係

7.試験目的
アルストロメリアの主要品種を用いて、本州に端境期にあたる夏秋期の安定生産技術を確立する。

8.試業研究方法
<試験1>地温抑制による生産安定
1)供試品種:パロマ(オーキッドタイプ)、レッドバリー(カルメンタイプ)、セレナ(タッセンタイプ)
2)処理区別:
①白黒マルチ区:白黒ダブルのメデルシート(みかど化工、全幅140㎝、メデル幅110㎝)使用
②もみがら区:もみがらを約5㎝厚に敷き詰めた.
③地中通水区:内径40mmの塩ピ管を約7㎝深に埋設し、3℃の水を循環させた。期間は1992
年7月6日〜9月25日と1993年6月22日〜9月21日。
3)試験規模:1区1.2㎡、6株、2区制、(地中通水区は1区制)
4)施設
加温機付きパイプハウス(間口6.5mX奥行20m)
二重被覆('91.10.25〜'92.4.3,'92.11.6〜'93.4.6)、気温5℃以上に加温
遮光資材「シルバータフペル(遮光率40〜45%)」('92.6.20〜9.21,'93.6.15〜9.20)
5)栽培条件
①定植期:1991年10月24日
②栽植密度:ベッド幅100㎝、2条植え、条間40cm、株間40㎝
③施肥量:基肥 被覆りん硝安カリ360日タイプ2.8-2.4-2.8㎏/a(N-P2O5-K20)
追肥 有機液肥 約0.1-0.1-0.1㎏/a(1992年5月、8月、9月の3回)
           約0.3-0.3-0.3㎏/a(1993年1月〜11月の間、毎月1回)
④その他:フラワーネット(20㎝X20㎝、5段)、灌水チューブ
<試験2>摘蕾による品質向上
1)処理区別:1992年、摘蕾時期2時期[春(5〜6月)、夏(7〜8月)、慣行(無摘蕾)]
1993年、摘蕾時期4時期[5月、6月、7月、8月、慣行]
2)供試品種、試験規模、施設、栽培条件については試験1に同じ

9.結果の概要、要約
<試験1>地温抑制により生産安定
(1)地温抑制効果の認められた処理は地中通水および白黒ダブルマルチで、地中通水によって夏期も地温を15℃以下に保つことができた。
(2)地温を下げることにより、夏秋期の良花本数、切花品質が向上した。
(3)いずれの処理も「パロマ」に最も大きな効果が現われ、「レッドバリー」、「セレナ」は比較的小さかった。
<試験2>摘蕾による品質向上
(1)摘蕾を行なうことにより、採花のピークを調節することができ、ピーク時に高品質の切花を生産することができた。
(2)秋以降の需要期に高品質生産するには7〜8月に摘蕾すると効果的だった。
③いずれの処理も「パロマ」に最も大きな効果が現われ、「レッドバリー」、「セレナ」は比較的小さかった。


図1 地温の推移(1993年度)


図2 地温抑制処理がパロマの月別良花本数に及ぼす影響


図3 慣行区および摘蕾区の月別良花本数
   品種:レッドバリー(1992年度)


図4 摘蕾がレッドバリーの切花長に及ぼす影響(1992年度)

11.成果の活用面と留意点
品種特性を把握した上で、出荷目標時期にあわせた処理法、時期を決定する。

12.残された問題とその対応
(1)白黒ダブルマルチの地温抑制効果(気温との関係〉
(2)地温抑制と摘蕾の組み合わせ方
(3)地温抑制法の経済性評価