1.課題の分類 総合農業 作業技術 収穫・調製 北海道 農業物理 野菜 2,研究課題名 機械収穫にんじんの茎葉仕上げ切断装置の開発 (機械収穫にんじんの受入れ・仕上げ切断システムの開発) 3.予算区分 共同研究(道立相互) 4.研究期間 平3〜平5 5.担当 中央農試 農業機械部 6.協力・分担関係 工試 |
7.研究目的
にんじん収穫機が導入されているが、茎葉が十分に切断されず、施設内で人手による整列作業に多くの人数を要することから、茎葉の自動仕上げ切断装置を開発し、一連の機械化による省力化を進める。
8.試験研究方法
1)開発目標
(1)機械収穫され、粗切断された茎葉を10mm以内に切断する。
(2)選別施設のラインの中に組み込み、自動的に処理する。
(3)毎秒2本程度の処理能力で、施設の能力に応じて複数台数を使用する。
2)試験調査項目
にんじん形状、トレイコンベヤヘの納まり状態、茎業切断長
9.成果の概要・要約
1)道内で生産されている殆どのにんじんは円錐形を呈する品種であることからこの形状を利用し、茎葉の付いている部分を揃えて茎葉を切断する方式の自動切断装置を開発した。2)装置は、①処理するにんじんを一定範囲の外径に分ける分級部、②一定間隔で対向し、同方向へ移動するペルトと前倒し棒及びシュートで形成し、茎葉の付いた側を上向きにしてにんじんを吊り、茎葉を先にして次へ供給する肩吊り搬送部、③トレイコンベヤのトレイヘ納め、肩部を規制して位置決めし、茎葉を切る整列切断部一の3部分からなる。
3)分級部コンベヤ速度は18.2cm/s、肩吊り搬送ペルトの間隙は3.5〜6㎝(可変)で速度は0〜56.1cm/s(可変)であり、シュートの長さは33㎝で傾斜度は可変、トレイコンベヤのトレイ底傾斜は可変で、速度は0〜42.2cm/s(可変)である。
4)肩吊り搬送部のペルト間隙を4.6cmとした時、肩吊りするにんじんの最大径は4.7〜5.6㎝であった。
5)毎秒1本の割合で分級部のコンペヤヘ供給した場合、、肩吊り搬送ペルト速度56.1㎝/s、シュート傾斜度35°、トレイコンベヤの底傾斜度が36°で速度が21.2〜26.1cm/sでは、供給にんじんの約97%がトレイヘきちんと納まった。
6)処理前に平均31.6mmあった茎葉は、本装置で切断処理すると、平均5.0mmに切断された。5〜10mmの切り過ぎおよび切断長11mm以上の切り不足がそれぞれ約2%、約5%程度生じた。切り過ぎは、肩部分が細くなっているものに見られた。
10.主要成果の具体的数字
表1 試作装置の主な仕様
分級部 | 大きさcm | L200×B119×H99 |
分級間隙cm | 2.5〜7.5 | |
搬送速度cm/S | 18.2 | |
肩吊り 搬送部 |
大きさcm | L119XB36×H34 |
吊りペルトcm | 歯付き幅1.5×t5 | |
搬送速度cm/S | 0〜56.1 | |
茎葉 切断部 |
大きさcm | L111XB51XH50 |
トレイ寸法cm | L19cmXピッチ9cm | |
トレイ速度cm/S | 0〜42.3cm/s | |
にんじん押えcm | ペルト、L28XB11 | |
切断刃㎝、rpm | 15φ、1,450 |
図1 試作装置の主要部分
表2 供試にんじん
重量 g |
全長 cm |
最大径 cm |
重心位置 (肩から重心まで) cm |
肩吊り位置* (肩からペルト上端まで) cm |
|
平均 | 195 | 17.1 | 5 | 6.4 | 4.2 |
最大 | 254 | 22 | 5.6 | 7 | 6.8 |
最小 | 145 | 13.5 | 4.7 | 5 | 3 |
図2 トレイへの納まり状態
図3 茎葉切断長
11.成果の活用面と留意点
1).収穫機では茎葉をできるだけ短く切断する。
2)対象にんじんは、円すい形を呈する品種とする。
12.残された問題とその対応