7.目的
コンテナ荷役工程の簡素化による作業効率の向上と、尻根自動切断機構を開発付加して省力化を図ると共に、だいこん収穫機を用いた収穫体系の経費試算を行い導入利用上の参考に供する。

8.試験研究方法

1)試験期日及び場所	平成5年6月〜11月、芽室町,豊頃町、美瑛町,本別町,大樹町
2)供試機	型式:HDH1DX　根菜ハーペスタ
3)供試作物	高畦マルチ栽培　品種「T-340」、「快進2号」、「耐病総太り」
4)装着用トラクタ	50馬力級　四輪駆動型トラクタ

5)調査項目及び具体的方法

(1)構造調査	荷下ろし機構、尻根切断機耕、各部寸法,回転数,動力
(2)圃場条件	土壌硬度、土壌水分(0〜20㎝)
(3)作物条件	畦幅,株間,草丈,引抜き抵抗,抽出根長,根長,全重,根重,形状
(4)収穫作業精度	①作業速度,②各部回転数,周速度等
	③損傷調査:10m区間の抜取り損失、損傷、茎葉切断状況
(5)作業能率	①作業条件:圃場区画、作業の速度変速位置、作業人員
	②作業時間:直進作業、移動、回行、荷下ろし、停止

9.結果の概要・要約
1)コンテナ荷降ろし機構:だいこんハーペスタ(表1)による荷下ろし工程の簡素化を図るため、作業機の後方から満載したコンテナを荷役できる構造に改進した。
①構造と特徴:コンテナを載せる台を作業機のフレームを利用したスライド台車構造とした。新たな作業工程は、コンテナが満杯になると、作業機後方の横送りコンベヤを引き抜きコンベヤ側を回転中心として後方に開き、中央部のコンテナ(550㎏)を後方にスライド移動させてフロントローダで荷役が行われる(図1)。空コンテナ(90㎏)の扱いもスライド台車で行うため女性1人の補助作業となった。1回の荷役サイクルタイムは80〜100秒で、満載コンテナを作業機の側方から扱う方式に比べ荷役正味時間は50〜110秒で同程度であるが、段取りや熟練度による時間の差が少なくなり、作業全体の時間では短縮した。
②作業能率:収穂作業は、マルチビニールの両端を予め柄付ナイフで切断除去し、作業速度0.09〜0.13m/sで行った。作業人員は、機上で尻根切断を行う場合は補助者が3人必要である。作業能率は作業の慣れが関与し、毎時1.7〜3.5aであった。圃場の長さで回行時間が異なるが、正味荷下ろし時間割合は全作業時間の5〜6%であった(表3)。
2)尻根自動切断装置
①構造と特徴:出荷調製時に不要な直径1㎝φ以下のだいこんの尻根を収穫と同時に自動切断除去する機備である(表2)。だいこんをぷら下げた状態で後方に移動させる装置の途中に装着し、だいこんの移動とともに不要な尻根を所定の太さの所で自動切断除去する。切断装置は、ナイフ刃と回転刃が適応するが、モータ駆動の回転刃による方がナイフ刃による切断より確実で、かつ切断面がきれいに仕上がることが判明した。なお、尻根自動切断装置は、だいこんの品種や形状に応じて取付位置及び姿勢制御板の傾斜角度、切断装置の間隔等を調節する。
②切断精度:「耐病総太り」を供試し、作業速度0.1m/sで収穫作業を行った結果、切断ミスは皆無で尻根切断部の径は11.4±4.6mmと切断状態も良好であった(表4〕。
3)3人組作業時の時間当り利用経費は年間400時間稼働で6,485円、800時間で5,357円である。

10.成果の具体的数字

図1　コンテナ荷下ろし機構

表1　だいこんハーベスタ主要諸元

型　　　　式		HDH1DX
機体寸法	全長(㎜)	3,780
	全幅(㎜)	2,440
	全高(㎜)	2,600(テントフレーム)
機体重量(㎏)		695
前輪(径X幅㎜)		457φx700鉄製
後輪(径X幅㎜)		445φx213自在輪
コンベヤ引抜き(m/s)		0.1〜0.3
速度横送り(m/s)		0.2〜0.6
茎葉切断装置	刃径(㎜)	200φ
	回転数(rpm)	1,000
	駆動方法	油圧モータ
最大積載量(㎏)		600(作業員除く)
作業速度(㎞/hr)		0.3〜0.7
適応トラクタ	馬力(Ps)	40〜60四躯微速付
	装着方法	半直装
作業人員(人)		3〜4(トラクタ0P含)

表2　尻根切断装置主要諸元

姿勢制御板	寸法(㎜)	半径150X長さ350の半曲板
	傾斜角(deg)	可変
	損傷対策	ゴム板被覆
尻根切断刃	回転刃直径(㎜)	140
	回転数(rpm)	500〜800
	駆動方法	モータ
装着法		懸垂フレームをボルト締め

表3　作業能率

地区	面積 区画 (a)	作業 速度 m/s	総作業 時間 h	実 作業 %	回行 %	荷 降し %	停止 調整 %	作業 能率 a/h	ha投下 労助時間 man・h/ha
本別	9.4	0.13	2.27					3.53	113
	11.6x81m		100.0%	65.5	15.5	5.5	13.5
大樹	3.52	0.13	0.99					3.56	112
	1.4x251.7m		100.0%	87.7	3.6	5.4	3.3
芽室	1.17	0.09	0.68					1.72	174
	1.8×64.8m		100.0%	88.4	1.1	5.9	4.6
豊頃	2.35	0.12	1.01					2.31	173
	1.2x195.8m		100.0%	85.7	0.7	5.4	8.2
美瑛	1.13	0.17	0.39					2.9	103
	1.2x94.5m		100.0%	77.4	14.5	3.5	4.6

表4　尻根切断精度

供給速度 (本/秒)	根長 (㎝)	尻根切断径 (mmφ)	切断ミス	切断状況
0.42	35.3±3.4	11.4±4.6	0	良好

11.成果の活用面と留意事項
①普及上の留意事項　平坦圃場での作業が好ましい。
②成果の取扱い　平成4年度普及奨励事項の補遺

12.残された問題点とその対応
傾斜地適応化と湿地圃場適応性