|
1.課題の分類 畜産 めん羊 育種 北海道 畜産 2.研究課題名 サフォークの家系内選抜による離乳時体重の大型化 (サフォークの系統造成に関する試練) 3.予算区分 道単 4.研究期間 昭48〜 5.担当 滝川畜試研究部めん羊科 6.協力・分担関係 なし |
7.目的
離乳時体重(4か月齢体重)を単子雄で45㎏を目標として改良することにより、分娩からラム肉出荷までの期間を短縮する。また、関連形質の特性についても明らかにする。
8.試験研究方法
(1)選抜育種試験
(2)関連形質の特性調査
9.結果の概要・要約
(1)最小二乗法により、昭和52〜平成2年までの年次間の有意差検定を行った。その結果、昭和52〜53年と平成元〜2年の間には、1%水準で有意な差があった。この間、飼養管理に大きな変化は無く、改良による離乳時体重である4か月齢体重の大型化した。この間の改良により、昭和46〜52年に単子雄で36.3㎏であった離乳時体重ほ45.2㎏まで大型化した(表1)。
(2)−1 4か月齢の冷と体重は改良前に16.3㎏であったのが、改良後には19.4㎏に増加した(表2)。また枝肉の部位別割合でほ、ロースの占める割合が改良前の20.8%から改良後には22.4%へと増加した(表3)。
(2)−2 15か月齢体重は改良前に雄が71.4㎏、雌が51.3㎏であったのが、改良後は雄が83.8㎏、雌が60.4㎏に大型化した。それにともない、雄は体高が68.2cmから72.4cmへ、体長が79.0cmから81.8cmへと大型化した。雌も体高が63.1cmから66.7cmへ、体長が72.4cmから73.6cmへと大型化した(表4)。
(2)−3 子羊生産率は改良前に156.5%であったのが、改良後は182.5%を示すまでになった。また、交配雌羊当たりの育成子羊頭数は1.13頭であったのが、1.51頭に増加した(表5)。
(2)−4 産毛量は2〜4歳の雌で改良前が2.7gであったのが、改良後には2.9㎏と増加した。しかし、剪毛前体重の増加により、産毛率は低下した(表6)。雄も同様の傾向であった。
10.成果の具体的な数字
表1 4か月齢体重の比較 (㎏)
| 雄 | 雌 | |||
| 単子 | 双子 | 単子 | 双子 | |
| 改良前 | 36.3±6.3 | 30.1±5.8 | 33.6±5.2 | 28.0±4.6 |
| 改良後 | 45.2±5.8 | 38.2±5.7 | 41.1±6.1 | 35.1±4.9 |
表2 サフォークの4か月齢におけると殺解体成績-(1)
| 頭数 | 絶食前体重 (㎏) |
絶食後体重 (㎏) |
冷と体重 (㎏) |
枝肉歩留 (%) |
精肉歩留(%) | ||
| 体重比 | 枝肉比 | ||||||
| 改良前 | 12 | 37.3±5.6 | 34.6±5.2 | 16.3±3.1 | 47.0±2.2 | 35.3±2.6 | 76.3±2.0 |
| 改良後 | 12 | 44.4±3.0 | 41.0±2.5 | 19.4±1.6 | 47.3±1.8 | 35.5±2.0 | 75.0±1.8 |
表3 サフォークの4か月齢におけると殺解体成績-(2)
| 頭数 | 枝肉部位別割合(%) | 脂肪厚(mm) | ロース 断面積 (㎝2) |
|||||
| カタ | ロース | バラ | モモ | ロース上 | 肋上 | |||
| 改良前 | 12 | 27.1 | 20.8 | 19.5 | 32.7 | 2.3 | 4.5 | 11.3 |
| 改良後 | 12 | 27.2±1.8 | 22.4±1.4 | 18.6±2.2 | 31.7±0.6 | 2.5±0.8 | 6.5±2.3 | 12.9±1.5 |
表4 15か月齢体尺値の比較
| 性 | 体重(㎏) | 体高(㎝) | 体長(㎝) | 胸幅(㎝) | 胸深(㎝) | 腰角幅(㎝) | 尻長(㎝) | |
| 雄 | 改良前 | 71.4±5.7 | 68.2±3.5 | 79.0±3.6 | 24.5±1.8 | 32.1±2.0 | 20.4±1.0 | 25.6±1.1 |
| 改良後 | 83.8±10.3 | 72.4±2.5 | 81.8±3.5 | 23.9±1.9 | 32.4±1.9 | 21.0±1.7 | 26.0±1.6 | |
| 雌 | 改良前 | 51.3±4.5 | 63.1±3.4 | 72.4±3.1 | 22.1±1.4 | 28.4±1.5 | 18.9±1.1 | 23.0±1.4 |
| 改良後 | 60.4±5.8 | 66.7±2.6 | 73.6±3.1 | 21.0±1.5 | 29.0±1.5 | 19.2±1.5 | 22.8±1.3 | |
表5 繁殖成績の比較
| 交配頭数 (頭) |
交配時 体重 (㎏) |
受胎率 (%) |
子羊 生産率 (%) |
単子分娩 割合 (%) |
育成率 (%) |
交配雌羊当たり 育成子羊頭数 (頭) |
|
| 改良前 | 1,669 | 61.7 | 89.9 | 156.5 | 47.3 | 80.2 | 1.13 |
| 改良後 | 1,090 | 76.4 | 94.7 | 182.5 | 28.0 | 86.5 | 1.51 |
表6 2〜4歳の産毛成績
| 性 | 頭数 | 剪毛前体重 (㎏) |
毛量 (㎏) |
毛長 (cm) |
産毛率 (%) |
|
| 雄 | 改良前 | 87 | 91.7±11.7 | 3.4±1.2 | 9.3±2.2 | 3.7±1.0 |
| 改良後 | 35 | 122.1±12.2 | 4.4±0.8 | 10.7±1.7 | 3.6±0.6 | |
| 雌 | 改良前 | 884 | 58.8±9.1 | 2.7±0.7 | 8.6±2.0 | 4.6±1.0 |
| 改良後 | 888 | 58.8±11.1 | 2.9±0.6 | 9.4±3.3 | 3.8±0.9 | |
11.成果の活用面と留意点
(1)種畜の導入により在来サフォーク群の資質の向上が図られる。
(2)本成績は夏期放牧、冬期舎飼い、多頭数飼育の条件下でまとめたものである。
12.残された問題とその対応
(1)産肉能力検定方法の確立