7.目的
春播き〜晩夏播きに適した雨よけ生食用ホウレンソウの品種選定のための資料を得る。
8.試験研究方法
(1)試験年次及び実施場所(土質・土性)
上川農試:平成5年、士別市(中粗粒褐色低地土)
平成6年、比布町(礫質褐色低地土)
中央農試:平成5年、長沼町(火山性土)
試験地 | 試験年 | 作期 | 播種期 | 供試品種系統数 | 1区面積(㎡) | 施肥量(㎏/a) | ||
N | P2O5 | K2O | ||||||
上川農試 | 平成5年 | Ⅰ | 5月12日 | 45 | 0.45 2反復 |
2.0 | 2.0 | 2.0 |
Ⅱ | 6月14日 | 43 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |||
Ⅲ | 7月27日 | 49 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | |||
Ⅳ | 9月1日 | 44 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | |||
平成6年 | Ⅰ | 5月6日 | 29 | 0.50 2反復 |
2.0 | 2.0 | 2.0 | |
Ⅱ | 6月13日 | 25 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |||
Ⅲ | 7月25日 | 34 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |||
Ⅳ | 9月1日 | 31 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |||
中央農試 | 平成5年 |   | 5月18日 | 47 | 0.36〜 0.45 3反復 |
1.5 | 2.0 | 1.0 |
6月15日 | 42 | 残存硝酸態N量を測定し 1.5Kg/aとなるように 施肥量を決定した |
||||||
7月14日 | 46 | |||||||
8月26日 | 44 |
9.結果の概要・要約
《作期Ⅰ》…5月上旬播種
2年間共通して早抽からやや早抽群の品種・系統で抽台がみられたため低収であった。「スターマイン」
「S481」は2年間共通して多収であり総合的な評価も高かった。地域農業センターの結果も合わせて考察す
ると先の2品種に加えて「晩抽ジュリアス」も総合的な評価が高かった。
《作期Ⅱ》…6月中旬播種
2年間調査した品種の中で抽台は早抽からやや晩抽群にもみられ、そのために低収となった。抽台のみられ
なかった品種・系統ば「トニック」並の収量であった。総合的な評価を地域農業センターの結果と合わせて
考察すると「なつよし2号」「サンシャイン」「晩抽ジュリアス」が高かった。
《作期Ⅲ》…7月下句播種
抽台のみられた品種・系統は規格内株率が低く低収となった。2年間調査した品種・系統の内「サンシャイ
ン」が多収であり「ジュリアス」「サマーライダー」などは「トニック」と比較してやや多収であった。「晩抽ジュリ
アス」は発芽が良好であった。地域農業センターの結果も合わせて考察すると「サンシャイン」「ジュリアス」
「サマーライダー」が総合的な評価が高かった。
《作期Ⅳ》…9月上旬播種
抽台は確認されなかったが、収量は「リード」並かやや低収であった。晩抽群の品種・系統は、生育日数が
多くこの作期には不適であった。地域農業センターの結果と合わせて考察すると、総合的な評価が高
かったのは、「MD」「ニュースターⅡ」「アールフォー」であった。
10.成果の具体的数字
品種・系統特性要覧*品種および系統名 | 種子元 | 抽台性 | 草姿 | 葉 | 収量の標準対比 | ||||
形 | 色 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | ||||
リード アールフォー |
雪印種苗 雪印種苗 |
早抽性 早抽性 |
立 立 |
ヤヤ剣(2) 中(3) |
薄 中 |
100 68 |
|||
ニュースターⅡ MD |
雪印種苗 山陽 |
ヤヤ晩抽性 ヤヤ晩抽性 |
立 半立 |
中(3) 丸(4) |
中 中〜濃 |
88 92 |
|||
ジュリアス サンシャイン |
雪印種苗 武蔵野 |
ヤヤ晩抽性 ヤヤ晩抽性 |
半立 半開 |
丸(4) 丸(4) |
中〜濃 中 |
88 |
127 119 |
||
なつよし2号 トニック サマーライダー スターマイン 晩抽ジュリアス S481 |
永池 渡辺採種場 タキイ 大谷 雪印種苗 サカタ |
晩抽性 晩抽性 晩抽性 晩抽性 晩抽性 晩抽性 | 半開 半開 半開 半開 開 開 |
ヤヤ丸(3.5) 丸(4) 中(3) 丸(4) 丸(4) 丸(4) |
中 濃 濃 中〜濃 中〜濃 中〜濃 |
100 120 110 111 |
93 100 66 |
100 121 |
品種および系統名 | べと病抵抗性(レース4) |
中央農試(平成5年) | |
リード アールフォー |
△ ◎ |
ニュースターⅡ MD |
− − |
ジュリアス サンシャイン |
△ △ |
なつよし2号 トニック サマーライダー スターマイン 晩抽ジュリアス S481 |
△ △ − △ − ◎ |
11.成果の活用面と留意点
1)播種時期毎の品種選定上の資料となる
12.残された問題点とその対応
1)病害抵抗性の検討
2)内部品質(シュウ酸、硝酸)についての検討