【指導参考事項】
成績概要書 　　　　　　　　　 (作成　平成９年 1月）
課題の分類　　　　北海道　作物　園芸−
　　　　　　　　　　　　野菜　育種　メロン　品種比較
研究課題名：メロン（赤肉）の品種特性
　　　　　　（移出野菜の品種特性調査）
　　　　　　（野菜品種早期普及促進事業）
予算区分：道費
担当科：花・野菜センター　研究部野菜第一科
試験期間：平６〜８年度
協力・分担関係：

１．目的
　生産地において速やかに優良な品種を導入・普及するために、民問育成品種・系統の特性を明らかにし、品種選定の資料を提供する。

２．試験研究方法
　１）試験実施機関、実施年次および耕種概要
試験実施機関 年
次		 播種
期		 定植
期		 畦間
(cm)		 株間
(cm)		 栽植
密度
(株/a)		 1区
株数		 反復
数		 目標
着果
節位		 施肥量(Kg/a)
N P2O5 K2O
中央農業試験場 H6 4/19 5/19 360 75 37 4 2 8-12 1.4 3.0 2.0
〃 H7 4/20 5/24 340 80 37 4 2 8-12 1.4 3.0 2.0
花・野菜技術センター H8 4/30 6/4 340 80 37 4 2 8-12 1.5 2.4 1.7
訓子府町農業協同組合 H6 4/25 5/28 270 70 53 5 2 8-12 0.5 0.4 0.7
〃 H7 4/20 5/22 270 70 53 5 2 8-12 0.5 0.4 0.7
〃 H8 4/25 5/30 270 70 53 10 1 8-12 1.1 2.2 1.0
北槍山町農業センター H7 4/26 6/1 300 70 47 5 1 8-12 0.8 0.6 0.6
〃 H8 4/12 5/15 230 80 54 13 1 9-13 0.5 1.6 1.2
中富良野農業協同組合 H7 4/11 5/11 330 75 40 5 2 10-14 0.8 2.1 1.5
〃 H8 4/13 5/12 330 75 40 5 2 10-14 0.8 2.3 1.0
遠別町農業振興センター H8 4/11 5/10 320 80 39 5 2 9-12 1.6 2.0 1.6
整枝法：子づる２本仕立て１方向整枝這作り、４果どり（全場所共通）

２）供試品種・系統
　標準品種：「サッポロレット」、共同調査品種：「ピューレッド」「ルピアレッド」 「北紅クイーン」
　検定品種系統：平６年；２４品種・系統、平７年；１８品種・系統、平８年；１３品種・系統

３．結果の概要
　２カ年以上供試し、総合的な評価が高かった品種・系統の特性概要は以下の通りである。
＜標準品種「サッポロレット」＞
早晩性：「北紅クイーン」は早生、「サッポﾟロレット」「ルピアレッド」は中生、「ピューレッド」は晩生、「ＴＣ−３」は極晩生。
内部品質：「ルピアレッド」は果肉色が濃く、糖度の年次変動が比較的少なく、食味と肉質も比較的
　　　　　　安定して高いことから評価が最も高い。「北紅クイーン」は、糖度の年次変動が少なく、安定して高いことから評価が高い。
外部品質：ネット密度は「ピューレッド」「ルピアレッド」が高いが、「ルピアレッド」は高さに欠ける。
　　　　　　「ＴＣ−３」は、ネット密度はやや低いが高さは高い。果形は「ピューレッド」「ルピアレッド」「ＴＣ−３」はやや長、
　　　　　　「サッポロレット」は長。
収量性：「ルピアレッド」は品質が比較的安定していることから多収。「ピューレッド」は、糖度が不十分な年があり、やや不安定であるが、
　　　　　３カ年平均では多収。「北紅クイーン」は、小果率が高い年があり、やや不安定であるが、３カ年平均では多収。

表1-1　主要特性(中央農試:平成6、7年、花・野菜技術センター:平成8年)
品種・系統名 着果率(%) 成熟日数(日) 平均収穫日(月.日)
H6 H7 H8 H6 H7 H8 H6 H7 H8
サッポロレット 15 6 10 52 51 49 8.8 8.25 8.26
ビューレッド 38 20 25 54 54 54 8.11 8.28 9.1
ルピアレッド 40 20 46 52 52 52 8.8 8.26 8.29
北紅クイーン 29 11 11 49 49 45 8.4 8.21 8.22
TC-3 30 60 - 59 55 - 8.17 8.29 -
上段:3カ年間供試品種、下段:2カ年間(平成6、7年)供試系統

表1-2　主要特性
品種・系統名 糖度(Brix) 平均一果重(g) 日持ち性a) うどんこ病被害程度b)
H6 H7 H8 H6 H7 H8 H6 H7 H8 H6 H7 H8
サッポロレット 14.9 11.5 11.6 1750 1544 1784 ③ ③ ③ 1 3 5
ビューレッド 14.8 13.4 10.9 1638 1581 1760 3 3 3 0 3 5
ルピアレッド 13.5 11.9 12.3 1202 1779 1741 2 3 4 3 0 1
北紅クイーン 14.9 14.1 13.9 1311 1476 1446 2 2 3 4 3 5
TC-3 12.6 11.6 - 1585 1672 - 5 4 - 1 2 -
a):極良(5)-標準品種(3)-極不良(1)、b):甚(5)-無(0)

表2　品種特性総括表
品種名 早晩性 草勢 着果性 肥大性 耐病性 内部品質 外部品質 収量性
標準サッポロレット 中 中 × ○ △ ○ △ △
ビューレッド 晩 や強 ○-△ ○ △ ○-△ ○ ○
ルピアレッド 中 や弱 ○ ○-△ ○ ◎ ○ ◎
北紅クイーン 早 弱 × × × ○ ○-△ ○
TC-3 極晩 強 ◎ ○ ○ ○-△ ○ ○-△
◎(良、強)〜○(や良、や強)〜○-△(中)〜△(や不良、や弱)〜×(不良、弱)
早晩性:極早〜早〜中〜晩〜極晩、耐病性:うどんこ病、べと病等について
「北紅クイーン」は、着果性、肥大性、耐病性は劣るが、早生性が高く評価できる。

４．成果の活用面と留意点
　メロン（赤肉）の品種選定上の参考とする。

５．残された問題とその対応
（１）新しい品種・系統での特性の検討。
（２）土壌病害抵抗性の検討