【指導参考事項】
成績概要書          (作成 平成9年 1月)
課題の分類  北海道 作物 園芸
研究課題名:グリーンアスパラガスの品種特性
      (グリーンアスパラガス品種比較試験)
予算区分:道費
担当科:花・野菜センター 研究部野菜第二科
試験期間:平3〜8年度
協力・分担関係:

1.目的
 近年、国内外で育成されたアスパラガスの品種・系統について、生育・収量及び品質特性について検討・評価する。

2.方法
 1)供試品種13品種・系統(標準品種:メリーワシントン500W)
 2)播種期及び定植期
   播種期:平成4年3月17日定植期:平成4年5月22日
   (湿害のため試験ほ場を移動平成5年5月12日)
 3)1区面積、反復1区21.6m,3反復(移動後は1区7.5m
 4)耕種概要栽培型:露地普通栽培
年度 施肥量(kg/a) 堆肥
(kg/a)
備     考
N-P2O5一K2O
平成4年 1.0-2.0-1.0 200 (堆肥100kgは前年、100kgは定植後、畦間施用)
平成5年 1.5-1.5-1.5 500 (再定植後、畦間施用)
平成6年 1.7-1.6-1.4   (収穫終了後、全層施肥)
平成7年 1.7-1.6-1.4   (   〃   、  〃  )
 5)栽培管理中央農業試験場の慣行栽培に準じた。

3.結果の概要
 供試した13品種・系統のうち、標準品種以上のものについて評価した。
 ウェルカム:収穫の早晩性は、標準品種よりやや早い。雄株率は標準品種並みである
        が、草勢は強い。規格内収量割合及び収量性は高い。
        若茎の茎色はやや淡いが、頭部のしまりは良好である。
 フルート:収穫の早晩性は、標準品種よりやや早い。草勢はやや強く、雄株の割合
       が極めて高い。収量性はやや高く、規格内収量割合は高い。若茎頭部の
       しまりは緩く、アントシアニンの発現も多いが、茎色はやや濃い。
 北大系:収穫の早晩性は、標準品種並みである。雄株率が極めて高く、革勢は強い。
      倒伏に対しては、やや強い。収量性は標準品種よりやや高い。若茎頭部のしまりは良好であるが、アントシアニンの発現がやや多い。
 HLA−7:収穫の早晩性は、標準品種よりやや早い。雄株率はやや高く、
       草勢は強い。規格内収量割合は高く、収量性は標準品種を大きく上回る。
       若茎頭部のしまりは良好で、アントシアニンの発現がなく品質は良い。

主要成果の具体的数字
表-1 品種特性総括表
品種名
または
系統名
若茎 りん片
葉の
アント
シアニン
草勢 耐倒伏 収穫の
早晩性
規格内
収量
割合
収量性 雄株率 雌雄性

区別
茎色 頭部の
しまり
メリーワシントン500W 混合
ウェルカム 2 5 3 5 3 4 4 5 3 混合
ハイデル 1 5 1 2 3 3 3 1 3
バイトル 2 5 1 3 3 2 3 3 3
ポールトム 2 5 4 4 3 4
北海100 3 3 4 4 3 2 3 2 3
UC157 2 5 1 3 3 4 4 3 3
UC800 2 5 4 2 2 3
ぜんゆう 4 2 5 4 3 2 3 3 4 全雄
フルート 4 2 5 4 3 4 4 4 5
北大系 3 5 4 5 4 3 3 4 5
HLA-7 3 5 1 5 4 4 4 5 5
フェスト 3 3 3 3 2 2 4 1 5 全雄
  5:濃 5:緊 5:多 5:強 5:強 5:早 5:高 5:高 5:高  
1:淡 1:緩 1:無 1:弱 1:弱 1:晩 1:低 1:低 1:低
 注)収量性は平成6年から3年間の規格内収量合計を指数化した。
   フェストは組織培養苗を使用した。
   −は湿害等の被害を受けたため未評価。

4.成果の活用面と留意点
 1)播種後5年目(収穫開始3年目)までの成績である。
 2)グリーンアスパラガス品種選定上の資料となる。

5.残された問題点とその対応
 1)経済的収穫可能年限の検討。
 2)「グリーンアスパラガスの新品種に対応した多収栽培法」試験に発展させる。