成績概要書 (作成 平成10年1月)
課題の分類:北海道総合農業農業物理 研究課題名:ブロッコリの機械収穫と茎葉調製装置の開発 予算区分:補助 研究期間:平成6年〜8年 担当:中央農試 農業機械部 機械科 協力・分担関係:なし |
1.目 的
ブロッコリは生育が斉一でないため選択収獲されており、出荷規格に適合した花蕾を手取りし、圃場で不要な葉や茎を調製する方法が一般的で、収穫回数は3回以上である。そこで本試験ではトラクタ装着型の葉茎菜類収穫機の利用によって収穫作業の労力を低減させるとともに、収穫したブロッコリの調製作業の機械化を図る。
2.方 法
(1)ブロッコリの機械収獲
1)供試機 葉茎菜類収穫機:MK-800K
2)試験時期および試験場所 平成6年、北広島市
3)供試品種 緑嶺
(2)茎葉調製装置の開発
1)試作機の形式 定置型チャック把持・回転円盤刃+固定刃式
2)試験時期および試験場所 平成7〜8年、中央農試
3)供試品種 緑嶺
3.結果の概要
(1)トラクタ装着型の葉茎菜類収穫機でブロッコリ「緑嶺」を収穫した。収穫時の作業速度は0.1m/sで、花蕾の基部から25㎝下を目標に切断した。収穫したブロッコリは損傷や汚れがなく、茎が正常に切断された割合は、回転数が1630rpmの時、鋸刃では73.6%、チップソーでは88.2%であったが、茎が湾曲あるいは傾斜していると斜め切りが生じた。また、収穫したブロッコリの葉数は5.9〜7.6枚であった。
(2)茎葉調製は運搬時の損傷を防止するため、下部葉は切断、花蕾周辺の葉は残す調製方式とした。葉の切断はブロッコリを回転させ、回転円盤刃と固定刃で行う。茎葉調製装置は直径60mmの円筒容器内に取りつけられた3本の把持爪と中央部の長さ150mm、太さ6mmのピンでブロッコリを固定する固定金具、ブロッコリと固定金具を搬送するチェーン、ブロッコリを回転させるラックとピニオン、葉を切断する回転円盤刃と固定刃で構成されている。
(3)改良茎葉調製装置ではほぼ設定通りに葉を切断することができ、また残葉の確保も可能であった。しかし、葉柄が広がらず茎にほぼ平行に伸びている葉は切断できなかった。
図1 茎葉調製装置の概略図
図2 ブロッコリー固定金具
4.成果の活用面と留意点
(1)トラクタ装着式葉茎菜類収穫機は畦幅60cm以上に適応し、作業法は右回り作業である。ブロッコリの生育が不斉一な時は、収穫機による一斉収穫では歩留りが低下する。
(2)ブロッコリを回転させ、切断刃で葉を切断する茎葉調製方式では、ブロッコリを確実に固定させることが必要である。
5.残された問題とその対応
茎葉調製装置では固定金具へのブロッコリ供給方法や安定した把持方法の検討。