課題の分類 研究課題名:水田雑草の発生予測法と予測に基づいた除草方法 予算区分:道単 担当科:上川農試 研究部 水稲栽培科 研究期間:平成8−10年度 協力・分担関係: |
1.目 的
無〜減農薬栽培を展開するために、雑草の種類と量を早くに予測し、発生量に応じた除草手段を組み合わせて、できるだけ除草剤に依存しない除草技術を開発する。
2.方 法
3.結果の概要
5. 成果の活用面と留意点
6.残された問題点
1)雑草発生予測のための土壌採取法、雑草発生法、雑草調査方法
調査水田:上川管内クリーン農業実践農家の無除草剤水田、農試の除草剤試験水田など
土壌採取法:耕起前の 4月下旬に土壌採取。「採土管」は水田を1ケ所当たり直径・高さ5㎝の採土管で5個(×100で1㎡)、「表層」は20×20㎝のスコップで表層2㎝、「全層」は同スコップで縦横20㎝、深さ12㎝の土塊を掘り、2㎝毎にスライスし、合計値で示した。
雑草の発生:土壌採取後2〜3日後に採土管5個分、土層別厚さ2㎝スライス1個分をバットに入れ、湛水2日後に代かきした。3〜4㎝湛水で、稲育苗ビニールハウス内に設置した。
雑草調査:ビニールハウス設置30〜40日後の5月末に、発生本数、重量を㎡当たりに換算した。
2)中耕除草機
前年に代かき時期を変えて雑草量を調節した水田。2条20㎝の人力除草機で1回1往復。
3)ノビエ専用剤の殺草効果
ノビエ専用剤:市販されている除草剤の単剤および混合母剤、計5剤
ノビエ殺草調査:目印として処理直前にノビエの葉数を予め記入した柾札をノビエの極く近くに差し、枯殺個体が完全に枯死した時期に枯殺と残草個体に分けた。
1)土層別の種子からの雑草の発生数はノビエでは土層0〜5㎝で約 50%、ホタルイは0〜 5㎝で約 40%で全層にほぼ均等であった(図1)。
2)「表層」予測発生量を土壌0〜2㎝、「全層」を0〜12㎝、「採土管」を採土管0〜5㎝と した場合、実際の水田発生量の関係は一次回帰式が適合した(図2)。
3)1998年の「表層」では1次回帰のX係数が0.177で実際の発生量は「表層」予測量の18% で、寄与率は76%と精度がやや劣った。「全層」では実際は予測の7%発生し、寄与率93% と精度が高まった。「採土管」では実際は予測の13%発生し、精度も両者の中間であった。 ホタルイと広葉ではほぼ同じ傾向があり、広葉では「採土管」の寄与率が高かった。
4)正確さと簡便さが要求される土壌採取による雑草発生予測には、「採土管」は比較的簡便 で、発生源が土壌中に均等に分布しているノビエ、ホタルイなどに適用できると思われた。
5)実際の水田発生量はノビエが予測の約 20%、ホタルイ12〜14%、ヘラオモダカ約12%、 マツバイ14〜18%、ミゾハコベ14%で、おおよそ採土管予測の15〜20%であった(表1)。
6)以上の結果から具体的な雑草発生予測法を示すことができた。
7)採土管予測発生量で、㎡当たりノビエ 400〜 700本では2〜3回の中耕除草、ノビエ 500 〜1200本ではノビエ専用剤の1回処理で対応が可能であった(図3、図4、表2)。
1)予測の調査では雑草が小さいので草種の判別が難しい。雑草種子が着いていると判別し易 いので、抜きとりはていねいに行う。
2)中耕除草機は、活着が悪いとイネを傷めるので、良く活着した時期に行う。
3)除草剤の選定にはノビエだけでなく、その他の難防除雑草に対する効果を考慮する。
1)多年生雑草の発生予測法の確立
2)雑草の個生態と生活環の解明