成績概要書                             (作成 平成11年1月)
課題の分類
研究課題名:短紙筒によるてんさいの育苗移植栽培−補遺−
      (課題名:てんさいの省力栽培における収量向上・安定化)
予算区分:受託
担当科:十勝農試 研究部 てん菜特産作物科
研究期間:平7〜10年度
協力・分担関係: な  し

1.目 的
 短紙筒移植栽培の6週間育苗への適応、特に苗ずらし等による徒長防止処理を行った場合の生育・収量への影響を明らかにし、降雨等で育苗期間がさらにのびた場合の短紙筒の適応性について検討する。

2.方 法
1)6週間育苗における短紙筒の生育・収量(平成7〜10年)
 処理区別 育苗期間:2(4〜5週間、6週間)、紙筒の種類:2
(No1紙筒:紙筒長13cm、短紙筒:紙筒長10cm)
2)6週間育苗における徒長防止処理が生育・収量に及ぼす影響(平成7〜10年)
 処理区別  No1紙筒・無処理
       短紙筒:徒長防止処理3(無処理、苗ずらし1回、生育調節剤)
3)長期育苗への適応性(平成10年)
 処理区別 (主区:移植時期)×(細区:紙筒の種類)×(細々区:徒長防止処理)
       標植:5〜6週間育苗  No1紙筒(13cm)    無 処 理
        晩植:7週間育苗   短 紙 筒(10cm)    苗ずらし1回(4月中旬)
                                  苗ずらし2回(4月上・中旬)
 各試験ともに、乱塊法または分割区法4反復、     生育調節剤処理
 1区13.2〜14.4㎡、畦幅60cm、株間23.8cm、7,003株/10a。      (4月上旬:ウニコナゾールP液剤処理)
 供試品種 平成7年:「モノホマレ」、平成8年:「ユーデン」、平成9年:「ユーデン」、
       平成10年:「ストーク」
 生育調節剤は4月上旬に散布した(ウニコナゾールP液剤、10倍液、50ml/冊)。

3.結果の概要
 1)6週間育苗における短紙筒の収量はNo1紙筒と同等であるが、年次によっては減収することがある。
 2)6週間育苗における徒長防止処理(ウニコナゾールP液剤散布)の収量は、No1紙筒と同等であった。
 3)単年度の成績ではあるが、6週間育苗を前提として育苗し、やむを得ず移植時期が遅れて育苗期間が長  期化した場合には減収した。

表1 6週間育苗における短紙筒の苗ずらしと生育調節剤処理の効果<糖量(kg/10a)>
 処理区別
 
平7
平8 平9 平10 全平均 苗ずらし
苗ずらし
ウニコナ
ゾール
No 1紙筒・無処理 1,180 1,040 1,097 1,091 1,102 1,104 1,094 1,076


無処理 1,175 1,059 1,115 1,006 1,089 1,080 1,061 1,060
苗ずらし1回 1,139 1,079   1,044   1,087    
苗ずらし2回     1,134 995     1,065  
ウニコナゾール   1,047 1,116 1,077       1,080
No 1紙筒・無処理 100 100 100 100 100 100 100 100


無処理 100 102 102 92 99 98 97 99
苗ずらし1回 97 104   96   98    
苗ずらし2回     103 91     97  
ウニコナゾール   101 102 99       100
注)上段は実数値、下段は百分比。右欄の「苗ずらし1」は平成7、8、10年の3年平均、
  「苗ずらし2」は平成9、10年の2年平均、「ウニコナゾール」は平成8〜10年の3年平均。

表2 7週間育苗における短紙筒育苗移植栽培の収穫期調査(平成10年)
処 理 区 別 分岐
根率
(%)
根 長
(cm)
根周
(cm)
収穫株数
(株/10a)
根 重
(t/10a)
根 中
糖 分
(%)
糖 量
(kg/10a)
標植・No1・無処理 4.2 14.0(100) 42.2 6,955 6.34(100) 17.21 1,091(100)
標植・短紙筒・無処理 4.3 12.7<100> 43.0 6,907 6.00<100> 16.76 1,006<100>



No
苗ずらし2回 2.1 14.2(101) 41.6 7,003 5.74( 91) 17.12 983( 90)
苗ずらし3回 2.2 13.9( 99) 40.9 6,858 5.84( 92) 17.24 1,007( 92)
ウニコナゾール 0.7 14.1(101) 41.3 6,809 5.85( 92) 17.20 1,005( 92)


苗ずらし2回 0.7 13.5<106> 42.7 6,907 5.37< 90> 17.14 921< 92>
苗ずらし3回 2.1 13.3<105> 41.2 6,907 5.47< 91> 17.27 944< 94>
ウニコナゾール 0.7 12.7<100> 42.8 6,907 5.36< 89> 16.92 907< 90>
注)( )は「標植・No1・無処理」に対する百分比、< >は「標植・短紙筒・無処理」に対する百分比。

4.成果の活用面と留意点
 1)短紙筒による育苗期間を6週間とすると減収することがあるので、4〜5週間を基本とする。
 2)やむを得ず6週間育苗とする場合にはウニコナゾールP液剤を処理する。

5.残された問題点とその対応
 1)品種による反応の差