研究課題名:宿根カスミソウの品種特性Ⅰ (主要花きの品種特性調査) 予算区分:道費 担当科:花・野菜技術セ 研究部 花き第一科 研究期間:平8〜10年度 協力・分担関係:なし |
1.目的
宿根カスミソウの品種特性を調査し、生産者に最新情報を提供する。そして本道特有の気象条件や作型での栽培に適した品種選定の資料とする。
2.試験研究方法
・供試品種:「ブリストルフェアリー」、「ブランシー」、「ニューフェイス」、「ビッグベン」、「G−7」「アーベル」、「タボール」、「ゴラン」、「雪ん子」 計11品種
「ブリストルフェアリー」はベストシードヤマト(BS)、第一園芸(D)、ミヨシ(M)の3社から導入した。
また「ブリストルフェアリーD」、「雪ん子」は平成9年定植分のみ供試した。
(2)作型:作型Ⅰ(新苗9月切り)、作型Ⅱ(越年株7月切り)
(3)試験規模:平成8年定植 1区10株、2区制 平成9年定植 1区8株、2区制
(4)定植期:平成8年7月8日 平成9年7月3日
(5)栽植様式:ベッド幅40cm、通路60cm、株間40cm、1条植え、2.5株/m2(約20cmの高畦)
(6)施肥量:基肥1.0-1.0-1.0kg/a、 追肥1.0-1.0-1.0kg/a(N-P2O5-K2O)
(7)仕立て本数:作型・(新苗9月切り)は4本仕立て、作型・(越年株7月切り)は6本仕立て
3.結果の概要
(1)早晩性:作型Ⅰでは「タボール」、「ニューフェイス」がやや早生、「ブリストルフェアリーBS、D、M」、「ブランシー」、「アーベル」、「ゴラン」が中生、「ビッグベン」がやや晩生、「G−7」、「雪ん子」が晩生であった。ただし「G−7」は苗が小さく、生育が若干遅れ気味であった。作型Ⅱでは品種の早晩の差は少なかったが、「ゴラン」がやや早く、「雪ん子」が遅かった。
(2)切花特性:作型Ⅰでは切花長の品種間差が大きく「ブリストルフェアリーBS、D、M」、「ゴラン」が長く、「ニューフェイス」、「ビッグベン」が短かった。作型Ⅱでは作型Ⅰより品種間差が小さくなった。切花のボリュームでは「ニューフェイス」、「ビッグベン」が優っていた。
(3)頂花ユニット:作型Ⅰでは「ブリストルフェアリーBS、D、M」はユニットが大きく、「雪ん子」、「ゴラン」、「アーベル」はユニットが小さかった。ユニット長とユニット内段数は概ね比例していた。ユニット内小花数は段数に比例していた。老け花数は段数と小花数が多い品種ほど多くなった。作型Ⅱでは全般に頂花ユニットは作型Ⅰより小さく、品種間差も少なかったが、「ゴラン」、「雪ん子」は中でもユニットが小さく特徴的であった。
(4)奇形花発生程度:作型Ⅰでは「ビッグベン」、「ブリストルフェアリーBS、D、M」に発生が多く、「ゴラン」、「タボール」、「雪ん子」は発生が少なかった。高温年ではほとんどの品種で程度が重くなったが、「ゴラン」、「雪ん子」では問題になるような奇形はほとんど発生しなかった。作型Ⅱでは奇形花はほとんど発生しなかった。
宿根カスミソウの品種特性(作型1:新苗9月切り)
No. | 品種名 | 到花 日数 |
切花長 | 調製重 | 開花 分枝数 |
茎径 | 頂花 ユニット長 |
ユニット内 段数 |
奇形花 発生程度 |
1 | プリストル フェアリーBS |
5 | 5 | 5 | 4 | 6 | 6 | 5 | 7 |
2 | ブリストル フェアリーD |
5 | 6 | 5 | 5 | 6 | 7 | 6 | 7 |
3 | ブリストル フェアリーM |
(5) | (4) | (5) | (4) | (6) | (6) | (6) | (7) |
4 | ブランシー | 5 | 5 | 4 | 4 | 5 | 6 | 5 | 6 |
5 | ニューフェイス | 4 | 2 | 3 | 4 | 5 | 5 | 6 | 6 |
6 | ビッグベン | 6 | 2 | 3 | 5 | 5 | 5 | 5 | 8 |
7 | G-7 | 7 | 4 | 4 | 3 | 6 | 7 | 5 | 7 |
8 | アーベル | 5 | 3 | 3 | 3 | 5 | 4 | 4 | 6 |
9 | タポール | 4 | 4 | 3 | 3 | 6 | 6 | 5 | 5 |
10 | ゴラン | 5 | 5 | 4 | 4 | 6 | 3 | 4 | 4 |
11 | 雪ん子 | (7) | (4) | (4) | (6) | (6) | (2) | (3) | (4) |
宿根カスミソウの品種特性(作型Ⅱ:越年株7月切り)
No. | 品種名 | 切花長 | 調製重 | 開花 分枝数 |
茎径 | 頂花 ユニット長 |
ユニット内 段数 |
1 | プリストル フェアリーBS |
7 | 4 | 6 | 5 | 4 | 4 |
2 | ブリストル フェアリーD |
7 | 4 | 7 | 5 | 4 | 4 |
3 | ブリストル フェアリーM |
(7) | (3) | (9) | (5) | (3) | (4) |
4 | ブランシー | 7 | 4 | 6 | 5 | 4 | 4 |
5 | ニューフェイス | 6 | 6 | 8 | 7 | 4 | 4 |
6 | ビッグベン | 6 | 6 | 8 | 7 | 3 | 4 |
7 | G-7 | 7 | 5 | 7 | 6 | 4 | 4 |
8 | アーベル | 7 | 4 | 5 | 6 | 3 | 3 |
9 | タポール | 7 | 4 | 7 | 5 | 3 | 4 |
10 | ゴラン | 7 | 4 | 6 | 6 | 2 | 3 |
11 | 雪ん子 | (7) | (3) | (7) | (5) | (2) | (3) |
参考(指数に相当する値)
指数 | 到花 日教(日) |
切花長 (cm) |
調製重 (g) |
開花 分枝数 (本) |
茎径 (㎜) |
頂花 ユニット長 (㎝) |
ユニット 内段階 (段) |
奇形花 発生程度 |
2 | <10 | <3 | <5 | <3 | <0.5 | |||
3 | <60 | <70 | <30 | <12 | <4 | <7 | <4 | <1.O |
4 | <70 | <80 | <40 | <14 | <5 | <9 | <5 | <1.5 |
5 | <80 | <90 | <50 | <16 | <6 | <11 | <6 | <2.0 |
6 | <90 | <100 | <60 | <18 | <7 | <13 | <7 | <2.5 |
7 | <100 | <110 | <70 | <20 | <8 | <15 | <3.0 | |
8 | <22 | <3.5 | ||||||
9 | <24 | <4.0 |
頂花ユニット
L=ユニット長
4.成果の活用面と留意点
新苗9月切りおよび越年株7月切り作型での
品種選定の資料とする。
5.残された問題点とその対応
他の作型での検討