成績概要書                    (平成11年1月)
課題の分類:
研究課題名:デルフィニウム(ベラドンナ、シネンシス)の品種特性
        (主要花きの品種特性調査)
予算区分:道費
担当科:花野センター研究部花き第二科
研究期間:平9−10年度
協力・分担関係:

1.目的

本道の気象条件を生かし、4月定植で夏から秋にかけて採花する作型におけるデルフィニウム
(ベラドンナタイプ、シネンシスタイプ)の品種の特性を調査する。

2.方法

供試品種ベラドンナタイプ9品種、シネンシスタイプ6品種
栽培様式ベッド幅:100cm(通路:80cm)、株間:25cm、条間:25cm、4条植え、裁植密度:889株/a
定植期平9:4月25日、平10:4月14日(「ブルーシャドー」、「ブルーミラー」4月30日、「バルクライド」5月14日)
施肥量N、P25、K2O各2kg/a加温条件平9:15℃、平10:10℃

3.結果の概要

各品種の特性概要

1)ベラドンナタイプ
(1)ベラドンナインプ:種子系。平成9、10年通じて、9月以降の生育が悪く、生存株率が最も
低かった。1番花の花蕾数が最も少なく、2番花以降も少なかった。

(2)カサブランカ:種子系。1番花の到花日数は最も長かった。切り花長100cm以上の採花割
合が最も高かった。1番花の切り花重は軽かった。2番花以降の花穂長は長かった。

(3)ベラモーサムインプ:種子系。1番花の採花期が比較的早かった。

(4)ブルーシャドー:種子系。2番花以降の切り花長が短く、切り花長100cm以上の割合は低か
った。着花密度は1番花、2番花以降とも高かった。

(5)アーリーグレイ:種子系。到花日数が長く、1番花の切り花長は最も長く、花穂長も長かった
が、切り花重は軽かった。花径は1番花、2番花以降ともやや小さかった。

(6)F1スカイプリズム:種子系F1。種子系の品種の中では到花日数が最も短く、採花数が最も
多かった。1番花については茎が柔らかく、水管理には注意が必要であると思われた。

(7)F1シィープリズム:種子系F1。種子系の中では採花数が多かった。1番花については切り花
長、花穂長は長かったが、茎が柔らかく、水管理には注意が必要であると思われた。

(8)フォルカフリーデン:栄養系。1番花の開花の揃いが最も良かった。採花数が最も多かった。
1番花、2番花以降とも花蕾数が多く、着花密度が高く、花径は大きかった。

(9)バルクライド:栄養系。切り花長90cm以上の採花割合が高く、70cm未満の割合は低かった。
1番花、2番花以降とも、着花密度が高く、花径は大きかった。

2)シネンシスタイプ
(1)ハイランドブルー:切り花長40cm以上の採花数は最も多く、60cm以上の採花割合も高かった。
1番花、2番花切り花長は比較的長かった。1番花の茎径はやや細かった。

(2)マリンブルー:1番花は比較的切り花重が重く、茎径は太かった。

(3)ブルーミラー:平成9年の1番花は切り花長、花蕾数等、最大であったが、平成10年は定植が遅
かったため、本来の特性が発揮できなかったと考えられた。生存株率は低かった。

(4)トゥインクルラベンダー:1番花、2番花以降とも切り花長が短く、茎径は太かった。

(5)トゥインクルホワイト:1番花の花穂長はやや長く、茎径は細かった。

(6)ブルーシンフォニー:シネンシスタイプの中で唯一、ビーを持つ。1番花は切り花重が重く、分枝
数が多かった。

主要成果の具体的数字

品種特性表 4月植え夏秋切り作型におけるデルフィニウム(ベラドンナタイプ)について  

種苗

形態

品種名

項 目

収量性

切花長

切花重

花穂長

花蕾数

着花密度

茎径

花 径

花 色

(ビーの色)

採花時期z
   Ⅰ,Ⅱ

種子系

ベラドンナインプ

4

6

5

6

4

5

4

4

3

3

4

5

4

5

5

淡青色(白)

カサブランカ

4

6

5

5

4

6

5

5

4

4

4

5

4

5

5

白(白)

ベラモーサムインプ

4

6

5

8

4

6

4

5

4

4

4

6

4

5

5

青(白/青)

ブルーシャドー

3

6

4

8

4

6

4

8

4

7

7

6

4

5

5

青(白/青)

(アーリーグレイ)

5

8

5

5

3

7

4

6

4

4

4

5

4

4

4

淡青色(白)

(F1スカイプリズム)

6

7

5

7

3

6

4

5

3

4

4

5

3

5

5

淡青色(白)

(F1シィープリズム)

6

8

5

7

3

7

4

6

3

4

4

5

3

5

5

青(白/青)

栄養系

フォルカフリーデン

8

6

5

8

3

7

4

8

5

5

7

7

4

7

6

青(白/青)

(バルクライド )

4

5

5

5

3

5

4

6

5

7

7

4

4

7

6

淡青色(白)

z: 採花時期Ⅰは1番花(6、7月)、Ⅱは2番花以降(7〜10月)
( )の品種は平成10年度のみの成績
(指数に
対する値)
収量性
(初年目)
多中少
7 5 3
切花長

長中短
7 5 3
切花重
(調製重)
重中軽
7 5 3
花穂長

長中短
7 5 3
花蕾数

多中少
7 5 3
着花
密度
高中低
7 5 3
茎 径
(切り口)
太中細
7 5 3
花 径

大中小
7 5 3
本/株  cm cm   mm cm
3 <3.0 <70 <30 <20 <9 <0.30 <4.0 <4.0
4 <4.0 <90 <40 <30 <12 <0.35 <5.0 <4.5
5 <5.0 <110 <50 <40 <15 <0.40 <6.0 <5.0
6 <6.0 <130 <60 <50 <18 <0.45 <7.0 <5.5
7 <7.0 <150 <70 <60 <21   <0.50 <8.0 <6.0
8 <8.0 <170 <80   <24       

品種特性表 4月植え夏秋切り作型におけるデルフィニウム(シネンシスタイプ)について

品種名

項 目

収量性

切花長

切花重

花穂長

花蕾数

分枝数

茎 径

花 径

花 色

(ビーの色)

採花時期z
    Ⅰ,Ⅱ

ハイランドブルー

6

6

4

6

4

5

4

6

3

5

3

5

3

5

5

マリンブルー

5

6

3

7

4

5

4

6

3

5

3

7

3

5

5

ブルーミラー

4

6

3

6

4

6

5

6

3

5

3

6

3

5

5

トゥインクルラベンダー

4

5

3

6

3

5

4

5

4

5

3

7

4

5

4

(トゥインクルホワイト)

5

6

3

6

3

6

4

6

6

5

6

5

2

5

5

(ブルーシンフォニー)

5

6

3

7

4

5

3

6

3

6

4

6

2

5

4

青(白/青)

z: 採花時期Ⅰは1番花(6、7月)、Ⅱは2番花以降(7〜10月)
( )の品種は平成10年度のみの成績

(指数に
対する値)

収量性
(初年目)
多中少
7 5 3
切花長

長中短
7 5 3
切花重
(調製重)
重中軽
7 5 3
花穂長

長中短
7 5 3
花蕾数

多中少
7 5 3
分枝数

多中少
7 5 3
茎 径
(切り口)
太中細
7 5 3
花 径

大中小
7 5 3
本/株  cm cm mm cm
2             <2.5  
3 <2.0 <40 <10 <10 <5 <4 <3.0 <3.5
4 <3.0 <50 <20 <15 <6 <5 <3.5 <4.0
5 <4.0 <60 <30 <20 <7 <6 <4.0 <4.5
6 <5.0 <70 <40 <25 <8 <7 <4.5 <5.0
7 <6.0 <80 <50 <30 <9 <8 <5.0 <5.5

4.成果の活用面と留意点

1)4月植え夏秋切り加温作型におけるデルフィニウム(ベラドンナタイプ、シネンシスタイプ)の品種選定のための資料とする。

5.残された問題とその対応

1)別の作型での検討
2)シネンシスタイプの生理生態の解明