成績概要書                          (作成 平成11年1月)
課題の分類 北海道 作 物 園 芸 
研究課題名:デルフィニウムの夜冷育苗苗利用による夏定植10,11月切り作型
       (デルフィニウムの秋期安定生産技術)
予算区分:道費 
担当科:道南農試 研究部 園芸科
研究期間:平成8〜10年度
協力・分担関係:  

1.目 的
 夜冷育苗苗利用によるデルフィニウムの新しい作型,加温夏定植10,11月切り作型を開発する。

2.方 法
1)夜冷育苗による夏定植10,11月切り作型における定植期,夜冷温度,育苗方法の検討
 「スカイブルーインプ」を供試品種とし,定植期(8月12日,8月27日,9月10日),夜冷育苗設定温度(10℃(以下夜冷1区とする),15℃(以下夜冷2区とする),放任 ),育苗方法(200穴その後9cmポット鉢上げ,72穴,128穴)を検討した。
 夜冷育苗法:セルトレーに直接播種後(2粒)催芽した。催芽は発芽器内(啓文社製作所WR-64CH,設定温度15℃)で実施した。夜間冷房の処理時間は18時〜6時とした。また 7月より遮光率50%のシルバー寒冷シャを育苗終了まで行った。
 夜冷処理が設定どうりとならず10℃区で15.1〜17.6℃,15℃区で16.5〜19.3℃であった。また放任区は20.5〜21.9℃であった。 
2)秋期加温夜温と採花時期
「スカイブルーインプ」を供試品種とした。試験1)の9月10日定植苗を使用し,環境制御温室で秋期加温夜温(16,13,10℃)を制御した。
3)日長と到花日数
 4品種(ベラドンナインプ,スカイブルーインプ,サマースカイ,クリアスプリングスホワイト)を供試し,人工光型人工気象機を使用し日長(14,16,18時間)を制御した。

3.結果の概要
1)夜冷育苗の効果として育苗時の抽台抑制,定植後の早期抽台抑制,欠株率の低下,切花品質の向上が認められた。夜冷育苗の処理夜温は15℃が適当であると思われる。
2)大苗ほど欠株率が低く,切花品質も優れていた。
3)夜冷育苗苗利用による夏定植10,11月切り作型では鉢上げ苗を利用し8月下旬まで, 72穴トレーでは8月中旬までに定植することが必要である。
4)秋期加温夜温13,16℃で到花日数の差は少なかったが,切花品質(切花長,切花重,小花数の増加)では13℃が優れていたので,秋期加温夜温13℃が適当である。
5)長日条件で開花促進,切花品質向上効果(切花長,切花重,小花数の増加)が認められた。
6)経営費に占める種苗コストが高く,収益性に大きく影響を与えていた。


 



4.成果の活用面と留意点
 本成績は加温栽培,夏定植10,11月切り作型に適応する。なお経済評価については道南地方についてのみ適応する。
 

5.残された問題点とその対応
 電照による開花促進,立ち枯れ対策