成績概要書                     (作成 平成10年12月)
課題の分類
研究課題名:でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥
    (でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥の可能性に関する試験)
予算区分:受託
担当科:北見農試 研究部 土壌肥料科
研究期間:平成8〜10年
協力・分担関係:  

1.目的  
 でん粉原料用のばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥によってでん粉収量を向上させる可能性を検討するとともに、追肥に替わる緩効性窒素の基肥施用について検討する。
 

2.方法
 (1)試験地:農試(表層腐植質多湿黒ボク土)、清里、斜里、美幌(以上淡色黒ボク土)
 (2)処理区:基肥10kgN/10a(標肥)、開花期追肥4kgN/10a(追肥開花)、培土期追肥4kgN/10a(追肥培土)、緩効性窒素IBの4kgN/10a上積み(緩効4kg)、緩効性窒素IBの6kg/10a上積み+標肥2kg減肥(緩効6kg)、基肥4kgN/10a増肥(増肥4kg)、基肥8kgN/10a増肥(増肥8kg)
 

3.結果の概要
 ①でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対し、窒素追肥及び緩効性窒素の基肥施用を行うことにより、茎長、生育量が増加した。窒素吸収量も増加し、それに伴ってカリの吸収量も増加した。上積みした窒素の効率は、開花期追肥と緩効性窒素IB4kg施用で、50%を越えたが、培土期追肥、基肥窒素の増肥(4kg/10a)では40%以下であった。
 ②でん原用ばれいしょ品種「コナフブキ」に対して開花期に4kg/10a程度の窒素追肥を行うことにより、でん粉収量を5〜15%高めることができた。この際、枯凋期は1週間程度遅れた。また、緩効性窒素IBを同量基肥として上積み施用することにより開花期追肥と同様の効果が得られた。培土期の追肥では幾分効果が下がる傾向であり、4kg程度の基肥の増肥は効果がない。また、基肥で緩効性窒素IBの割合を増やした場合、肥効が遅れて増収効果が得られなかった。
 ③窒素追肥及び、緩効性窒素IBの施用によるでん粉価の低下は、農試では0.5%程度にとどまった。清里試験地ではでん粉価が低下する傾向は認められなかった。
 ④早堀り条件では、追肥、緩効性窒素IBによるでん粉収量の増加は得られなかった。
 ⑤追肥の効果は内陸部の農試よりも、斜網地方の清里試験地の方が大きかった。
 ⑥紅丸では開花期追肥によるでん粉収量の増収効果は認められなかった。紅丸はコナフブキに比べて茎長が長く、早い時期に倒伏したことがその要因と考えられる。

4.成果の活用面と留意点
 ①追肥及びその代替えとしての緩効性肥料IBの施用は「コナフブキ」に限定する。早堀り及び生育が中断される早霜の恐れのある地域は対象としない。
 ②本追肥技術の適用は道東に限り、かつ窒素供給力が高く倒伏が激しい圃場を除く。

5.残された問題とその対応
 ①「サクラフブキ」など他のでん原用品種への対応