課題の分類 北 海 道 生産環境 土壌肥料
研究課題名:かぼちゃの低品質果発生要因と軽減対策 (予算課題名:かぼちゃの低品質果発生要因解明と対策技術の開発) 予算区分: 道 単 担当科:上川農試 研究部 土壌肥料科 中央農試 農産化学部 流通貯蔵科 研究期間: 平8ー10年度 協力・分担関係: |
1.目的
かぼちゃの低品質果実の発生要因を明らかにし、発生軽減対策を確立する。
2.方法
1)低品質果の発生実態調査
調査地区:名寄市、下川町、風連町
調査時期:平成5年9月 4農家、8年9月上旬 19農家、10年9月上旬 27農家
調査項目:かぼちゃ果実品質、養分濃度、土壌理化学性、施肥量、作付け歴等
2)低品質果の発生要因および軽減対策試験
試験地 :風連町 灰色低地土、下川町 褐色低地土、場内 褐色低地土
栽培概要:5月下〜6月上旬 定植、8月下〜9月上旬 収穫、マルチ栽培、子づる3本仕立
80cm×300cm 416.7株/10a 品種「えびす」
施肥量 :窒素8〜10、りん酸10〜18、加里8〜13kg/10a
処理区 :a)要因解析処理 石灰200kg/10a、遮光、断根、接ぎ木
b)対策処理 石灰施用レベル3(少、中、多量施用)、葉面散布等
調査項目:生育、収量、果実品質(乾物率)、土壌化学性
3)かぼちゃ品質の判別
かぼちゃを水没させ、水没前後の容器の重量差+かぼちゃ重量をかぼちゃの容積として比
重を計算した。比重の違いを利用した低品質なかぼちゃの判別を試みた
3.結果の概要
1)かぼちゃの澱粉含量+全糖含量は10〜30%と変動が大きく、それらの低い低品質果(乾物率25%以下、全糖+澱粉含量20%以下)が現地で多く認められ、果肉が水浸状で商品
価値のない極低品質果(潤み果)の発生も認められた(図1)。
2)発生要因として気象、作物、土壌養分条件等の検討を行った結果、土壌中の石灰含量、作物体中の石灰含有率の低い条件でかぼちゃ品質(乾物率または全糖+澱粉含量)は低い傾向が認められ、土壌および作物体の石灰栄養条件が低品質果発生に関与していることが認められた(表1、2、図2)。
3)かぼちゃの品質目標を乾物率25%とすると、そのためには果実肥大期の葉身石灰含有率は
7〜8%、土壌の石灰飽和度は50〜60%程度であることが必要と認められた(図3、4)。
4)極低品質果は正常果と比較して比重が高く、これを利用した非破壊選別(比重選)を検討したが、完全に判別できなかった。
5)以上より低品質果の発生には土壌、作物の石灰栄養条件の関与が認められ、当面の発生軽減
対策として石灰飽和度50〜60%を目途に石灰資材の施用が必要と考えられる。なお、資
材施用量の算出には、pH5.5〜6.0を目途に算出することも可能である(図5)。
4.成果の活用面と留意点
1)本成績は露地栽培、品種「えびす」によるものである。
2)石灰吸収を促進するために透水性の改善などの基盤整備に努める。
5.残された問題点とその対応
1)石灰以外の発生要因の検討
2)石灰施用による乾物率向上機作の解明
3)簡易な非破壊判別法の確立