成績概要書                            (作成平成11年1月)

課題の分類
研究課題名:除草剤DBNに起因するかぼちゃ異常果の発生とその判定法
      (かぼちゃの低品質果発生要因解明と対策技術の開発)
予算区分:道費
研究期間:平8−10年度
担当科:中央農試環境化学部環境保全科
           農産化学部流通貯蔵科
協力・分担:なし

1.目 的

    2,6-dichlorobenzonitrile(一般名:DBN、以下DBNとする)を含む製剤(粒剤・水和剤)処理による異常果発生の確認、異常果発生土壌、およびかぼちゃ果実での残留性とかぼちゃ品質への影響を解析し、非破壊で異常果を判定できる簡易評価法を確立する。

2.方 法

1)ほ場試験

2)枠試験

3.結果の概要

  1. DBNを除草剤使用基準に従って土壌処理を行った跡地に、翌年以降、かぼちゃを栽培した結果、3年目でも異常果が発生することを確認した(表1、2)。
  2. 土壌のDBN残留分析と異常果発生との関係により、検出限界値以下でも異常果の発生がみられ、土壌分析による発生予測は困難と判断された。
  3. 残留分析法の改良により、かぼちゃ果実中にDBNが0.0005μg/g以上残留していれば、DBNによる異常果であると特定できる(表3、4)。しかし、さらに低濃度のDBNによる異常果発生が示唆されることから、DBNが検出されない場合でも、防除歴、およびその他の知見から総合的に判断する必要がある。
  4. DBN処理により、かぼちゃの着果数が増加し、1果重が減少する傾向が認められる(表5)。
  5. DBNによる異常果は、種子の形成が皆無か不完全であり、果肉内部に水浸状の白斑が認められる(写真1)。また、異形果が多く、貯蔵性も劣り、内部成分としては澱粉含量が低い傾向が認められる。
  6. 非破壊での異常果判定法として水浸漬法(スキーム1)の有効性を認めた。すなわち、果実を水浸漬したときの安定度を3段階に分け、安定を正常果(適合率96.0%)、不安定および反転(浮かんでこないものを含む)をDBNによる異常果(適合率87.5%)と判定することができる(表6)。

4.成果の活用面と留意点

    1)本判定法は、DBNに起因する異常果に適用する。

    2)本判定法の使用にあたっては、適合率を十分考慮して活用する。

    3)本判定法の対象品種は「えびす」である。

    4)DBNを処理した圃場においてかぼちゃに異常果が発生しなくなる年数は明らかでないため、かぼちゃ栽培ほ場、苗土にはDBN使用歴のないものを使用する。

5.残された問題点とその対応

    1)土壌および果実中のDBN、その代謝物の残留分析法の改良