|
葉しょう褐変病 : | 葉しょう部の褐変症状と発病との関係の解明,接種試験法の開発,被害解析,対策試験(ケイ酸および窒素施用と発病との関係,薬剤による防除) |
褐 変 穂 : | 被害解析(着色米からの菌分離,分離菌の接種試験,籾の褐変と着色米発生との関係),対策試験(ケイ酸および窒素施用と発病との関係,薬剤による防除) |
葉しょう褐変病
1)被害解析
(1) | 葉しょう部の褐変症状は,葉しょう褐変病によるとは限らない。葉しょう褐変病は葉しょうに水浸状の斑紋を生じ,多発すると必ず出すくみ穂を伴う。 |
(2) | 圃場において葉しょう褐変病を安定的に発病させる接種法を開発した。 |
(3) | 葉しょう褐変病が多発すると,不稔歩合および屑米歩合が増加し著しい減収となり,出すくみ穂率5%以上で被害が生じる(図1)。 |
(1) | 稲体のケイ酸含有率を高めるほど葉しょう褐変病による被害は顕著に軽減され,止葉期で6%,成熟期茎葉で10%以上を確保することで本病による被害を回避できる(図2)。 |
(2) | 葉しょう褐変病に対する薬剤防除は十分な効果を上げうる散布が難しく,実用的な対策にはならない。 |
褐変穂
1)被害解析
(1) | 淡茶米・背黒米からの Alternaria 菌および Epicoccum 菌の分離率は10〜20%以下と低率である。また,これら淡茶米・背黒米は,無接種であっても遅刈りによって顕著に増える(表1,2)。以上のことから,淡茶米・背黒米は菌が直接玄米に感染して生じる症状ではないと考えられた。 |
(2) | 褐変穂の病原菌とされる Alternaria 菌によって,籾の褐変は助長される。その結果として淡茶米の発生が増える。しかし、本菌によって助長される籾の褐変で,不稔や屑米は増えず,減収することはほとんどない(表1,2)。 |
(1) | 淡茶米・背黒米の発生軽減のためには,適期刈りが最も重要かつ実施可能な対策である。 |
(2) | 稲体のケイ酸含有率を高めることにより,籾の褐変と淡茶米の発生を軽減できる(図3)。 |
(3) | 濃茶米は粒厚が薄いものが多く,ふるい目の調整によって除去されるものが多い。 |
(4) | 褐変穂に対する薬剤防除はその効果がほとんど認められず,実用的な対策にはならない。 |
1) | 冷害年に甚大な被害をもたらす葉しょう褐変病と褐変穂に対する実用的な対策を示した。 |
2) | ケイ酸質資材の施用については,平成6年度指導参考事項の「低蛋白米生産のための稲体および土壌のケイ酸指標」に基づいて行う。 |
3) | いずれの病害に対しても,薬剤防除の効果は低く,実効性に乏しい。 |
4) | 褐変穂に対するその他の耕種的対策(畦畔雑草の処理、防風網の設置)は昭和60年度指導参考事項「褐変穂の発生生態と防除」に準ずる。 |
なし