(作成 平成11年1月)
成績概要書
研究課題名:Verticillium dahliaeの検出培地の改良
(平成8年度研究開発調査「ダイコンバ−ティシリウム黒点病菌の選択分離培地の改良」)

予算区分:道 費
研究期間:平成8年
担当科:中央農試 病虫部 土壌微生物科
協力・分担関係:なし

  1. 目 的
     土壌からのV. dahliaeの検出法で用いられている検出培地の精度を向上させるため、検出培地の改良を行なう。

  2. 方 法
     標準培地の選定,標準培地中の抗菌物質の添加量の見直し,新たな抗菌物質の探索,標準培地の見直しと新たな抗菌物質の添加による検出培地の改良,改良したV. dahliaeの検出培地の有用性

  3. 結果の概要
    (1)改良すべき標準培地として田村培地を選定した。田村培地では微小菌核を形成する典型的なV. dahliaeのコロニ−が生育したが、雑菌も多数生育した。雑菌の生育を抑制するように田村培地を改良する必要がある。
    (2)標準培地中の抗菌物質の添加量を見直したところ、ブラストサイジンS乳剤の添加量は、従来の2倍がV. dahliaeの検出により適すると考えられた。
    (3)32種の薬剤を検討した結果、カスガマイシン塩酸塩液剤(1000μl/l),硫黄水和剤F(500μl/l),ペンシクロン水和剤F(500μl/l)をそれぞれPDA培地に添加することにより、F. oxysporumの菌糸伸長がV. dahliaeよりもより強く阻害され、V. dahliaeの検出培地の改良に利用できると考えられた(表−1)。
    (4)以上の結果に基づき標準培地の改良を行なったところ、PCNB水和剤とブラストサイジンS乳剤をそれぞれ標準培地の添加量の1/2と2倍に変え、これにさらにカスガマイシン塩酸塩液剤を1000μl/l添加したPPBK培地がV. dahliaeの検出培地として最も優れていた(表−2)。
    (5)V. dahliaeの検出培地として最も優れていたPPBK培地の組成は次のとおりである。
    ○基本培地(ツァペック培地)
     蒸留水1l当たり寒天15g,ショ糖7.5g,硝酸ナトリウム2g,塩化カリウム0.5g,硫酸マグネシウム0.5g,リン酸水素二カリウム1g,硫酸第一鉄10mg
    ○加用する抗菌物質
     基本培地を溶解後45〜50℃に冷えたところで、1l当たり次の抗菌物質を添加する。
    PCNB(75%)水和剤37.5mg,ストレプトマイシン硫酸塩100mg,ポリオキシン複合体(10%)水和剤500mg,ブラストサイジンS(1%)乳剤0.5ml,カスガマイシン塩酸塩(2.3%)液剤1ml,5gのエタノ−ルに溶かしたクロラムフェニコ−ル250mg

  4. 成果の活用面と留意点
    (1)田村法を用いた土壌からのV. dahliaeの検出用培地として利用できる。

  5. 残された問題点とその対応
    (1)アンダ−センバ−ブルサンプラ−法や希釈平板法に適用可能な、より検出効率を高めたV. dahliaeの検出培地の開発