成績概要書(作成 平成11年1月)
課題の分類
研究課題名:食用いも選別機の性能
予算区分:道費
担当:中央農試 農業機械部 機械科
研究期間:平成10年
協力・分担関係:なし

1.目的
 あらたに開発された食用いも選別機の性能を明らかにし、導入利用上の参考に供する。

2.方法
1)供試機:PSD−6
2)試験期日及び場所:平成10年10、11月、栗山町、滝川市
3)供試品種:「男爵薯」、「メークイン」
4)調査項目:機体調査、選別精度、作業能率、打撲・損傷程度



3.結果の概要
1)供試機は馬鈴しょ塊茎を6段階に重量選別する選別機である、馬鈴しょ塊茎を選別部に供給する「供給部」と供給された馬鈴しょ塊茎をロードセルで秤量し、各規格の選別口にエアー吹き付けにより排出する「選別部」からなっている。馬鈴しょ塊茎はゴム突起が整列したシュートから整列・供給され、供給スピードは振動数で調節する。供給された塊茎はロードセルを通過するときに±5gの誤差範囲で秤量される。秤量台の寸法は11cm角である。エアー噴出口は各排出部に3個あり必要に応じて閉塞することができる。
2)「男爵薯」と「メークイン」の2品種について、6階級ごとに20個の塊茎を供試し選別精度を調査した。「男爵薯」について供試塊茎を混合した場合、各階級値の±5gの範囲で誤選別された塊茎の割合は、3.3〜5.8%であった。ベルトコンベヤ上に塊茎1個ずつ手置きした場合、0〜0.8%と秤量・選別精度は良好であった。一方、「メークイン」は、混合で10.0〜16.7%、手置きで5.8〜10.0%と長さが11cmを超える2〜3Lクラスの塊茎に係わる誤選別が多かった。また、供給シュートを通常の750mmに362mm足し長くし、混合塊茎を選別した場合、誤選別割合は9.2〜11.7%と若干ではあるが選別精度は向上した。
3)本試験での1コンテナ内の2〜3L塊茎の割合は5.5〜12.9%程度であるため、1コンテナの誤選別割合を調査した。供給シュート短(750mm)では4.9〜8.7%、供給シュート長(1112mm)では2.7〜4.9%と供給シュートが長くなることで整列性が良好になり選別精度は向上した。
4)各部から塊茎50個ずつ採取した結果、明らかに本機が作用したと思われる打撲・損傷はなかった。
5)作業人員2名で7945個(737.7kg)の塊茎の選別作業に61.2min要し、時間当たりの処理個数は7789個/hであった。
6)各作業者への騒音被曝を調査した。騒音計のピーク値を20回測定し、供給者の耳元では、平均87.4dB(A)(最大91.0dB(A))、箱詰め者では、平均96.1dB(A)(最大98dB(A))であった。






4.成果の活用面と留意点
1)誤選別をさけるために供給スピードを調節し、塊茎の間隔を適正にする必要がある。特に、「メークイン」では、接地面長が11cmを超える2〜3Lクラス塊茎が誤選別されるので、予め粗選別する等留意する。
2)エアー吹き付けによる騒音被曝があるので作業環境に留意する。
3)打撲を防ぐため、選別シュート口と製品箱の落差を小さくするほか、落下速度を抑える等注意する。

5.残された問題点とその対応
 なし