成績概要書
   (作成平成12年1月)

研究課題名:リグツ系アルストロメリアの秋切り栽培法
       (アルストロメリアの秋切り栽培技術の確立)
予算区分:道費
研究期間:平成7年度〜10年度
担当科:花・野菜技術センター 花き第一科
協力・分担関係:なし

1.目 的

 一季咲き性のリグツ系アルストロメリアを府県の端境期に当たる11〜12月に生産する技術を確立する。

2.方 法

<試験条件>供試品種:リグツ・オレンジ  

<試験Ⅰ>低温処理に関する試験(平成7年度)

(2)試験規模1区10株、1区制 

(3)処理開始および無処理区定植;8月24日

(4)耕種概要:9月下旬より12℃加温、電照(深夜2時間の暗期中断)

<試験Ⅱ>高温処理温度に関する試験(平成9年度)

  (2)試験規模:1ポット(24㎝)1株、2区制

  (3)処理期間:4月22日〜7月26日

  (4)耕種概要:高温処理はポットのまま貯蔵庫で処理。処理後は温室内(10℃加温、無電照)で管理した。

<試験Ⅲ>高温処理法に関する試験(平成10年度)

(1)処理区別:処理法4水準(右図)×高温処理開始時の株のステージ3水準[未着蕾,着蕾,開花]       

(2)試験規模:1区20株、1区制

(3)処理期間:4月10日〜5月12日

(4)耕種概要:処理後掘り上げて2カ月の低温処理の後7月15日定植。9月24日まで地中冷却と遮光、9月30日から電照(深夜2時間の暗期中断)、10月12日から15℃加温。

<試験Ⅳ>定植期に関する試験(平成10年度)

(1)処理区別:定植期[7月1日、7月30日]  (2)試験規模:1区12〜16株、1区制

<試験Ⅴ>定植後の温度に関する試験(平成10年度)

(1)処理区別:夜温[18℃、15℃、12℃]  (2)試験規模:1ポット(24㎝)1株、1区20株

3.結果の概要

(1)低温処理温度は1〜5℃が適していた(図1)。またポリ袋に入れるだけの包装で処理することができた。しかし低温処理のみでは到花日数が長くなり秋の採花は困難であった。

(2)高温処理を施した後、低温処理を行うと生育が揃い、品質の良い切花が得られた。高温処理の温度は20℃よりも30℃の方が収量性が高かった(図2)。

(3)ハウス内に植えたままの状態で、電熱線とトンネルを用いて簡易に高温処理を行うことができた。これにより株の傷みもなく、11月から高品質生産が可能であった(図3)。

(4)高温処理開始時の株のステージによる開花調節効果の違いはなかった。秋切り栽培に使用する株は根重30g以上のものを使うことが望ましい(図4)。

(5)秋切り栽培のための定植期は7月上旬が適当であった(図5)。

(6)定植後、加温期の最低夜温は高い方が収量・品質ともにやや優れる傾向にあったが、12℃以上あればよいと考えられた(図6)。

(7)経済性試算では秋切り栽培は慣行栽培に比べ収益性が高かった(表1)。


図1 低温処理条件と到花日数・収量の関係(平7)


図2 高温処理温度が採花本数・切花長に及ぼす影響(平9)


図3 高温処理法と採花株率・切花長(平10,開花株)


図4 高温処理開始時の株のステージ及び根重と採花本数(平10,トンネル処理のみ)


図5 定植期と月別採花本数(平10)


図6 定植後の夜温と月別採花本数(平10)

表1 経済性試算(10a当たり)

4.成果の活用面と留意点 

 経済性試算は道央地方についてのみ適用する。

5.残された問題点とその対応  

 温度処理期間の短縮化による採花期前進の可能性。