成績概要書 (作成平成12年1月)
研究課題名:トルコギキョウの秋季出荷栽培法の改善 1.品種特性調査 (トルコギキョウの秋季出荷作型の開発) 予算区分:道費 担当科:花・野菜技術セ 研究部 花き第二科 研究期間:平成8〜11年度 協力・分担関係: |
1.目的 道内での秋季採花栽培に適する品種の特性を調査し、品種選定時の資料とする。
2.方法
1)供試品種数と試験・栽培条件
項目 | 平成9年度 | 平成10年度 | 平成11年度 | |
作型Ⅰ | 作型Ⅱ | |||
供試品種数 | 44品種 | 48品種 | 48品種 | 20品種 |
試験規模 | 一区 12株 2反復 | |||
は種期 | 5月1日 | 5月16日 | 5月2日 | 5月1日 |
育苗法 | 200穴セル使用、市販床土(プラグエース) ガラス温室内(15℃〜)、底面給水 | |||
定植期 | 6月25日 | 7月2日 | 6月25日 | 6月28日 |
施肥量等 | 堆肥400㎏/a、N、P2O5、K2O−各2㎏/a | |||
栽植密度 | ベッド幅100㎝、通路60㎝、6条植え(中1条抜き)、12*12㎝ 3,125株/a | |||
加温条件 | 10月9日〜 (15℃〜) | 10月12日〜 | 10月4日〜 | |
その他 | かん水、摘蕾 、フラワーネット、防除など一般管 理は当センターの慣行管理で行った。 |
3.結果の概要
1)秋季採花に適する品種選定のために特性を、56品種について調査した。作期は5月上旬は種とし、平成9年は5月中旬は種についても検討した。
2)秋季採花では高温期を経過するため、開花が早まり切り花長、分枝数、花蕾数等が不足気味となりやすい。また、生育後半は低温・寡日照となるので早晩生も考慮した。本試験では、上記の形質を中心に今回供試した品種について、花色・花弁タイプ別に、安定的に採花可能と思われる品種の特性を検討した。
3)定植から採花までの日数は、年次による差が認められ、平成9年が最も多く要し、平成11年が少なかった。これは各年次の気象状況によると考えられる。平均的な平成10年で、80日から130日で、80日台が6品種、90日台が18品種で、120日以上は6品種であった。
4)切り花長では、70㎝を基準としたが、平成9年の5月中旬は種で不足する品種が多かった。その中で「ニュースモールバイオレット」「ペアクリアピンク」「エクセルマリン」が80㎝を越え、他の作期でも長い傾向であった。そのほか、「さとの桜」「あすかの小桜」「プラチナバイオレット」「あすかの調」「リップルクリアピンク」が90㎝を越えることがあった。
5)分枝数は、3.5本以上を基準としたが、平成9年の5月中旬は種で不足する品種が多かった。その中で「アロハライトピンク」「ニュースモールバイオレット」「ブライダルバイオレット」「ミッキーアイボリ」は3.7本以上あり、他の作期でも多い傾向を示した。そのほか、「あすかの粧」「エクセルホワイト」「あすかの薫」「あすかの雫」「あずまの波」「マイテレディ」「あずまの萌黄」が4本以上となることがあった。
6)花蕾数は、有効花蕾8個以上を基準としたが、5月上旬は種では大半の品種が8個以上となった。
7)花弁の強度、覆輪系の色流れ等も品種間差が認められた。
8)ロゼットの発生はほとんど認められず、葉先枯れも生育初期に発生の見られた品種も年によりあったが、採花時には問題とならなかった。
9)以上の結果から、花色では、桃、紫、白、黄の単色、桃、紫の覆輪系、花弁では桃、白の単色八重、そして、その他の計9タイプ、23品種の特性をまとめた(表−1)。
表−1 秋季採花に適した品種の特性
花色・花 弁 タイプ |
No.品種名 | 花色 | 定植から 採花まで 日数(日) |
切り花 長 (㎝) |
分枝数 (本) |
有効花 蕾数 (個) |
ロゼ ット率 (%) |
葉先 枯れ |
色流 れの 発生 | |
桃 色 系 |
単色 一重 |
1.あすかの薫 | 桃 | 92 | 80.8 | 4.1 | 13.6 | 0 | ○ | |
2.リップルクリアピンク | 桃 | 94 | 89.1 | 3.5 | 10.0 | 0 | ◎ | |||
3.アロハライトピンク | 淡桃 | 97 | 83.9 | 4.7 | 16.5 | 0 | ○ | |||
4.つくしの春 | 桃 | 105 | 87.3 | 3.6 | 14.6 | 0 | ○ | |||
覆輪 | 5.サマーエース | 桃 | 98 | 81.4 | 3.5 | 10.7 | 0 | − | △ | |
6.改良アロハバイカラーピンク | 淡桃 | 99 | 84.1 | 3.5 | 10.4 | 0 | − | △ | ||
7.マイテレディ | 桃 | 106 | 85.0 | 3.4 | 12.2 | 0 | △ | △ | ||
8.あすかの粧 | 淡桃 | 107 | 79.1 | 3.2 | 11.2 | 0 | ○ | ◎ | ||
9.さとの粧 | 桃 | 109 | 84.9 | 3.3 | 12.8 | 0 | ◎ | ○ | ||
単八 | 10.ペアクリアピンク | 桃 | 96 | 90.9 | 3.7 | 10.7 | 0 | ◎ | ||
紫 色 系 |
単色 | 11.あすかの雫 | 淡紫 | 90 | 74.9 | 4.6 | 13.6 | 0 | ○ | |
一重 | 12. ニュースモールバイオレット | 紫 | 97 | 81.0 | 4.2 | 13.2 | 0 | △ | ||
覆輪 | 13.エクセルマリン | 紫 | 87 | 87.6 | 3.3 | 12.6 | 0 | △ | △ | |
14.ブライダルバイオレット | 紫 | 89 | 74.7 | 5.3 | 15.9 | 0 | ○ | △ | ||
15.あすかの漣 | 紫 | 106 | 76.3 | 2.4 | 9.0 | 0 | △ | △ | ||
白 色 系 |
一重 | 16.エクセルホワイト | 白 | 90 | 73.4 | 3.4 | 9.9 | 0 | ◎ | |
17.あすかの新雪 | 白 | 95 | 79.5 | 3.3 | 12.9 | 0 | ○ | |||
八重 | 18.ホワイトパレス | 白 | 90 | 70.8 | 3.9 | 9.0 | 0 | ○ | ||
19.ダイヤモンド | 白 | 91 | 76.3 | 3.3 | 10.3 | 0 | ◎ | |||
20.エクローサホワイト | 白 | 113 | 74.5 | 3.0 | 10.7 | 0 | ◎ | |||
黄 | 単一 | 21.あすかの調 | 淡黄 | 104 | 90.1 | 3.9 | 11.2 | 0 | △ | |
他 | 一重 | 22.あずまの萌黄 | 淡黄緑 | 87 | 82.8 | 3.8 | 15.5 | 0 | △ | |
八重 | 23.エクローサグリーン | 淡緑 | 111 | 81.7 | 3.6 | 10.3 | 0 | ○ | ||
参考 | あずまの波 | 紫 | 80 | 64.8 | 4.0 | 15.1 | 0 | ◎ | ○ |
4.成果の活用面と留意点
1)5月上旬は種作型での結果である。
2)生育後半(10月以降)は加温条件(15℃〜)とした。
5.残された問題点とその対応
1)本試験で供試した以外の品種の検討。