成績概要書 (作成平成12年1月)
研究課題名:宿根かすみそうの品質改善のための仕立て法・水分管理法および鮮度保持法 (宿根かすみそうの作型に対応した品質改善技術) 予算区分:道費 研究期間:平9〜11年度 担当科:花・野セ 花き第一科、花き第二科、土壌肥料科 協力分担関係:なし |
1.目的
用途別需要に対応したMSクラスの切花を量産するための多茎仕立て法を開発し、生産現場で問題となっている調製労力の軽減を図る。
2.試験研究方法
作型:6月植え雨よけ9月切り
上段:慣行 8*1 4*2
×:1回目摘心位置 −:2回目摘心位置
下段:3*3 5*2 4*3
<平成9年度>品種と摘心回数の検討
供試品種:「ブリストルフェアリー」、「ゴラン」、「ブランシー」、「ニューフェイス」
定植期:6月2日 栽植様式:畦幅1m、株間40㎝、1条植え
<平成10年度>仕立て本数と2回目摘心節位の検討
供試品種:「ブリストルフェアリー」、「雪ん子」 定植期:6月18日
<平成11年度>仕立て本数の検討
供試品種:「ブリストルフェアリー」、「雪ん子」 定植期:6月21日
○市場性調査(平成9年度、11年度)
本試験で栽培したサンプルを市場に送付し、需要動向や価格形成について聞き取り調査を行った。
3.結果の概要
1)1回摘心では慣行栽培との差が少なく、MSクラスの切花を安定的に採るには2回摘心する方法が適していた(図1)。
2)「ニューフェイス」は9月切り作型での多茎仕立てに適さなかった(図1)。
3)2回目摘心位置は6節目よりも11節目の方が採花率が高く採花時期の遅れも少なかった(図2)。
4)多茎仕立てにより採花期が10〜20日遅くなった。また、採花期間が約1カ月間に拡大した(図3)。
5)仕立て本数が多くなるほど切花のボリュームが減少したが(図4)、12本仕立てしたものでも市場流通している府県産のMSクラスのものと同等の品質であった(表1)。
6)多茎栽培により総労働時間は若干増えるが、採花作業の効率化、調製労力の軽減が可能になった(表2)。
7)多茎栽培は慣行栽培よりも所得の変動が少なく、収益性の高い栽培法と考えられた(表3)。
8)市場ではMSクラスの宿根かすみそうの需要は周年安定的にあり、計画的な出荷を望んでいた。
図1 仕立て法と切花長・調製重の関係(平9)
図2 仕立て法と採花率、採花時期(ブリストルフェアリー、平10)
−採花期間 ◆採花期
図3 仕立て法と月別採花本数(ブリストルフェアリー、平11)
図4 仕立て本数と切花長・調製重(平11)
4.成果の活用面と留意点
本成績は6月植え雨よけ9月切り作型の当年株に適用する。
5.残された問題点とその対応
他の作型、栽培方式での検討