成績概要書    (平成12年1月)

課題の分類
研究課題名:宿根かすみそうの品質改善のための仕立て法・水分管理法および鮮度保持法
        (宿根カスミソウの作型に対応した品質改善技術)
       3)鮮度保持法に関する試験
予算区分 :道単
研究期間 :平9〜11年度
担当:花・野菜技術センター研究部花き第二科
協力・分担関係:花き第一科、土壌肥料科

1.試験目的
  宿根かすみそうの仕立て法や水分管理法が花持ち性に及ぼす影響を明らかに、栽培法に対応した鮮度保持法を検討する。

2.試験研究方法
 1) 仕立て法と「老け花」抑制:(1)多茎仕立て栽培(8本、12本仕立て)、慣行栽培(4本仕立て)
 (2)品種:「ブリストルフェアリー」、「雪ん子」(花き第一科栽培) (3)開花ステージ:頂花ユニットの小花の開花数により3〜4段階、「切り前」として6段階に区分 (4)保鮮剤等による処理 ①前処理剤/STS系5種、非STS系2種、濃度 高、標準、低 ②後処理剤/糖を含む製剤4種、殺菌剤を含む製剤1種、砂糖、ブドウ糖 ③蕾開花剤/カーネーション用3種 (5)輸送シミュレーション:5,10,15,20,25,プログラム変温、段ボール箱 (6)調査方法/重量、頂花ユニットの小花の全開、半開、蕾、「老け花」数割合 (7)供試本数 1区2〜10本
2)水分管理法と「老け花」抑制:(1)水分管理法  隔離床栽培、遮根シート栽培、高畦(慣行)栽培(土壌肥料科栽培) (2)品種 「ブリストルフェアリー」 (3)仕立法 4本仕立て (4)その他は1)に準じた。
 3) 保鮮剤等の利用による「老け花」抑制:(1)品種 「ブリストルフェアリー」、「雪ん子」、「ブランシー
」、「ゴラン」、「ニューフェース」 (2)栽培法 慣行4本仕立て  (3)その他は1)に準じた。

3.結果の概要
1) 仕立法と「老け花」
  1) 8月19日、9月1日採花の「ブリストルフェアリー」では、8本、12本仕立て区は慣行区よりも保鮮剤処理ならびに水挿しによる重量増加が大きく、保鮮剤処理終了時の「老け花」割合は少なかった。 また、かすみそう専用保鮮剤にしょ糖を2.5%加えた処理では、水挿し7日後の「老け花」発生抑制効果がさらに高まった(図-1)。
2) 10月7日採花の「雪ん子」は、KFK・20倍処理またはOP-10倍処理により、8本仕立て区、12本仕立て区ともに慣行区よりも全開花が多くなり、かつ、「老け花」の発生も抑制された(図-2)。
 2)水分管理法と「老け花」
  1) 6月28日採花の「ブリストルフェアリー」では、採花後の保鮮剤処理における重量増加は、遮根シート区は隔離床区、高畦区よりも大であった。輸送シミュレーション後の水挿しによる重量増加は、遮根シート区、隔離床区ともに高畦区を上回った(図-3)。水挿し2日目以降の開花割合は、遮根シート区、隔離床区はほとんど進まず、高畦区は漸増した。隔離床区は、高畦区よりも「老け花」割合は低かった(図-4)。
  2) 10月15日採花の「ブリストルフェアリー」では、輸送シミュレーション後の重量減少は、高畦区が大であった。水挿し1日後の重量増加は遮根シート区が大であった。「老け花」割合は水挿し1日後には遮根シート区、隔離床区では増加は認められなかったが、高畦区では急増した(図-5)。
 3) 開花ステージ(切り前)と花持ち
  水挿し5日後の花数割合をみると、「ブリストルフェアリー」、「ブランシー」、「ニューフェース」は、開花ステージが早いほど「老け花」の発生が少なく、頂花ユニットの小花のうち1〜4が開花した段階で採花し、保鮮剤処理すると「老け花」抑制効果が高まった。「ゴラン」は頂花ユニットの開花数1〜10の範囲では差がなく、「老け花」は発生しなかった(図-6)。「雪ん子」は、頂花ユニットの開花数1〜4の範囲では、保鮮剤処理終了時の重量増加率に差はなく、「老け花」割合も水挿し3日後では1%前後で大差なかった(図-6)。
 4)「雪ん子」の「老け花」抑制のためには、STS系保鮮剤による標準濃度処理が有効であった。輸送中の重量減少と「老け花」発生を抑制するためには、ポリエチレンフィルムまたは有孔二軸延伸ポリプロピレンにより袋詰め、被覆またはライナー包装し、5〜10℃で輸送することが望ましいと考えられた(図-7,8)。

4.成果の活用面と留意点
1)供試した材料は、仕立て法、水分管理法にかかわらず採花日は同一である。
2)最適採花ステージ、保鮮剤最適処理濃度・処理時間は、産地において品種ごとに確認する。

5.残された問題点とその対応
1)有効な蕾開花剤の開発
2)非STS系保鮮剤の開発