１．目的
　本年実施した調査および試験研究結果から、特に留意を要する病害虫について注意を喚起する。

２．方法
　１）農作物有害動植物発生予察事業
　２）突発および新発生病害虫診断試験および調査
　３）各種の試験および調査

３．結果の概要
　１）平成11年にやや多〜多発した病害虫
　　(1)水稲：イネミギワバエ，フタオビコヤガ，アカヒゲホソミドリメクラガメ
　　(2)秋まき小麦：雪腐病，赤さび病
　　(3)小豆：茎疫病
　　(4)ばれいしょ：軟腐病，粉状そうか病
　　(5)てんさい：根腐病（黒根病を含む），ヨトウガ（第２回）
　　(6)りんご：腐らん病，斑点落葉病，キンモンホソガ，ネズミ類
　　(7)たまねぎ：乾腐病
　　(8)にんじん：キタネコブセンチュウ
　　(9)だいこん：軟腐病，キスジトビハムシ
　　(10)キャベツ：ヨトウガ，コナガ
　　(11)きゅうり：べと病
　　(12)牧草：コガネムシ類，ウリハムシモドキ

　２）平成12年度に特に注意を要する病害虫
　　(1)水稲のアカヒゲホソミドリメクラガメ
　　(2)水稲のフタオビコヤガ
　　(3)秋まき小麦の赤さび病
　　(4)小豆のマキバメクラガメ

　３）新たに発生を認めた病害虫
　　(1)とうもろこしのオオタバコガ（新寄主）Helicoverpa armigera
　　(2)菜豆のインゲンマメゾウムシ（新発生）Acanthoscelides obtectus
　　(3)たまねぎの苗立枯病（病原菌の追加）Pythium spp.
　　(4)だいこんのタネバエ（新寄主）Delia platura
　　(5)きゅうりの果実腐敗病（新称）Fusarium pallidoroseum
　　(6)メロンのアマヒトリ（新寄主）Phragmatobia amurensis
　　(7)レタスの穿孔病（新発生）Microdochium panattonianum
　　(8)レタスのヒラズハナアザミウマ（新寄主）Frankliniella intonsaおよび
　 　　クロゲハナアザミウマ（新寄主）Thrips nigropilosus
　　(9)いちごの炭そ病（新発生）Colletotrichum acutatum
　　(10)食用ゆりのチビクロバネキノコバエ（新寄主）Bradysia agrestis
　　(11)ヤーコンの半身萎凋病（新称） Verticillium dahliae
　　(12)ひまわりの斑点細菌病（新発生）Pseudomonas syringae pv. helianthi
　　(13)スターチスの黄化えそ病（仮称）Tomato spotted wilt virus(TSWV)
　　(14)トルコギキョウの青かび根腐病（新発生）Penicillium sp.
　　(15)ばらの半身萎凋病（新発生）Verticillium dahliae
　　(16)シロクローバのワモンノメイガ（新発生）Nomophila noctuella
　　(17)しばざくらのナガチャコガネ（新寄主）Heptophylla picea

４．成果の活用面と留意点
　ここに記載した病害虫について、特に今後の今後の発生動向に注意する。

５．残された問題点とその対応
　１）各種病害虫の要防除水準の設定
　２）簡易な調査方法とモニタリング手法の改善
　３）発生変動要因の解明と発生予察法の改善
　４）病害虫発生情報の収集および伝達の迅速化