成績概要書(作成平成13年1月)
研究課題名:秋切り作型におけるラークスパーの品種特性
(ラークスパーの作期拡大技術の確立)
予算区分:道費 担当科:花・野菜技術センター 研究部 花き科
研究期間:平成10−12年度協力・分担関係:なし |
1.目的
本道の立地条件を生かし、秋に採花する作型におけるラークスパーの品種特性調査を行ない、産地に おける品種選択の資料を提供する。
2.方法
年次・作型 |
平成10年度 |
平成12年度 |
作型Ⅰ※ |
作型Ⅱ※ |
作型Ⅰ |
作型Ⅱ |
供試品種数 |
68品種 |
16品種 |
20品種 |
19品種 |
試験規模 |
一区18株・2反復 |
一区42株・2反復 |
一区24株・2反復 |
播種期 |
6/19 |
7/10 |
6/20 |
7/11 |
催芽法 |
流水に一晩浸漬後播種し、15℃・9日間 |
育苗法 |
288穴セルトレーに2〜3粒まき・子葉展開後1本に間引き、
市販培土(プラグエース)、ガラス温室内 |
定植期 |
7/15 |
8/ 3 |
7/18 |
8/ 8 |
施肥量等 |
堆肥400kg/a、N・P2O5・K2O−各1.0Kg/a |
栽植密度 |
ベッド幅90cm・通路80cm、中一条抜き6条植え、株間・条間12cm、26.3株/㎡ |
電照開始日 |
電照無し |
10/10 |
電照無し |
10/11 |
加温開始日 |
無加温 |
10/10 |
無加温 |
10/16 |
調査打切日 |
10/31 |
11/30 |
10/31 |
12/ 8 |
その他 |
①白黒ダブルマルチ使用。定植前圃場にリゾレックス粉剤を散布
②灌水・フラワーネット・病害虫の防除等の一般管理は、当センター慣行
③加温条件は、最低温度10℃に設定
④電照条件は、17mのベッド当たり60W×8・高さ1.5m、16:00〜22:00 |
※ 「作型Ⅰ」は6月まき無加温9月切り作型、「作型Ⅱ」は7月まき加温10月切り作型。
3.結果の概要
○作型Ⅰ <6月まき無加温9月切り>
早生の品種は切花長が短かく切花品質が劣る早期抽台となる傾向にあり、また晩生ものは切花品質が優れていたが、晩生であるほど芯止まり症の割合が増加し、収量は減少する傾向が見られた。早生だった品種は「フロスティーブルー(D)」・「シングルライラック」で収量もやや高かったが、切花長は短かった。また、「改良極早生八重千鳥草」は早生で収量も高かったが、花穂長は短く花蕾数は少なかった。晩生だった品種は、淡紫系の「ミヨシのスカイブルー」・「SBライトブルー」・「ブルーベル」・「SBアズールブルー」でこれらの切花品質は優れていたが、芯止まり症が多発した。また、「SBアズールブルー」は切り残し率も高かった。「SBブライトピンク(T)」・「SSホワイト」・「SBホワイト」・「ミヨシのライラック」は収量・切花品質ともに安定していた。
○作型Ⅱ <7月まき加温10月切り>
傾向は作型Ⅰと同様であったが、全体的に作型Ⅰより到花日数・切花長は長くなり、芯止まり症の多発する品種ではその割合は作型Ⅰより高かった。「ミヨシのスカイブルー」は晩生で切花品質は優れていたが、採花率は低かった。「SBブリリアントサーモン(T)」・「SSブルー」は早生で収量も安定していたが、切花長は若干低かった。「SSホワイト」・「シーオーワン」はこの作型としては収量・切花品質ともに安定していたが、「シーオーワン」は若干立ち枯れが多かった。
表1 作型Ⅰ(6月まき無加温9月切り)に2年間供試した品種の切花特性(2カ年の平均)
タ
花
・イ
色
プ |
品種名※1
| 入※2
手
先 | 生育 | 採花状況(%) | 切花品質 |
採花期
(月/日) |
採花率
|
芯止症率
|
立枯率
|
花飛率※5
|
切残率
|
切花長
(cm) |
花穂長
(cm) |
花蕾数
(個) | 赤
| スカーレットスパイヤー
SBブライトカーマイン | T
T | 9/15
9/17 | 91.5
90.5 | 2.0
6.5 | 0.5
0.0 | 0.0
1.0 | 1.0
1.5 | 74.7
64.3 | 32.9
30.0 | 16.5
11.9 | 桃
| SBブリリアントサーモン
SBブライトピンク
SBペールピンク | T
T
T | 9/15
9/23
9/24 | 88.0
82.5
90.5 | 2.5
8.5
1.0 | 6.5
2.0
3.0 | 0.0
1.0
0.0 | 1.5
3.0
1.5 | 73.0
84.6
73.4 | 32.5
35.0
32.7 | 14.5
20.3
18.0 | 白
| SSホワイト
ホワイトキング
SBホワイト | D
S
F | 9/24
9/21※3
9/20 | 83.0
60.5
80.0 | 3.0
10.0
6.0 | 0.0
11.0
3.0 | 0.0
0.0
1.0 | 6.0
6.0
4.0 | 83.9
77.4
85.8 | 34.5
32.7
34.3 | 21.1
20.2
24.0 | 濃紫
| SSブルー
改良極早生八重千鳥草 | D
F | 9/12
9/ 7 | 88.0
93.0 | 3.0
0.0 | 6.0
6.0 | 0.0
0.0 | 2.0
0.0 | 69.7
74.3 | 33.1
29.3 | 13.6
11.9 | 淡紫
| ミヨシのスカイブルー
ミヨシのライラック
SBライトブルー
ブルーベル
SBアズールブルー | M
M
T
S
F | 10/16※4
9/16
10/ 9
10/20※4
9/28※3 | 45.0
79.0
59.5
50.5
37.0 | 32.5
3.5
29.0
39.0
44.0 | 4.0
5.0
1.0
0.0
8.0 | 1.0
4.0
4.0
5.0
0.0 | 8.5
1.5
6.5
4.5
10.5 | 96.2
87.1
95.7
93.7
91.9 | 34.2
29.9
42.9
35.1
36.1 | 19.4
17.7
19.0
20.3
22.3 | 複色
| シーオーワン
フロスティーブルー | H
D | 9/20
9/ 7 | 80.5
87.0 | 8.5
1.5 | 0.0
7.0 | 4.0
0.0 | 3.5
3.0 | 75.2
63.1 | 33.3
32.3 | 18.6
11.4 | 一重 | シングルライラック | D | 9/ 5 | 90.0 | 0.0 | 9.0 | 0.0 | 0.0 | 63.8 | 25.2 | 12.2 | スプレー
| ブルースプレー
スノークラウド | M
T | 9/ 9
9/11 | 87.0
94.5 | 1.5
0.0 | 8.5
2.5 | 0.0
0.0 | 1.5
0.0 | 80.2
71.8 | 15.1
13.1 | 7.7
8.2 |
| |
表2 作型Ⅱ(7月まき加温10月切り)に2年間供試した品種の切花特性(2カ年の平均)
|
花
色
|
品種名※1
| 入※2
手
先 | 生育 | 採花状況(%) | 切花品質 |
採花期
(月/日) |
採花率
|
芯止症率
|
立枯率
|
花飛率※5
|
切残率
|
切花長
(cm) |
花穂長
(cm) |
花蕾数
(個) | 桃 | SBブリリアントサーモン | T | 10/18 | 87.5 | 0.0 | 1.5 | 0.0 | 8.0 | 80.1 | 33.1 | 15.5 | 白 | SSホワイト | D | 11/13 | 64.0 | 10.0 | 7.0 | 0.0 | 11.0 | 91.8 | 43.4 | 21.5 | 濃紫 | SSブルー | D | 10/20 | 75.0 | 3.5 | 6.0 | 0.0 | 11.5 | 84.9 | 38.8 | 16.8 | 淡紫 | ミヨシのスカイブルー | M | 至らず | 9.0 | 59.5 | 8.5 | 0.0 | 9.0 | 119.6 | 51.8 | 22.7 | 複色 | シーオーワン | H | 11/ 9 | 68.5 | 5.5 | 12.0 | 0.0 | 1.5 | 100.3 | 47.7 | 16.9 |
| |
※1品種名中のアルファベットはそれぞれ、SB:サブライムシリーズ、 SS:サンシャインシリーズの略。
※2 入手先のアルファベットは以下に示す種子入手先の略。
T:タキイ種苗、D:第一園芸、S:住化農業資材、F:福花園種苗、M:ミヨシ、H:北海道
※3 平成10年単年度の成績を表記した。平成12年の成績は「至らず」。
※4 平成12年単年度の成績を表記した。平成10年の成績は「至らず」。
※5 花飛率は、平成12年単年度の成績。
4.成果の活用面と留意点
秋切り作型(6月まき無加温9月切り、及び7月まき加温10月切り)の際の産地におけるラークスパー品種選択の参考とする。
5.残された問題点とその対応
・新たな品種の特性調査
・芯止まり症への対策