成績概要書        (作成 平成13年1月)
課題の分類 草地 育種 寒地型牧草 A−3
        北海道 畜産・草地 草地
研究課題名:オーチャードグラス新品種候補系統「北海26号」       
予算区分:経常
研究期間:昭58〜平12年度
担当研究室:北海道農試 草地部イネ科牧草育種研究室
担当者:山田敏彦,高井智之,眞田康治
協力分担:系適・特検場所,家畜改良センター

1.目的
 寒地における耐病性,多収性などに優れる品種を育成する。

2.方法
1)育種方法
 7栄養系の組み合わせによる合成品種。
2) 育種経過
 優良栄養系の評価試験から中生系統の構成栄養系として7点を選抜して合成を行った(「北育39号」)。他の北育系統とともに評価試験および生産力予備検定試験を実施して,系統適応性検定試験および特性検定試験の供試系統として選定し,「北海26号」と名付けた。「北海26号」の構成栄養系の由来は,「Kay」から2つ,UJNR導入系統(インド,旧ソ連)から1つづつ,消化率選抜及び多交配後代から1つづつ,HD-4から1つである。

3.結果の概要
1) 出穂期は全場平均で6月1日で「オカミドリ」と同じで,“中生の晩”に属する(表1)。
2) 越冬性は「オカミドリ」 と同程度,春の草勢はやや優れ,ともに“強”である(表1)。雪腐大粒菌核病抵抗性は「オカミドリ」より優れ“強”,耐寒性は「オカミドリ」と同程度かやや劣り“中?やや弱”である(表1)。以上,越冬性を総合的に判断すると「オカミドリ」と同程度である。
3) 収量性は「オカミドリ」と同程度かやや優れ(表2),特に,1番草の収量は「オカミドリ」より多収である(表3)。
4) 多回刈での収量は「オカミドリ」よりやや多収である(表1)。 5) 葉枯れ性病害の罹病程度が少なく,すじ葉枯病,雲形病,黒さび病に「オカミドリ」より耐病性で,“やや強”である(表1)。
6) 永続性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
7) 混播適性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
8) 耐倒伏性は「オカミドリ」よりやや劣るが,“強”である(表1)。 9)採食程度は「オカミドリ」よりやや低いが,放牧適性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
10)飼料成分は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
11) 草型は「オカミドリ」よりやや“ほふく型”を示す(表1)。
12)採種性は「オカミドリ」と同程度で,“良”である(表1)。

4.成果の活用と留意点
①普及対象地域は北海道全域。道内普及見込み面積15,000ha。「オカミドリ」に置き換える。
②採草および放牧に利用できる。

5.残された問題とその対応
組み合わせ能力の改良を図り,より多収性を示す品種を育成する。可溶性炭水化物などの選抜を図り,高品質な品種を育成する。