課題の分類 北海道 生産環境 土壌肥料 研究課題名:近赤外分光法による土壌の簡易迅速分析 (近赤外分光法を活用した土壌簡易迅速分析法の確立) 予算区分:受 託 担当科:上川農試 研究部 栽培環境科 研究期間:平10ー11年度 協力・分担関係: |
1.目的
土壌診断の簡易・効率化のために、成分の抽出操作等の煩雑な前処理が不要(非破壊法)な近赤外分光法による土壌分析の可能性を検討し、その実用化を図る。
2.方法
インフラライザ-260WG(使用波長数19、回転ドロワ使用)を用いて以下の検討を行った。
1)土壌試料の前処理法(供試土20点)
検討項目:①試料の砕土条件 ②温度条件 ③水分条件 ④反復間差
検討方法:実測値と近赤外推定値間の重相関係数、標準誤差を各項目毎に検討した。
2)定量値の推定が可能な土壌分析項目の選定(供試土壌140点(水田87、畑53))
検討分析項目:土壌診断等で用いられている主要な16項目
3)全道各地の土壌を用いた検量式の設定(供試土壌373点(水田296、畑・草地77))設定項目および分析方法:全炭素(チュ−リン法)、全窒素(ケルダ−ル法)、CEC(ショ−レンベルガ−法)、りん酸吸収係数
3.結果の概要
1)土壌の粉砕は、通常の2mmのふるいに通したものよりも、自動めのう乳鉢で5分微粉砕した方が再現性、精度ともに高かった。
2)重相関係数や誤差の土壌温度による差はほとんど認められないことから、15〜25℃の範囲で測定が可能であった。また、土壌水分の多少による誤差は小さく、風乾状態でよいと判断された。
3)測定者間での誤差は、近赤外分光法で従来法の手分析(機器分析)に比べ小さかった。
4)分析値と推定値の重相関係数が0.9を越えたのは、分析項目の中で全炭素、全窒素であり、0.8を越えたのは陽イオン交換容量とりん酸吸収係数であった。また、この条件で得られた全窒素、全炭素の推定値と分析値の標準誤差は小さく、実用的に利用可能と判断された(表1、図1,2)。
5)全道に適用可能な全炭素、全窒素、陽イオン交換容量、りん酸吸収係数についての検量式の作成を試みた(表2)。
6)以上の検討結果より、微粉砕条件では近赤外分光法による全炭素、全窒素の測定は実用的に可能であり、普及現場で利活用できるが、陽イオン交換容量とりん酸吸収係数については標準誤差がやや大きくなるので、傾向値として使用すべきと判断された。
7)また、2mmのふるいに通した試料で直接測定した場合には誤差がさらに大きくなるので、全炭素、全窒素、陽イオン交換容量、りん酸吸収係数のいずれも傾向値として使用すべきと判断された。
4.成果の活用面と留意点
5.残された問題点とその対応