成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:チモシー「SB−T−9502」       
担当部署:北見農試作物研究部牧草科・根釧農試研究部作物科・
       道立畜試環境草地部草地飼料科・天北農試研究部牧草飼料科・
       北海道農業研究センター作物開発部イネ科牧草育種研究室
協力分担:
予算区分:受託
研究期間:1999〜2001年度

1.目的
 チモシー系統の道内での適応性を検定し、優良品種選定の資とする。
 
2.方法
1)系 統 名:「SB−T−9502」(標準品種:「ノサップ」)
2)育成機関:雪印種苗株式会社
3)育成経過:斑点病幼苗接種検定試験、栄養系評価試験および多交配後代検定試験の結果
  から9栄養系が選抜され、それらの組合せによる合成品種法で育成された。
4)耕種概要                             
試験
場所
単播 混播
北農研 畜試滝川 天北  根釧 北見 畜試新得  天北 根釧
播種量(g/a) 200 200 200 150 200 150 200 150
1区面積(㎡) 4.8 6.0 6.0 5.4 3.0 6.0 6.0 6.0
施肥量(kg/a)(N) 1.8(1.5) 1.6 1.6 1.6 1.5 1.7 0.4 0.4
  〃(P2O5 1.8(1.6) 0.5 0.6 0.9 1.5 1.0 0.8 1.1
〃(K2O) 1.8(1.5) 1.8 1.6 2.1 1.5 2.2 1.6 2.4
刈取回数 3 3 3 2 3 3 3 2
注)いずれも条播(ただし混播試験は散播)、4反復。混播試験の播種量はチモシーのもの。
  アカクローバ(「ホクセキ」)の播種量は各場とも30g/a。施肥量・刈取回数は2・3年目のもので、
  カッコ書きは3年目の数値。
 
3.成果の概要
1)早 晩 性:出穂始が「ノサップ」より2日早く「クンプウ」より6日おそい、早生である。 
2)出穂程度:1番草と2番草は「ノサップ」より高く、3番草は「ノサップ」よりやや高い。 
3)収 量 性:2、3年目合計乾物収量は「ノサップ」よりやや多い。番草別では2番草が多い。
4)越 冬 性:「ノサップ」並である。                        
5)耐 病 性:斑点病、すじ葉枯病に対する抵抗性は「ノサップ」並である。       
6)耐倒伏性:1番草の耐倒伏性は「ノサップ」よりやや優れる。            
7)草  勢:早春および秋ともに「ノサップ」並である。               
8)再生草勢:2番草は「ノサップ」並だが、3番草は「ノサップ」よりやや劣る。      
9)草  丈:2番草は「ノサップ」よりやや高く、1番草、3番草は「ノサップ」並である。  
10)混播適性:「ノサップ」並である。                        
主要成果の具体的数字


表1 主要形質の調査結果(全調査の平均)
形質 SB-T-9502 ノサップ 調査基準 調査
回数
備考
出穂始 13 15 6月の日 12 「クンプウ」は7。
出穂程度(1番草) 5.5 4.4 1:無〜9:極多 10  
出穂程度(2番草) 3.8 2.2 10
出穂程度(3番草) 1.7 1.3 7
越冬性 6.2 6.1 1:極不良〜9:極良│ 10
斑点病罹病程度 2.9 3.1 1:無・微〜9:甚 13
すじ葉枯病罹病程度 2.7 2.5 5
倒伏程度(1番草) 3.5 4.2 1:無・微〜9:甚 6
早春草勢 6.1 6.2 1:極不良〜9:極良 10
再生草勢(2番草) 5.4 5.1 5
再生草勢(3番草) 5.0 6.0 4
秋の草勢 4.6 4.4 9
草丈(1番草) 96 95 cm 12
草丈(2番草) 84 78 12
草丈(3番草) 49 49 10
3年目秋の被度 100 99 5


表2 乾物収量調査結果                       
  全場平均 2か年番草別平均 場所別2か年合計
3か年
合計
2か年
合計
1番
2番
3番
北農
畜試
滝川
天北
農試
根釧
農試
北見
農試
畜試
新得
SB-T-9502 104 105 101 116 103 103 106 103 103 105 109
ノサップ 213.9 190.0 57.5 24.3 15.9 146.6 271.0 190.0 191.5 127.2 213.9
 

表3 混播試験の主要な調査結果               
  天北農試 根釧農試
マメ科率 2か年合計乾物収量 マメ科率 2か年合計乾物収量
初年
2年
3年
TY RC TY+ 初年
2年
3年
TY RC TY+
  RC   RC
SB-T-9502 71.6 26.4 26.9 106 89 102 78.8 54.6 40.0 106 99 103
ノサップ 63.6 25.5 30.4 136.6 44.2 180.9 79.7 56.6 40.7 112.4 94.7 207.1
注)「2か年」とは2年目および3年目を指す。収量の数値は、「ノサップ」が実数(kg/a)、
  「SB-T-9502」が対「ノサップ」比。マメ科率(乾物%)の数値は、各場各年の全収量調査の
  単純平均。TYはチモシー、RCはアカクローバを示す。
 

4.成果の活用面と留意点
 1)普及対象地域:全道一円。
 2)栽培上の留意点:採草用として利用する。
 3)種子の供給が可能となる時期:平成16年。
 4)配布しうる種子量:50トン。
 
5.残された問題とその対応