成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:とうもろこし(サイレージ用)「36A43」       
担当部署:北海道農研、道立上川農試、道立畜試、道立道南農試
協力分担:
予算区分:受託
研究期間:1999〜2001年度

1.目的
 サイレージ用とうもろこし外国導入品種の各地域における適応性を評価し、優良品種を選定する。

2.方法
品種名:36A43
組合せ:単交雑(デント×デント、構成系統は不明)
育成者:米国パイオニア社
導入者:ホクレン農業協同組合連合会
登 録:OECD 1998年


3.結果の概要
1)熟 期
 絹糸抽出期は「3845」より1〜2日遅い。収穫時熟度はやや遅れ、総体の乾物率は
「3845」並かやや低い。熟期は中生の晩に属する。

2)耐倒伏性
 「3845」よりやや強い。

3)発芽および初期生育
 発芽は「3845」より約1日遅く、初期生育は「3845」よりやや劣る。

4)収量性および乾物特性
 乾総重および推定TDN収量は平均で「3845」より約5%高い。乾雌穂重割合は
「3845」よりやや低い。開花期前後の多雨・少日照条件により、有効雌穂割合が
低下することがある。

5)形態特性
 稈長は「3845」並で、着雌穂高は「3845」より10〜20cm高い。

6)耐 病 性
 すす紋病抵抗性は「3845」並かやや弱いが「キタユタカ」より強い。
ごま葉枯病抵抗性は「3845」よりやや強く「キタユタカ」より強い。


表1 生育および収量調査の結果概要

場1)
品種・
系統名
年2)
発芽期
(月.日)
初期3)
生育
(1-9)
絹糸
抽出期
(月.日)
稈長
(cm)
着雌
穂高
(cm)
倒伏4)
(%)
収穫時
熟度
有効
雌穂
割合
(%)
収 量 (kg/10a) 総体
乾物率
(%)
乾雌
穂重
割合
(%)
乾物中
推定
TDN
(%)
乾総重 推定5)
TDN
同左比


36A43 H11

H13
6. 3 6.3 8. 6 249 119 2.5 黄中 98.8 1971 1427 110 30.9 52.9 72.4
3845 6. 2 7.5 8. 3 248 103 19.5 黄初-中 100 1788 1302 100 30.1 54.4 72.8
上川
農試
36A43 H11

H13
5.25 6.6 8. 1 282 148 14.4 黄初-中 91.2 2086 1487 100 31.3 49.0 71.4
3845 5.24 7.5 7.30 275 131 14.8 黄中-後 97.8 2034 1483 100 33.9 55.0 72.9
畜試
滝川
36A43 H12

H13
6. 8 5.5 8. 9 254 132 24.0 黄後 99.7 1821 1317 107 28.1 52.2 72.2
3845 6. 6 6.5 8. 7 267 111 49.0 黄後 99.4 1681 1229 100 29.5 55.1 73.0


36A43 H12

H13
6.12 6.6 8.14 237 115 2.5 糊初-中 100 1394 953 101 27.1 36.7 67.9
3845 6.11 5.1 8.12 246 104 15.0 糊中 93.8 1364 939 100 26.9 38.9 68.5


36A43 H12

H13
5.31 5.8 8.12 275 136 37.3 黄中 99.7 1539 1069 100 24.9 41.8 69.4
3845 5.30 7.0 8. 1 277 118 50.0 黄中 99.4 1534 1071 100 25.7 43.0 69.8


36A43 H12

H13
5.30 8.0 8. 5 293 133 15.0 黄中 100 1927 1365 107 28.6 46.9 70.8
3845 5.28 9.0 8. 4 288 115 35.0 黄初-中 100 1741 1237 100 26.1 51.0 71.9
 注1)畜試滝川:道立畜試草地飼料科滝川試験地
   2)滝川試験地の平成11年は長雨により適期播種ができなかった。そのため、倒伏のみ平成11〜13年の3か年平均とし、
   その他の形質は平成12〜13年の2か年平均とした
   3)1:極不良〜9:極良の評点
   4)倒伏と折損の合計個体率、品種間差異が認められた年次の平均
   5)推定TDN収量=乾茎葉重×0.582+乾雌穂重×0.85


表2 病害抵抗性に関する特性検定試験結果(北海道農研)1,2)

品種・系統名

すす紋病 ごま葉枯病
H11.9.2 H12.9.9 H12.9.12 H13.8.31

36A43

4.3 3.0 1.7 2.7

3845

3.0 3.0 3.0 4.3

キタユタカ

6.0 4.7 3.3 6.3
 注 1)罹病程度の評点値(1:無〜9:甚)
   2)接種方法は、すす紋病では粉砕罹病葉懸濁液を感染源品種(エマ)に接種、
   ごま葉枯病では粉砕罹病葉懸濁液と麦粒培養した菌を全個体に接種


4.成果の活用面と留意点
普及対象地域:道央(北部を除く)および道南地域
普及見込み面積: 200 ha
配布しうる種子量: 5 t


5.残された問題とその対応