成績概要書（2002年1月作成）

研究課題：平成13年度の発生にかんがみ注意すべき病害虫　　　　　　　 担当部署：北海道病害虫防除所、中央農試クリーン農業部病虫科、総合防除科、 　　　　　　　上川農試研究部病虫科、道南農試研究部病虫科、十勝農試生産研究部病虫科 　　　　　　　北見農試生産研究部病虫科、花・野菜技術センター研究部病虫科、農業改良課 協力分担：全道46地区農業改良普及センター 予算区分：補助（農林水産省）、道費 研究期間：2001年度（1941年度〜継続）

１．目的
　本年実施した調査および試験研究結果から、特に留意を要する病害虫について注意を喚起する。

２．方法

1. 農作物有害動植物発生予察事業
2. 突発および新発生病害虫診断試験および調査
3. 各種の試験および調査

３．成果の概要

1. 平成13年にやや多〜多発した病害虫
   1. 水稲：葉いもち、穂いもち、アカヒゲホソミドリカスミカメ 　
   2. 秋まき小麦：赤さび病
   3. 大豆：べと病 　
   4. 小豆：菌核病、灰色かび病、茎疫病
   5. 菜豆：菌核病、灰色かび病 　
   6. ばれいしょ：疫病、軟腐病、粉状そうか病 　
   7. りんご：腐らん病、キンモンホソガ、ネズミ類 　
   8. たまねぎ：白斑葉枯病、軟腐病、乾腐病、タマネギバエ
   9. ねぎ：さび病、ネギアザミウマ
   10. だいこん：軟腐病，キスジトビハムシ
   11. はくさい：軟腐病、黒斑病
   12. キャベツ：ヨトウガ
   
   
2. 新たに発生を認めた病害虫
   1. Pythiun paddicum による小麦の褐色雪腐病（新発生） 　
   2. 大豆の黒根腐病（新発生）Calonectria ilicicola Boedijn ＆ Reitzma　
   3. 大豆・キャベツのナミハダニ（赤色型）（新寄主）Tetranychus urticae Koch
   4. 小豆の腐敗病（仮称・新発生）Pythium spinosum
   5. ねぎの菌糸腐敗病（新称）Botrytis byssoidea Walker 　
   6. きゅうりの褐斑病（新発生）Corynespora cassiicola 　
   7. トマト・モロヘイヤのカンザワハダニ（新寄主）Tetranychus kanzawai Kishida
   8. ピーマン・レタスのツメクサガ（新寄主）Heliothis maritima adaucta（Butler)
   9. ヤーコンのチャノヒメハダニ(新発生)Brevipalpus obovatus Donnadieu
      
      以下新寄主
      ヨトウガ　Mamestra brassicae (Linnaeus)
      シロシタヨトウ　Sarcopolia illoba (Butler)
      オオタバコガ　Helicoverpa armigera (Hubner)
      ツメクサガ　Heliothis maritima adaucta（Butler）
      ガンマキンウワバ　Autographa gamma (Linnaeus)
      ナシケンモン　Viminia　rumicis (Linnaeus)
      ヒメシロモンドクガ　Orgyia thyellina Butler
      ウリハムシモドキ　Atrachya menetriesi (Faldermann)
      ジャガイモヒゲナガアブラムシ　Aulacorthum solani （Kaltenbach)
      ワタアブラムシ　Aphis gossypii (Glover)
      オンシツコナジラミ　Trialeurodes vaporariorum (Westwood)
      ネギアザミウマ　Thrips tabaci Lindeman
      ナミハダニ（黄緑型） Tetranychus urticae Koch
      アシノワハダニ　Tetranychus ludeni Zacher
      スジブトホコリダニ　Tarsonemus bilobatus Suski
   10. シュッコンカスミソウの斑点細菌病（新発生）Burkholderia andropogonis
   11. アスターの萎凋細菌病（新称）Erwinia chrysanthemi
   12. シネラリアの黒根病（新称）Chalara elegans（Syn.=Thielaviopsis basicola）
   13. りんどうのえそ萎縮病（新発生）Clover yellow vein virus :ClYVV
   14. りんどうのリンドウホソハマキ（新発生）Phalonidia rubricana Peyerimhoff
   15. サンダーソニアの白絹病（新発生）Sclerotium rolfsii
   16. ビオラの根腐病（新発生）Chalara elegans（Syn.=Thielaviopsis basicola）
   17. しいたけのムラサキアツバ（新寄主）Diomea cremata (Butler)
   
   

   ４．成果の活用面と留意点
   　ここに記載した病害虫について、特に今後の発生動向に注意する。

   
   

   ５．残された問題点とその対応
   

   1. 各種病害虫の要防除水準の設定
   2. 簡易な調査方法とモニタリング手法の改善
   3. 発生変動要因の解明と発生予察法の改善
   4. 病害虫発生情報の収集および伝達の迅速化