成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:大型遠赤外線乾燥機による籾の乾燥       
担当部署:中央農試 生産システム部 機械科
協力分担:北海道大学大学院農学研究科農産物加工工学研究室
予算区分:受託
研究期間:2000〜2001年度

1. 目 的

従来型の熱風乾燥機との比較試験を行い、大型遠赤外線乾燥機の特性を明らかにする。

2. 方 法

1)期 日:平成12年10月3日〜4日、平成13年10月3日〜5日

2)場 所:大野町、函館育ちライスタ−ミナル

3)供試品種:「きらら397」、大野町産

4)供試機:REV3000-XP(遠赤外線乾燥機)、対照機:DAN-3000S(熱風乾燥機)

5)調査項目:投入・排出籾重量、各部温度経過、穀温、入・排気温湿度、籾水分、
    容積重、循環量、燃料消費量、消費電力量、籾組成、胴割れ率、籾摺り特性、
    玄米・精米性状調査、食味試験 

3. 成果の概要

1)供試機は、高効率放射塗料を塗装した回転式遠赤外線放射体を集穀室内に2基備えた
遠赤外線乾燥機である。放射体の加熱により放射される遠赤外線および放射体加熱残熱で
加温した熱風により乾燥を行う。同一容量で、乾燥部構造が同じ対照機に比べて風量が
少ないため、最大同時使用電力量が少ない(表1)。

2)容量約30トンの遠赤外線乾燥機および同一乾燥部構造である熱風乾燥機により
籾の乾燥試験を行った。半乾籾を供試した遠赤外線乾燥機では、平均熱風温度29.2℃で
乾燥した結果、穀温は32℃まで上昇し、乾減率は0.44%/hであった。熱風乾燥機では
平均熱風温度32℃で乾燥した結果、穀温は27℃まで上昇し、乾減率は0.31%/hであった。
生籾を供試した遠赤外線乾燥機では、平均熱風温度35.2℃で乾燥した結果、穀温は
34.2℃まで上昇し、乾減率は0.65%/hであった。熱風乾燥機では平均熱風温度41.3℃で
乾燥した結果、穀温は25.6℃まで上昇し、乾減率は0.51%/hであった。遠赤外線乾燥では
熱風乾燥よりも熱風温度は低いが穀温は高く、乾減率が高かった(表2)。

3)遠赤外線乾燥では、穀温の上昇効率が良いことから乾燥時間が22〜35%短縮され、
熱風乾燥に比べて水1kg除去に要する熱量が6〜16% 、灯油消費量が3〜13%、
消費電力量が40〜51%少なかった(表2)。

4)遠赤外線乾燥機により乾減率0.65〜0.75%/hで乾燥した結果、熱風乾燥機により
乾減率0.51%/hで乾燥した時よりも胴割れの発生が少なかった(表2)。

5)遠赤外線乾燥機および熱風乾燥機で乾燥した籾の組成や単粒水分分布、玄米および
精米性状の結果は、ほぼ同じであった。

6)遠赤外線乾燥機および熱風乾燥機で乾燥した米の食味に、有意差は認められなかった(表3)。


表1 主要諸元


表2 乾燥結果


表3 食味試験の結果


4. 成果の活用面と留意点
1)大型遠赤外線乾燥機導入の際の参考に供する。


5. 残された問題とその対応