成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:イネホールクロップサイレージ用フレール式ロールベーラの作業性能       
担当部署:中央農試 生産システム部 機械科,栽培システム科
       道南農試 技術普及部
協力分担:なし
予算区分:受託
研究期間:2001年度

1.目 的
 フレール式ロールベーラを利用するイネホールクロップサイレージ収穫体系の作業計画
策定のため,作業性能を明らかにする。

2.方 法
1)供試機 YWH1400
(フレール式ロールベーラ)
2)試験期日 2001年9月
(試験日:9月10,16日)
3)試験場所 八雲町
4)調査項目 圃場条件,作物条件,
  作業精度,作業能率
        
       図1 供試収穫機

3.成果の概要

1) 供試機はフレール式刈取部と定径式ロールベーラを組み合わせた自走式ベーラである
(図1,表1)。フレール式であるため構造が簡易で,予乾収穫や牧草収穫など柔軟な利用が可能である。

2) 作業精度・能率試験(1)では表面の土壌硬度が4.0〜5.0kgf/cm2,能率試験(2)では2.5kgf/cm2
軟弱であった(表2)。供試品種は「風の子もち」であり,作業精度・能率試験(1)の圃場における収量は
3,329kg/10a,全体の水分は68.5%であった(表3)。

3) ベーラは梱包密度を3段階に設定可能であり,高く設定すると1行程当たり作業距離を伸ばし
能率が高まる。排出後のベールは設定密度が高いと外径が大きくなり,実密度は設定によらず
ほぼ460kg/m3であった(表4)。

4) 損失率は乾物重で12.4〜14.0%,損失量は97.8〜121.9kg/10aであり,設定密度が高いと小さく
なる(表5)。損失は作物が成形室内でスチールロール間の隙間から成形室下部へ漏下して生じる。
損失の内「機外漏出」は,成形室圧力上昇に伴って成形室カバーが押し開けられた隙間から走行中に
落下したものである。

5) 損失中に占める籾の比率は高いが,梱包密度を高く設定することで籾損失を減少可能である(表5)。

6) 切断長は平均12.0〜12.8cmであり,40cmを超えるものもあった(表6)。

7) 作業能率は0.21〜0.29ha/hで,ベール1個当たり作業時間は2.5〜2.9分,燃料消費量は7.7L/時
であった(表7)。試験番号(1)で回収作業に用いた自走式ベールラッパの処理能力はベール1個当たり
3.2分,ラップフィルム消費量は1ロール当たりベール29.8個であった。









4.成果の活用面と留意点
 フレール式ロールベーラによるイネホールクロップサイレージ収穫の作業計画に資する。


5.残された問題とその対応