成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:α−アミラーゼ活性自動分析装置による小麦品質の仕分け区分       
担当部署:中央農試農産工学部農産品質科,ブラン・ルーベ株式会社
協力分担:北農研畑作研究部流通システム研,ホクレン麦類課
予算区分:民間共同
研究期間:2000〜2001年度

1.目 的
 北海道内のいくつかの農協において導入されているα−アミラーゼ活性自動分析装置の
使用状況を調査することにより、農業現場における留意点を明らかにするするとともに、
α−アミラーゼ活性を指標とした小麦の品質評価に向けた仕分け区分を策定する。
 
2.方 法
1)現地調査
 対象農協:2000年;上富良野(現ふらの)、更別、女満別
        2001年;道央(江別支所)、芽室、帯広川西、訓子府、斜里
 検討事項:試料採取方法、分析処理点数、分析データ活用法、問題点等

2)供試試料
  2000年および2001年に中央農試、JA上富良野(ふらの)およびJA帯広川西で収穫された
小麦、「ホクシン」および「ハルユタカ」の生麦、半乾燥麦(半乾)、全乾燥麦 (全乾)、合計332点

3)分析項目
 ①自動分析装置による生麦および乾麦のα−アミラーゼ活性(水分12.5%換算表示)
 ②ブラベンダー粉(60%製粉)のアミロ値(ブラベンダー社・アミログラフ)
 ③全粒粉のフォーリングナンバー値(FN値,フォーリングナンバー1800型)
 
3.成果の概要
1)小麦受入れ現場におけるこれまでの使用状況から、分析室や分析試薬の温度管理、
分析機本体の日常的メンテナンス(ベースライン安定化の確認、分析終了後の洗浄等)、
分析担当者への分析マニュアルの徹底、測定結果の正確かつ迅速なフィードバックなどが、
現場における自動分析装置使用上の留意点としてあげられた。(表1)。

2)各農協とも、小麦受入れ時には水分の他にも外観品質等の自主検査を実施しており、
必要に応じて高水分や規格外の仕分けを実施していることから、α−アミラーゼ活性を
指標にした仕分けが十分可能なものと考えられた。

3)α−アミラーゼ活性値とアミロ値またはFN値との関係については、品種や収穫年次による
差異は小さいものと考えられたが、小麦の水分による影響が認められ、子実水分15%未満の
小麦と15%以上の小麦とでは異なる回帰式が示された(図1,図2)。

4)これらの回帰式を用いてα−アミラーゼ活性値と小麦品質との関係について調査した結果(表2)、
子実水分が15%未満(178点)の場合、活性値が150mU/g未満ではほとんどが正常小麦であり、
低アミロ小麦の混入は1.7%とわずかであった。また、子実水分が15%以上(154点)の場合、
活性値が200mU/g未満ではほとんどが正常小麦であり、低 アミロ小麦の混入は3.9%とわずかであった。

5)小麦品質の仕分けについては、①正常小麦、②中間領域、③低アミロ小麦の3区分とし、
受入れ時の子実水分に応じて、α−アミラーゼ活性値による仕分け区分(表3)の策定を行った。

 
 
 
 
 
4.成果の活用面と留意点
1)高品質小麦の仕分け乾燥・調整および流通のための技術として活用し得る。
2)小麦収穫物の受入段階において、低アミロ小麦の検定に向けた1次スクリーニング
としても適用可能である。
3)測定結果を生産者にフィードバックすることにより営農指導に活用できる。
 
5.残された問題とその対応
1)α-アミラーゼ抽出法の迅速化と改良については、別課題において検討中。
2)アミロ値に代わる小麦品質指標としてのα-アミラーゼ活性値の位置付け。