成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:炊飯米外観(白さ・つや)自動測定装置の開発と利用       
担当部署:中央農試農産工学部農産品質科
協力分担:静岡製機株式会社、株式会社藤原製作所
予算区分:共同研究(2000年)、受託(2001年)
研究期間:2000〜2001年度

1.目的
 炊飯米の外観特性を客観的かつ簡易に評価できる自動測定機器を開発し、生産、
流通、消費の各場面で活用することにより、一層の北海道米の品質向上に寄与しよう
とするものである。


2.方法
1)自動測定システムの開発と改良
 それぞれ目標スペックを定め、少量炊飯装置、測定シャーレ、自動画像取り込み装置、
専用画像解析ソフトウエアの開発と改良を行った。

2)測定プロトコール設定のための基礎検討
 測定精度、測定値に影響を与える要因の検討を行い、標準的測定プロトコールを設定した。

3)炊飯米外観測定の適用性検討
 北海道米の品種評価、窒素施肥量、玄米品質が炊飯米外観に与える影響解析、
全国レベルでの食味評価への応用、無洗米加工、ブレンド評価への応用を検討した。


3.成果の概要
1 炊飯米の外観を自動的に測定するシステムの開発と改良(図1)
 1)釜内温度を均一に制御し、一度に24点の炊飯が可能な少量炊飯用加熱・炊飯装置を
 開発した。
 2)15gの白米を安定的、均一に炊飯する少量炊飯シャーレを開発することができた。
 3)シャーレを連続的に移動・回転させ、炊飯米表面の画像を均一条件で取り込む装置をを開発した。
 4)測定装置と連動し、炊飯米の画像解析値を計算・表示・保存するソフトウエアを開発した。

2 本測定機で測定されるデータの精度と基本的な測定プロトコールを作成するための検討
 1)画像解析測定値の反復誤差、かご位置、炊飯ロットによるデータの偏りはわずかであり、
試料間の差を検知するためには十分であった。
 2)炊飯にかかわる基本的な事項である加水量、浸漬、洗米の有無、炊飯後放置時間および
絞り・照度条件が画像解析値に与える影響について検討を行い、標準的な測定プロトコールを
設定した。本プロトコールに従えば、1点15gの白米を用いて1日100点程度の自動測定が可能である。

3 本測定機器の利用場面と適用性の検討
 1)平均輝度値(白さ)、つや面積値(つやの量)およびつや強度値(つやの強さ)を組み合わせて、
 炊飯米外観の良否および質の違いを平面上にプロットし評価できる手法を考案した(図2)。
 2)北海道米の炊飯米外観測定を試みたところ、品種の食味ランクとほぼ対応すると共に、品種毎の
 外観的特徴がよく表現できることが明らかとなった(図3)。
 3)窒素施肥が過剰になると炊飯米の外観は劣る事が数値的に確認された。また、玄米品質との
 関係では、整粒に比較して未熟粒の炊飯米外観は明らかに劣ることが示され、玄米品質の向上が
 炊飯米外観の面からも重要な技術であることが示された(図4)。
 4)北海道米と府県品種の炊飯米外観の比較を行ったところ、北海道米は白さの点では府県品種に
 優るが、つやに関する測定値は低い傾向があり、それが官能評価で劣る要因となっていることが
 明らかとなった(図5)。
 5)本測定値により無洗米の外観評価を実施したところ、普通精米に比較して外観が明らかに
 向上することが示され、これら精米処理の違いによる炊飯米外観の変化の解析にも利用可能で
 あった(図6)。
 6)本測定値は、ブレンド比率による炊飯米外観の変化を精度高く反映することから、ブレンドによる
 品質管理のための評価指標として利用できる可能性が示された。


 図1 炊飯米外観自動測定システムの開発と改良








4.成果の活用面と留意点
 1)本装置は、研究、生産、流通、消費の各場面において炊飯米の外観評価に活用できる。


5.残された問題点とその対応
 1)測定値の総合化手法の検討