成績概要書(2003年1月作成)
研究課題:西洋なし主要品種の収穫適期判定指標
(高品質な西洋なしの安定生産技術の確立)
担当部署:中央農試 作物開発部 果樹科 協力分担:
予算区分:道 費  研究期間:1998〜2003年度(平成11〜15年度)

1.目的
 西洋なしは収穫後適食期までに追熟を必要とする。収穫が適期であったかどうかは、追熟後の肉質や障害果の発生を見なければ判らず、適期に収穫するのが難しい。そのため収穫適期を判定するには、収穫時点で追熟後の果実品質を予測する指標が必要である。そこで本試験では、道内の西洋なし主要品種である「ブランデーワイン」「マルゲリット・マリーラ」「ゼネラル・レクラーク」の3品種について、収穫適期判定指標を検討した。
2.方法

3.成果の概要
(1)収穫時期と追熟後の果実品質の関係
  1)収穫が遅いほど果実重は増加し追熟後Brixは徐々に上昇したが、肉質は溶質→崩壊質→
やや粉質→粉質と劣化し、果肉空洞果が発生した(表1,2)。
(2)追熟後の果実品質による収穫適期の判定
  1)食味アンケートの結果から、肉質はやや粉質まで、追熟後Brixは11〜12%であれば許容された。
  2)ゴム質または粉質の果実がなく果肉空洞果率が10%未満を適期として、各年度における収穫適期を判定した(表2)。
(3)収穫時における適期判定指標の作成
  1)「ブランデーワイン」
a)収穫適期早限は満開後日数110日前後で、種子が褐色に着色を開始していれば確実に適期に入っており、種子が未着色でも115日では収穫適期に入っていた。
b)収穫適期の晩限は満開後日数120日前後であった(表3)。
c)満開後110日以降に果実調査を行い、ヨード反応指数2.5以下の果実が認められてから1 週間前後で適期晩限に近かった(表4)。
d)追熟後Brixの下限を12%とすると収穫時Brixは10%以上必要であった(データ省略)。
  2)「マルゲリット・マリーラ」
a)満開後110日目でほぼ収穫適期早限となった(表3)。
b)収穫適期の晩限は満開後日数120日前後であった(表3)。
c)満開後110日以降に果実調査を行い、酸度が0.2(g/100ml)以下になってから5日前後で 適期晩限に近かった(表5)。
d)また、種子の着色が認められた時期が概ね適期晩限に近かった(データ省略)。
e)追熟後Brixの下限を11%とすると収穫時Brixは10%以上必要であった(データ省略)。
  3)「ゼネラル・レクラーク」
a)満開後130日目でほぼ収穫適期早限となった(表3)。
b)収穫適期の晩限は満開後日数140〜150日であった(表3)。
c)満開後135日以降に果実調査を行い、完全着色種子が認められてから1週間前後で適期晩 限に近かった(表6)。
d)また、ヨード反応指数3以下の果数が50%前後になる時期が概ね適期晩限に近かった(表6)。
e)追熟後Brixの下限を12%とすると収穫時Brixは11%以上必要であった(データ省略)。
以上の結果をもとに満開後日数を基本として、収穫前の果実調査で適期を判定する収穫適期判定指標を作成した(表7)。















4..成果の活用面と留意点
 道内西洋なし産地における「ブランデーワイン」「マルゲリット・マリーラ」「ゼネラル・レクラーク」の収穫適期判定に利用する。
5.残された問題点とその対応
 新しい産地および新品種に対する収穫適期の検討。