成績概要書(2003年1月作成)
研究課題:プリムラ・ジュリアンの秋出し開花調節技術(プリムラの作型開発)
担当部署:花・野菜技術センター研究部花き科
予算区分:道単
協力分担:
研究期間:完2000〜2002年度(平成12〜14年度)

1. 目的
 本道の慣行の11〜12月出荷作型や府県の高冷地育苗作型での栽培におけるよりも開花期を前進させ、10月中旬から11月下旬にかけての安定出荷を可能にするための開花調節法を検討する

2. 方法
 1.鉢上げ後低温処理による開花促進
  ・ 品種:ジュリアン3品種、ポリアンタ4品種、モス系2品種、 ・ 処理:鉢上げ後に温度4水準×期間4水準×生育ステージ3〜5水準、処理後はハウスまたはガラス温室で栽培
 2.セル成型苗処理による開花促進
  ・ 品種:ジュリアン1品種、・ 処理:72穴セル育苗中に温度4水準×期間4水準×生育ステージ3水準、処理後ハウスまたはガラス温室で栽培
 3.低温処理後の温度管理
  ・ 品種:ジュリアン1品種、 ・ 処理:昼夜温3〜4水準
   4 共通 ・ 育苗:セルトレー、・ 施肥:緩効性肥料、・ 灌水:マット式底面給水

3. 成果の概要
 1. 鉢上げ後低温処理による開花促進
  (1) プリムラ・ジュリアン「早川系」では、鉢上げ後の低温処理による開花促進により、
秋出しが可能である(図-1)。プリムラ・ジュリアン「エローシェード」、モス系「ロメロー」などは無処理でも秋出しが可能である。
  (2) 「早川系」にたいする開花促進のための処理温度は10℃が最適である。
  (3) 処理期間は1週間(著しい高温年は可能であれば2週間)とする。
  (4) 低温処理を行う場合は、5月初めから20日までに播種する。低温処理開始は、苗の葉数が6枚以上ないしは株径が8以上に達した時期が適当である(表-1、図-2、3)。
 2.セル成型苗処理による開花促進
   セル成型苗の段階で低温処理することによっても苗の50%程度については開花促進が可能である。72穴セルで育苗し、 葉数6枚以上に達してから、10℃で1週間処理し、鉢上げする。
 3.低温処理後の温度管理
  低温処理後は、花蕾の発育を促進し発蕾を揃え、草姿を適正にするため、日中温度が13℃を下回らないように管理する(図-4)。


 図-1 低温処理における温度・期間・苗サイズの影響−開花鉢数割合の推移(2002)


 図-2 株当開花数に及ぼす処理温度・期間・苗サイズの効果(2001、「早川系」)



 図-3 低温処理開始時の葉数と開花(2000)



 図-4 低温処理後の栽培温度と開花(2002)

 表-1 処理開始時の株の大きさ及び処理温度と花芽分化(2000/7/18鉢上げ、9/11〜18/処理)
株  径 項目
調査月日
花芽分化指数(未分化0〜蕾完成8の9段階に区分)
10/10 10/18
大(10〜13㎝) 10℃ 7.0 (葯形成) 7.6 (葯形成〜蕾完成)
中(8〜10㎝) 5℃ 5.5 (花芽原基分化〜合弁萼形成) 5.9 (花芽原基分化〜合弁萼形成)
10℃ 6.7 (合弁萼形成〜葯形成) 7.8 (蕾完成)
温室 4.2 (花芽原基分化〜合弁萼形成) 5.0 (合弁花冠形成)
小(6〜8㎝) 10℃ 5.8 (葯形成) 7.4 (葯形成〜蕾完成)
温室 2.4 (分化開始〜腋芽原基分化) 5.0 (包葉原基分化〜葯形成)

4. 成果の活用面と留意点
 低温処理の開花促進効果はプリムラ・ジュリアンの代表的品種「早川系」につおて得られた結果であることに留意する。

5. 残された問題点とその対応
 雪冷房の利用による低コスト・大量処理法の検討