成績概要書(2003年1月作成)
課題分類: 研究課題:メロンつる割病レース1,2y抵抗性台木品種「どうだい2号」導入指針 (メロンつる割病レース1,2y抵抗性台木品種「空知台2号」の実証によるメロン安定生産支援) 担当部署:花・野菜技術センター 体系化チーム 空知西部地区農業改良普及センター 担当者名: 協力分担:中留萌地区農業改良普及センター 予算区分:補助 研究期間:2001〜2002年度(平成13〜14年度) |
1.目 的
メロンつる割病レース1,2y抵抗性台木品種「どうだい2号」の導入による発病抑制効果や菌密度と発病の関係を明らかにするとともに、簡便な圃場汚染程度判定技術を開発し、同品種導入の指針を示す。
2.方 法
試験実施場所:空知及び留萌支庁管内のレース1,2y発生圃場
1)「どうだい2号」導入試験
供試台木品種:「どうだい2号」「金剛1号」「どうだい1号」
試験規模:試験区試験;1区1株5反復
「どうだい2号」導入試作;試験区以外のハウス内スペース又はハウス全体
供試作型:加温、無加温半促成(播種期2月下旬〜3月下旬、定植期3月下旬〜5月上旬)
栽培方法:子づる2本仕立て、1株4果どり、その他は生産者の慣行
果実品質調査:1株1果(4果の内、外見上平均的な1果)
発病株率調査:時期;収穫終了時、発病株判定基準;収穫まで至らなかった株
供試圃場のレース1,2y発生程度の分類:前(前々)作自根発病株率 0;無、
10%未満;少、
10〜20%未満;中、20%以上;多
2)土壌中のレース1,2y菌密度測定
改良駒田培地を用いた希釈平板法によりF.oxysporumコロニーを計数・分離し,1,2y罹病性 品種「めろりん」への接種による発病からレース1,2y率を測定した。
3)生物検定によるレース1,2y汚染程度の判定
検定土壌をポットに詰め,「金剛1号」「どうだい2号」子葉展開期苗を移植して発病指数を 調査し,その発病指数と翌年の圃場におけるレース1,2yの発生の関係を調査した。
4)菌密度と検定品種の発病の関係
密度の異なるレース1,2y分生子懸濁液を培養土に混和してポットに詰め,「金剛1号」「どう だい2号」子葉展開期苗を移植し,発病度を調査した。
3.成果の概要
1)レース1,2y発生程度「少」以下の圃場では「どうだい2号」の導入により安定した発病抑制効果が認められたが、「中」圃場では発病株率が増加する事例も認められた。
2)「中」〜「多」圃場でも1〜2年のトマト栽培あるいは土壌還元消毒と「どうだい2号」導入を組合せることにより、発病株率を低下させることが可能であった。
3)「どうだい2号」を導入してもレース1,2yが発生した箇所の土壌中のFo1,2y密度は,概ね乾土 1g当たり103以上であった。
4)圃場におけるレース1,2yの発生には偏在性が高く,例年発生が早い箇所,発病が激しい箇所 が存在していた。また,この発病の偏在性は輪作によっても変わることなく維持されていた。
5)接種による土壌中のレース1,2y密度の上昇に伴って「金剛1号」の発病程度は増加する傾向にあった。しかし、発生圃場の土壌を用いた生物検定では、「金剛1号」検定結果と「どうだい2号」の発病との関係は明らかにできなかった。
4. 成果の活用面と留意点
1)本成績はレース1,2y発生圃場における抵抗性台木品種「どうだい2号」の導入指針とする。
2)本成績で示したメロンつる割病レース1,2y対策は発病株率を導入以前と同程度に抑制または低下させることを目的とする。 著しく発生が多いと想定される圃場では、メロンの栽培回避が望ましい。
5. 残された問題点とその対応
1)「どうだい2号」を3年以上連作した場合の発病株率の推移
2)生物検定の精度向上